14 / 29
14
しおりを挟む
「やめろっ!!」
今度はアーノルド様が私の盾になろうと前に立ってくださった。
「アーノルドっ!!」
女王様が大声を出すと、アーノルド様がビクッと反応して気が緩む。
「アナタはいい子でしょ? ねっ? お母さんの言うことを聞いてちょうだい・・・」
今度は娼婦が出すような甘えた声をする女王を見て、アーノルド様は困惑された。
その隙に執事たちが私を拘束した。
「さっ、連れて行きなさい。さっきからハイエナの卑しい臭いで息が苦しかったの」
「「はっ」」
「待ってくれ、母上」
「なんですか、アーノルド」
「殺すのは・・・・・・やめてくれ」
「・・・・・・」
女王様は冷めた目で私を見る。
「いいでしょう」
「本当か!?」
「ただし、婚約破棄しなさい。自分で。そして、からかって弄んだだけだとその女に伝えなさい。そうしたら、クビで勘弁してあげましょう」
「なっ・・・」
「私はどちらでも構いませんよ? できればウジ虫は殺した方がこの国のためですし・・・」
「わっ、分かった」
そう言ってアーノルド様は拘束されている私の正面に立たれた。その表情は母上に怒られた少年そのものだった。
「オレはお前、メリッサと婚約破棄する。はははっ、驚いたか?」
乾いた笑い。
痛々しくて見ているこちら辛くなる。
「ええ、驚きましたわ」
私もその茶番の三文芝居に付き合うことにした。
「そうだろ、そうだろ? だが、オレとお前では身分が違う。そんなことも、分かっていなかったとは、はははっ、傲慢で無知の証拠だ」
「恥ずかしい、不徳の致すところでした」
「はははっ、騙された。実に滑稽だ。本当に・・・・・・滑稽だ」
アーノルド様は私に向けて言っているはずなのに、自虐的な言い方をされる。私は王家に仕える者。そして、メイド長を目指す者。暴力は痛いから嫌だけれど、主に酷いことを言われたとしても気にならないのに。
傷つくとしたらそれはーーー
「アーノルド」
女王様がアーノルド様を煽る。
「メリッサ、お前はメイドをクビだ」
王家のメイド、そして、王家のメイド長への夢が閉ざされる時だ。
「分かりました」
「ふっ」
勝ち誇った顔をする女王様。アーノルドの自分の思い通りにならないと癇癪を起こすのが女王様の前では可愛く見える。
「では、庭師として雇用してくださいませ」
「はっ?」
「なっ?」
「クスっ」
驚かれた女王様とアーノルド様、そして笑われたキリル様の顔を見るけれど、変なことを言っただろうか。
(まぁ、いいでしょう。就職活動、そして、夢を笑われたくらいでへこたれていたら、夢は叶いませんもの)
「私を庭師として雇ってくださいましたら、私は最高の庭師になり、きっとこの王家のガーデンを国内・・・いいえ、世界一のガーデンにして見せますわ!!」
今度はアーノルド様が私の盾になろうと前に立ってくださった。
「アーノルドっ!!」
女王様が大声を出すと、アーノルド様がビクッと反応して気が緩む。
「アナタはいい子でしょ? ねっ? お母さんの言うことを聞いてちょうだい・・・」
今度は娼婦が出すような甘えた声をする女王を見て、アーノルド様は困惑された。
その隙に執事たちが私を拘束した。
「さっ、連れて行きなさい。さっきからハイエナの卑しい臭いで息が苦しかったの」
「「はっ」」
「待ってくれ、母上」
「なんですか、アーノルド」
「殺すのは・・・・・・やめてくれ」
「・・・・・・」
女王様は冷めた目で私を見る。
「いいでしょう」
「本当か!?」
「ただし、婚約破棄しなさい。自分で。そして、からかって弄んだだけだとその女に伝えなさい。そうしたら、クビで勘弁してあげましょう」
「なっ・・・」
「私はどちらでも構いませんよ? できればウジ虫は殺した方がこの国のためですし・・・」
「わっ、分かった」
そう言ってアーノルド様は拘束されている私の正面に立たれた。その表情は母上に怒られた少年そのものだった。
「オレはお前、メリッサと婚約破棄する。はははっ、驚いたか?」
乾いた笑い。
痛々しくて見ているこちら辛くなる。
「ええ、驚きましたわ」
私もその茶番の三文芝居に付き合うことにした。
「そうだろ、そうだろ? だが、オレとお前では身分が違う。そんなことも、分かっていなかったとは、はははっ、傲慢で無知の証拠だ」
「恥ずかしい、不徳の致すところでした」
「はははっ、騙された。実に滑稽だ。本当に・・・・・・滑稽だ」
アーノルド様は私に向けて言っているはずなのに、自虐的な言い方をされる。私は王家に仕える者。そして、メイド長を目指す者。暴力は痛いから嫌だけれど、主に酷いことを言われたとしても気にならないのに。
傷つくとしたらそれはーーー
「アーノルド」
女王様がアーノルド様を煽る。
「メリッサ、お前はメイドをクビだ」
王家のメイド、そして、王家のメイド長への夢が閉ざされる時だ。
「分かりました」
「ふっ」
勝ち誇った顔をする女王様。アーノルドの自分の思い通りにならないと癇癪を起こすのが女王様の前では可愛く見える。
「では、庭師として雇用してくださいませ」
「はっ?」
「なっ?」
「クスっ」
驚かれた女王様とアーノルド様、そして笑われたキリル様の顔を見るけれど、変なことを言っただろうか。
(まぁ、いいでしょう。就職活動、そして、夢を笑われたくらいでへこたれていたら、夢は叶いませんもの)
「私を庭師として雇ってくださいましたら、私は最高の庭師になり、きっとこの王家のガーデンを国内・・・いいえ、世界一のガーデンにして見せますわ!!」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません
下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。
旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。
ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも?
小説家になろう様でも投稿しています。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
みんなが嫌がる公爵と婚約させられましたが、結果イケメンに溺愛されています
中津田あこら
恋愛
家族にいじめられているサリーンは、勝手に婚約者を決められる。相手は動物実験をおこなっているだとか、冷徹で殺されそうになった人もいるとウワサのファウスト公爵だった。しかしファウストは人間よりも動物が好きな人で、同じく動物好きのサリーンを慕うようになる。動物から好かれるサリーンはファウスト公爵から信用も得て溺愛されるようになるのだった。
自己肯定感の低い令嬢が策士な騎士の溺愛に絡め取られるまで
嘉月
恋愛
平凡より少し劣る頭の出来と、ぱっとしない容姿。
誰にも望まれず、夜会ではいつも壁の花になる。
でもそんな事、気にしたこともなかった。だって、人と話すのも目立つのも好きではないのだもの。
このまま実家でのんびりと一生を生きていくのだと信じていた。
そんな拗らせ内気令嬢が策士な騎士の罠に掛かるまでの恋物語
執筆済みで完結確約です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる