上 下
26 / 66
竜司と子猫の長い一日

僕と竜司さんがソープの真似事をしてみた件

しおりを挟む



 たくさん名前を呼んでくれた。
 たくさんキスをしてくれた。

 竜司さんの大きな手が、僕の頭を洗う。ちょっとスパイシーな香りで、これは竜司さんによく似合うと思った。

「のぞみ、抱きついて」
「ん」

 お湯が流れっぱなしになってたシャワーを明後日な方に向けて、竜司さんがそう言うから、僕はぎゅむ…って竜司さんに抱きついた。
 そしたら、竜司さんは僕と竜司さんの間にとろとろとボディソープを流し始める。それから、僕の背中にも同じようにかけた。

「のぞみ、俺の背中にもかけて」
「ん」

 ボトルを受け取って、できる限り高い位置から流した。
 トロトロのそれは、僕たちの体を滑り落ちていく。
 僕からボトルを受け取って棚に戻した竜司さん。

「のぞみ、動いて」
「ふぇ」
「ほら、ヌルヌルしてるだろ?」

 そりゃ、体中ぬるぬるだけど。
 背中に回した腕が滑り落ちそう。
 でもなんとか動かして、竜司さんの大きくて広い背中を洗う。
 竜司さんの手も動く。大きな両手で揉むように、撫でるように。
 そうしてるうちに、竜司さんの体に胸元が擦れて、敏感な乳首が刺激された。

「ん、ぅ」
「ほら、もっと」

 やけに楽しそうな竜司さん。
 体をくっつけて軽く上下させるだけで、僕の硬くなった乳首がひっかかって気持ちが良くて、竜司さんのやっぱりカチカチに硬い一物が僕のお腹で擦れてる。

「……もしかして」
「ん?」
「…………ソープの真似事?」
「ああ……バレたか」

 変態だな、とか、やっぱりオヤジ臭い、とか。
 まあ、そんなことを思いつつも、だったらもっと翻弄してやる……って、意気込んだのは僕。

「僕、ソープなんて行ったことないけど」
「………俺は、………一度だけ、あるな」
「へええええええ」
「仕方ないだろ、興味あったんだ」
「いつ?」
「大学生のときだよ。誘われてな。こんなもんか、って思ったくらいだった」
「ふううううううん」

 バイ、って言ってたし。
 女の人の体は多分柔らかかっただろうけど。

「もう行かない?」
「のぞみがいるのに行くわけがない」
「……ふふ」

 リップサービスでも嬉しい。
 滑らないように思い切り背伸びをする。それからかかとを落とす。

「…っ」

 息を詰める音。
 それから、竜司さんの両手が僕のお尻を揉む。
 相変わらず紐パンをつけたままだけど、僕が体を上下させると、布地が竜司さんの一物を擦るのに丁度いい。

「は………、は……っ」

 気持ちいい。
 多分、竜司さんも気持ちいい。
 背伸びするタイミングで、竜司さんが少し屈んでくれるから、ちゅ、ちゅ、ってキスをする。
 ……これ、いい。癖になりそう。
 あまりにも夢中になってた。
 だから、気をつけていたのに背伸びした瞬間盛大に足を滑らせてしまった。

「ぅわ…っ」
「のぞみ」

 竜司さんに掴まりたかったのに、ぬるって手が滑った。でも竜司さんの手が僕のお尻を鷲掴みにしてたから、転ばなくて済んだのだけど。

「ひゃ……っ」

 ぐりぐりって、股間を押し付けあってた。
 竜司さんの、僕のお尻を鷲掴んだ手は、左右にこれでもかってくらい広げてきて、僕の後孔がくぱりと開いた。

「のぞみ」

 ソープの真似事をしてたのに、僕はもう動けなくなった。
 滑った竜司さんの指が、僕の中に入ってくる。
 脱衣所で入ってきたときとは違う。
 ゴツゴツして長い指は多分もう二本が入り込んできてて、はじめからわかってるかのように前立腺を狙い定めてた。

「あ……は、あ、ぁ……ぁ……」

 しがみつきたい。
 なのに、ぬめりが僕の手の邪魔をする。
 それに気づいた竜司さんは、シャワーをまた僕たちの方に向けた。降り注ぐお湯がボディソープの泡を洗い流していく。

「りゅ、じ、さん」
「可愛い。可愛いよ、のぞみ」
「ひゃん……っ」
「しっかり洗うからな」
「んぅ……っ」

 ぬめぬめの指が僕の中で動く。
 ぐるりぐるりと、指の腹の柔らかいところで内側が揉まれるように洗われていく。指が届くところまで、全部。
 キス。
 キスが欲しくて一生懸命背伸びをした。
 竜司さんはそれに気づいて、また背を屈めてくれた。

「ふぁ……んっ、ん、んんっ、んんぅ」

 くちゃくちゃ指を動かされて、じゅるじゅる舌を吸われる。
 お湯は気にならない。竜司さんが傘みたい。
 口も舌も気持ちいい。
 お尻の中も気持ちいい。
 洗われてるっていう事実をうっかり忘れそう。

「のぞみ、壁に手をついて」
「んう」

 竜司さんの手に促された先は、壁というか鏡だった。
 ずっとシャワーが流れてるのにぜんぜん曇ってないから、僕の顔がよく見えて狼狽えた。

「りゅ、じさん、はずかしっ」
「可愛いよ」

 会話になってないっ。
 可愛いって言われるのは……、竜司さんに言われるのは、少し……ほんの少し、嬉しい、けど。そうじゃないんだってば。
 鏡越しに竜司さんを睨みつけていたけれど、竜司さんはなにやら道具を取り出して準備してて、僕の方を見てなかった。

「ふぇ……」

 でも、ちらりと見えたのは、竜司さんの手元にある少し大きな注射器みたいな形状のもの。

「なに……」
「洗ったら流さなきゃ、だろ」
「んんぅ」

 ちゅ、ちゅ、って耳の後ろにキスをされた。

「りゅうじ、さん」
「今日はお湯で流すだけ。のぞみ、腰を突き出して」

 耳の後ろから、うなじにキスをされて、背中まで降りてきた。
 ドキドキしながら僕は竜司さんに言われた通り、腰を突き出す。
 竜司さんだから大丈夫。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした

雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。 遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。 紀平(20)大学生。 宮内(21)紀平の大学の同級生。 環 (22)遠堂のバイト先の友人。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた。

しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエルがなんだかんだあって、兄達や学園の友達etc…に溺愛される??? 家庭環境複雑でハチャメチャな毎日に奮闘するノエル・クーレルの物語です。 若干のR表現の際には※をつけさせて頂きます。 現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、改稿が終わり次第、完結までの展開を書き始める可能性があります。長い目で見ていただけると幸いです。 2024/11/12 (第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)

処理中です...