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重々しい空気の会議室。
国王、女王、アーノルド様、キリル様、そして大臣などそうそうたるメンバーがテーブルに着席し、従者である執事やメイドは壁際にいる。
私も今はメイドなのだから壁際に立つべきだけれど、私もテーブルに座っている。
とーっても、気まずい。
(特に気まずいのが・・・・・・)
王子の二人を除いて、私のことをみんながあまり良く思っていないのは分かるけれど、一人だけ殺気が籠った目で見ている人が一人だけいた。
女王だ。
けれど、私のそんな気持ちなんて全く気にしない右に座るアーノルド様は隣で堂々と腕を組んでいらっしゃる。
そんな私を見て、左に座っていたキリル様は心配された顔をして、
「大丈夫?」
とお声がけしてくれた。
「お気遣い、ありがとうございます」
やはり、キリル様はお優しく気配りができる御方だ。
「なんだ? トイレか?」
そして、アーノルド様は無神経だ。
「違いますよ?」
私は笑顔で返事をすると、「そうか」と言いながら、貧乏ゆすりを始めた。
「兄さん」
「あん?」
「行儀が悪いよ」
「・・・・・・うっせなー」
キリル様が注意をすると、イライラしつつもアーノルド様はしばらくしてゆっくりと貧乏ゆすりの速度を落として、貧乏ゆすりを止めた。
「ふっ、負け犬が」
「・・・・・・っ」
アーノルド様の煽りに珍しく、キリル様が少し反応してムッとした。
すると、そういうところだけは見逃さないアーノルド様は私と同じように驚いた顔を一瞬したが、すぐに悪戯っぽい顔をして、
「俺の、勝ちだ」
キリル様は目線を逸らして、逆側を向いた。
その時、一瞬だけ私と目が合った気がしたのは、自意識過剰だろうか。
「おい、逃げるのか、おいキリル、おいっ」
(ああ・・・・・・・・・気まずいっ!!)
私が席に座っているのもおかしな話だけれど、
(なんで、アーノルド様とキリル様の間に私が座っているのよっ、もうっ!!)
もちろん席は序列によって座る場所が決まっている。けれど、アーノルド様が場所を変われと言ってきたのだ。何度もお断りしたけれど、アーノルド様が頑なに譲らなかったので、メイドと言う立場の私は従うしかなかった。一番身分が低い私は初めに来ていたので、部屋に入ってくる方、みんなに白い目で見られた。
私を間に挟んだ理由がこれだとしたら、幼稚でしかない。
(というか・・・・・・もしかして・・・・・・)
アーノルド様が私と婚約したのは、キリル様への当てつけだったとしたら・・・・・・私は・・・・・・。
国王、女王、アーノルド様、キリル様、そして大臣などそうそうたるメンバーがテーブルに着席し、従者である執事やメイドは壁際にいる。
私も今はメイドなのだから壁際に立つべきだけれど、私もテーブルに座っている。
とーっても、気まずい。
(特に気まずいのが・・・・・・)
王子の二人を除いて、私のことをみんながあまり良く思っていないのは分かるけれど、一人だけ殺気が籠った目で見ている人が一人だけいた。
女王だ。
けれど、私のそんな気持ちなんて全く気にしない右に座るアーノルド様は隣で堂々と腕を組んでいらっしゃる。
そんな私を見て、左に座っていたキリル様は心配された顔をして、
「大丈夫?」
とお声がけしてくれた。
「お気遣い、ありがとうございます」
やはり、キリル様はお優しく気配りができる御方だ。
「なんだ? トイレか?」
そして、アーノルド様は無神経だ。
「違いますよ?」
私は笑顔で返事をすると、「そうか」と言いながら、貧乏ゆすりを始めた。
「兄さん」
「あん?」
「行儀が悪いよ」
「・・・・・・うっせなー」
キリル様が注意をすると、イライラしつつもアーノルド様はしばらくしてゆっくりと貧乏ゆすりの速度を落として、貧乏ゆすりを止めた。
「ふっ、負け犬が」
「・・・・・・っ」
アーノルド様の煽りに珍しく、キリル様が少し反応してムッとした。
すると、そういうところだけは見逃さないアーノルド様は私と同じように驚いた顔を一瞬したが、すぐに悪戯っぽい顔をして、
「俺の、勝ちだ」
キリル様は目線を逸らして、逆側を向いた。
その時、一瞬だけ私と目が合った気がしたのは、自意識過剰だろうか。
「おい、逃げるのか、おいキリル、おいっ」
(ああ・・・・・・・・・気まずいっ!!)
私が席に座っているのもおかしな話だけれど、
(なんで、アーノルド様とキリル様の間に私が座っているのよっ、もうっ!!)
もちろん席は序列によって座る場所が決まっている。けれど、アーノルド様が場所を変われと言ってきたのだ。何度もお断りしたけれど、アーノルド様が頑なに譲らなかったので、メイドと言う立場の私は従うしかなかった。一番身分が低い私は初めに来ていたので、部屋に入ってくる方、みんなに白い目で見られた。
私を間に挟んだ理由がこれだとしたら、幼稚でしかない。
(というか・・・・・・もしかして・・・・・・)
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