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私が二人を追っていると、雨は徐々に弱まっていった。そして、私がエディたちに追いつくと、エディがバイデルを地面に抑えつけていた。
「・・・・・・終わりだ」
エディがそういうと雨は止み、雲に隙間ができ、エディとバイデルを照らした。私にはそれが、聖戦だったと天が証言しているようにも、エディが本当に王家の者で神に選ばれた者のようにも感じた。
それからエディはバイデルを縛り上げ、いつもエディと会っていた場所へと向かった。すると、そこで私も知っている王国騎士ガイアスさんがいた。
「エドワード王子・・・」
「ガイアス、これが証拠だっ」
エディが書類を渡すと、ガイアスが目を通す。
「これは・・・・・・」
「あぁ、父上も絡んでいる」
「このことは・・・?」
「今は、僕と彼女が知っている。明日には民衆の前で話をしようと思う」
「そうですか・・・・・・・・・」
二人の話を聞いていて、私は何気なく、バイデルを見るとニヤッと笑っていた。
気が付くと、ガイアスは剣を抜いた。その鋭利な刃物はいくつかの傷がついている。その傷はガイアスの代わりに傷つき、ガイアスと共に数多の戦いを勝って来た証拠だと思うと、私はその剣が怖かった。エディは私を後ろにして守る。けれど、鞘がない彼はガイアスを睨んだ。
「なんの真似だ、ガイアス」
「お許しください、エドワード王子」
「なぜ、こんなことをするのか聞いている、答えよ」
すり足で重心移動を分からせないようにしながら、ガイアスが睨みながら近づいてくる。
「いいぞ、ガイアス。それでこそ、この国の騎士、ガイアスだ」
ロープで縛られているバイデルが歓びながらイモムシのように動く。
「私は・・・王の騎士です。どうか、その書類を渡してください」
「さては、ガイアス。キミもこの件に絡んでいたのか」
「違うっ。俺は・・・・・・俺は・・・・・・」
ガイアスさんは私たちから目を背けた。もしかしたら、ガイアスさんはこの件に関しても、見て見ぬふりをして目を背けていたのかもしれない。その隙をエドワード王子は見逃さなかった。懐から小刀を出し、一瞬でガイアスさんとの間合いを詰め、ガイアスさんの剣先を弾いたのち、その冷たく鋭い刃物をガイアスさんの首に突き付ける。
「終わりだ、ガイアス・・・貴様の剣は曇ってしまった」
私はヒヤッとしたけれど、どちらの血も出なかったのでホッとする。
「甘いですよ、エドワード王子。悪人には徹底的に反撃の余地なく、とどめを刺せとお伝えしましたよね」
そう言いながら、首に小刀を突きつけられた状態でも不敵な笑みを浮かべながら、ガイアスさんは自分の剣をエディの首まで移動させた。お互いが刃物を首に付ける状態。場の空気は一瞬にして重くなった。
「あぁ・・・・・・師匠の言う通り、俺は父上を徹底的に潰す」
そう言って、刀を首に突き付けられている中、エディは小刀を収めた。
「引退しろ、ガイアス。父上の時代は終わりだ。そして、後進の育成に努めろ。これからの時代は僕と彼女で作っていく」
エディがそう言っても、ガイアスさんは剣を降ろさず、エディに尋ねる。
「なんで、私を呼んだのですか、エドワード王子」
すると、エディは鼻で笑い、いつものような穏やかな声に代わった。
「なんででしょうね・・・・・・・・・本当に。でも、もしかしたら、師匠まで黒だったとしたら、世界が白で、僕が排除されるべき黒だと思ったのかもしれません」
エディが黒なはずがない。
黒は間違いなく、バイデルの方だ。
エディがそう言うと、ガイアスは殺気が抜けて、我に返ったような顔をした。
「分かりました。私は引退しましょう」
そう言って、ガイアスが剣を鞘に納めた。
「・・・・・・終わりだ」
エディがそういうと雨は止み、雲に隙間ができ、エディとバイデルを照らした。私にはそれが、聖戦だったと天が証言しているようにも、エディが本当に王家の者で神に選ばれた者のようにも感じた。
それからエディはバイデルを縛り上げ、いつもエディと会っていた場所へと向かった。すると、そこで私も知っている王国騎士ガイアスさんがいた。
「エドワード王子・・・」
「ガイアス、これが証拠だっ」
エディが書類を渡すと、ガイアスが目を通す。
「これは・・・・・・」
「あぁ、父上も絡んでいる」
「このことは・・・?」
「今は、僕と彼女が知っている。明日には民衆の前で話をしようと思う」
「そうですか・・・・・・・・・」
二人の話を聞いていて、私は何気なく、バイデルを見るとニヤッと笑っていた。
気が付くと、ガイアスは剣を抜いた。その鋭利な刃物はいくつかの傷がついている。その傷はガイアスの代わりに傷つき、ガイアスと共に数多の戦いを勝って来た証拠だと思うと、私はその剣が怖かった。エディは私を後ろにして守る。けれど、鞘がない彼はガイアスを睨んだ。
「なんの真似だ、ガイアス」
「お許しください、エドワード王子」
「なぜ、こんなことをするのか聞いている、答えよ」
すり足で重心移動を分からせないようにしながら、ガイアスが睨みながら近づいてくる。
「いいぞ、ガイアス。それでこそ、この国の騎士、ガイアスだ」
ロープで縛られているバイデルが歓びながらイモムシのように動く。
「私は・・・王の騎士です。どうか、その書類を渡してください」
「さては、ガイアス。キミもこの件に絡んでいたのか」
「違うっ。俺は・・・・・・俺は・・・・・・」
ガイアスさんは私たちから目を背けた。もしかしたら、ガイアスさんはこの件に関しても、見て見ぬふりをして目を背けていたのかもしれない。その隙をエドワード王子は見逃さなかった。懐から小刀を出し、一瞬でガイアスさんとの間合いを詰め、ガイアスさんの剣先を弾いたのち、その冷たく鋭い刃物をガイアスさんの首に突き付ける。
「終わりだ、ガイアス・・・貴様の剣は曇ってしまった」
私はヒヤッとしたけれど、どちらの血も出なかったのでホッとする。
「甘いですよ、エドワード王子。悪人には徹底的に反撃の余地なく、とどめを刺せとお伝えしましたよね」
そう言いながら、首に小刀を突きつけられた状態でも不敵な笑みを浮かべながら、ガイアスさんは自分の剣をエディの首まで移動させた。お互いが刃物を首に付ける状態。場の空気は一瞬にして重くなった。
「あぁ・・・・・・師匠の言う通り、俺は父上を徹底的に潰す」
そう言って、刀を首に突き付けられている中、エディは小刀を収めた。
「引退しろ、ガイアス。父上の時代は終わりだ。そして、後進の育成に努めろ。これからの時代は僕と彼女で作っていく」
エディがそう言っても、ガイアスさんは剣を降ろさず、エディに尋ねる。
「なんで、私を呼んだのですか、エドワード王子」
すると、エディは鼻で笑い、いつものような穏やかな声に代わった。
「なんででしょうね・・・・・・・・・本当に。でも、もしかしたら、師匠まで黒だったとしたら、世界が白で、僕が排除されるべき黒だと思ったのかもしれません」
エディが黒なはずがない。
黒は間違いなく、バイデルの方だ。
エディがそう言うと、ガイアスは殺気が抜けて、我に返ったような顔をした。
「分かりました。私は引退しましょう」
そう言って、ガイアスが剣を鞘に納めた。
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