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「みんな、集まってくれてありがとう・・・・・・ございます」
アーノルド様はいつものトーンで威風堂々と喋ろうとしたけれど、国王様や女王様というアーノルド様よりご身分の高い方もいらっしゃり、二人の視線を感じて、丁寧語に軌道修正した。
「オレは、ここに座っているメリッサに婚約を申し込み、快諾された」
(ちょっ・・・・・・)
私は慌てて立ち上がり、お辞儀をする。
私を婚約者として紹介するのであれば、つまりはアーノルド様と私が皆様に婚約を認めていただくという立場なのだから、座っているなんて無作法過ぎるから、アーノルド様にはお声がけを頂きたかった。
急に立ち上ったから、スカートが変な風に折れていないかとか色々気になったけれど、このタイミングでもじもじするのは、未熟者に見られかねない。
「駄目です、婚約破棄しなさい」
私がアーノルド様の婚約者として相応しいように取り繕おうとしている中、女王様が扇子から目から上だけ出して、冷たく言い放った。
「なっ、ですが、母さん」
「母さんじゃありません。この場では女王もしくは母上とお呼びなさいな、アーノルド」
「母上、なぜですかっ!?」
「そんな卑しい娘、無価値・・・・・・いいえ、マイナスしかないわ」
「いいやコイツはっ!!」
女王がアーノルド様を睨む。
「・・・・・・コイツは」
「ほら、ごらんなさい」
そう言って女王様の扇子から覗く目は笑っており、立ち上がり私たちのところへやって来た。
バチンッ
最初は唐突過ぎて何が起きたか分からなかった。けれど、遅れてきた頬の痛みで私は女王様に頬を叩かれたことを理解した。
「息子をかどわかすなんて、なんて卑しい女・・・これだから愚民は」
もう一度、右手を振りかぶる女王様。私は身構えて目をぎゅっと閉じる。
「・・・・・・っ?」
けれど、なかなかビンタが来ないので私は恐る恐る目を開けると、女王様の手首が掴まれていた。
「メリッサはそんな娘じゃない」
掴んでいたのはキリル様だった。
「離しなさいっ、キリルっ。こういう身分の低い女はねぇ、自分のことしか考えてないんだからっ!!」
「それは、母上でしょ?」
「なっ・・・・・・」
キリル様の一言で、女王様の顔がみるみるうちに真っ赤になり、怒って吊り上げた眉毛のせいか、顔全体の化粧にヒビが入った。
「あぁ、私のかわいい息子二人とも騙すなんてこの女・・・・・・、絶対に許しません! お前たち、この女を処刑しなさいっ!! いま、すぐっ!!」
甘い蜜を貰い、女王様にのみ従い、女王様の命令には絶対服従と言われた執事たちが私に襲い掛かろうとした。
アーノルド様はいつものトーンで威風堂々と喋ろうとしたけれど、国王様や女王様というアーノルド様よりご身分の高い方もいらっしゃり、二人の視線を感じて、丁寧語に軌道修正した。
「オレは、ここに座っているメリッサに婚約を申し込み、快諾された」
(ちょっ・・・・・・)
私は慌てて立ち上がり、お辞儀をする。
私を婚約者として紹介するのであれば、つまりはアーノルド様と私が皆様に婚約を認めていただくという立場なのだから、座っているなんて無作法過ぎるから、アーノルド様にはお声がけを頂きたかった。
急に立ち上ったから、スカートが変な風に折れていないかとか色々気になったけれど、このタイミングでもじもじするのは、未熟者に見られかねない。
「駄目です、婚約破棄しなさい」
私がアーノルド様の婚約者として相応しいように取り繕おうとしている中、女王様が扇子から目から上だけ出して、冷たく言い放った。
「なっ、ですが、母さん」
「母さんじゃありません。この場では女王もしくは母上とお呼びなさいな、アーノルド」
「母上、なぜですかっ!?」
「そんな卑しい娘、無価値・・・・・・いいえ、マイナスしかないわ」
「いいやコイツはっ!!」
女王がアーノルド様を睨む。
「・・・・・・コイツは」
「ほら、ごらんなさい」
そう言って女王様の扇子から覗く目は笑っており、立ち上がり私たちのところへやって来た。
バチンッ
最初は唐突過ぎて何が起きたか分からなかった。けれど、遅れてきた頬の痛みで私は女王様に頬を叩かれたことを理解した。
「息子をかどわかすなんて、なんて卑しい女・・・これだから愚民は」
もう一度、右手を振りかぶる女王様。私は身構えて目をぎゅっと閉じる。
「・・・・・・っ?」
けれど、なかなかビンタが来ないので私は恐る恐る目を開けると、女王様の手首が掴まれていた。
「メリッサはそんな娘じゃない」
掴んでいたのはキリル様だった。
「離しなさいっ、キリルっ。こういう身分の低い女はねぇ、自分のことしか考えてないんだからっ!!」
「それは、母上でしょ?」
「なっ・・・・・・」
キリル様の一言で、女王様の顔がみるみるうちに真っ赤になり、怒って吊り上げた眉毛のせいか、顔全体の化粧にヒビが入った。
「あぁ、私のかわいい息子二人とも騙すなんてこの女・・・・・・、絶対に許しません! お前たち、この女を処刑しなさいっ!! いま、すぐっ!!」
甘い蜜を貰い、女王様にのみ従い、女王様の命令には絶対服従と言われた執事たちが私に襲い掛かろうとした。
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