僕を裏切らないと約束してください。浮気をしたら精算書を突きつけますよ?

ゆずは

文字の大きさ
上 下
17 / 67
竜司と子猫の長い一日

僕が竜司さんの服を脱がしていたらお尻を揉まれて手が止まる件

しおりを挟む



 とりあえず、紐パンも取ってしまおうと紐に手を伸ばしたら、竜司さんの手にやんわりと止められた。

「まだつけていてくれ」
「うん」

 竜司さんの目がギラギラしてる。
 その視線を感じるだけで、少し濡れてた下着がまた少し濡れた。
 ……変だな。
 少なくても、昨日までは二日と開けずセックスしてたのに。僕、たった一日で欲求不満を溜め込んでたのかな。
 ……や、多分、あいつに浮気されて少しは悲しかったから、その反動なのかな。そうだ。元々竜司さんとこうなったのは、僕が酷く抱かれることを望んでたからだった。
 じゃあ、僕をほしそうな目を見てドキドキするのも、期待とか高揚感で下着を濡らすことも、おかしいことじゃない。むしろ、それが、普通。

「竜司さん」
「ん?」

 ……ただのマッチング相手。
 ただ、それだけ。
 なんとなく抱きつきたくなるのは、人肌恋しくなってるから。
 ただ、それ、だけ。

 竜司さんの手が背中に触れた。それから肌を確かめるように撫でて、腰のあたりを触ってくる。
 指が、紐を辿りながらお尻の割れ目をたどる。でも中に入ることはなく、お尻を丁寧に揉んでまた腰に戻る。

「んふ……」

 気持ちいい。
 僕は竜司さんの胸元に顔を押し当てて、匂いを吸い込む。
 フレグランスとか何かなんだろうけど、甘い香りがした。
 そういえば、竜司さん、まだスーツ姿。スリーピースって言うんだっけ?格好いいやつ。
 竜司さんの肩を撫でて上着を少しずらすと、竜司さんは僕から手を離してバサリと上着を脱ぎ、ベストのボタンもあっさり外して、洗面台にまとめて丸めて置いた。
 それからネクタイのノットに指をかけて緩めたところで、僕はその手に触れる。

「僕がやりたい」
「ああ」

 竜司さんの目が細められた。口元が笑んでいて、嬉しそう。
 フリーになった竜司さんの手は、また僕の腰とお尻を撫でる。
 ワイシャツ越しに胸に手を当てた。確かな胸筋の弾力が伝わってきてため息が出る。
 緩んだネクタイに指をかけ、解く。
 シュルシュルと首から抜いて、手を伸ばして丸められた上着の上に置く。……皺にならないのかな。いいのかな。高そうなスーツなんだけど。
 ワイシャツのボタンに手を伸ばした。指先が震える…なんてことはない。でも、一個外すごとにあらわになる素肌に、背伸びで届くから、ちゅ、ちゅって、キスをする。

「悪戯好きの子猫だな」

 笑う声。
 子猫、って。

「だから、僕、もう大人!」
「成猫か」
「なんで猫」
「仕草が猫っぽい」
「……そうかなぁ……」

 納得いかない。
 けど、変な悪戯心が刺激されて、ボタンを外しながら舌先だけで肌を舐めくすぐった。
 片手が、僕の頭を撫でる。気持ち、いい?
 僕と違って主張しない小さな乳首にも、舌先をつけた。……舐めたら硬くなった。ざまーみろ。

「竜司さんの乳首も硬くなった」
「そりゃなるだろ。鳥肌と一緒だ」
「……僕が舐めたら鳥肌が立つって言いたい?」
「いや?じゃれてくる子猫の悪戯にしか思えないな。俺の乳首なんて舐めて楽しいのか?」
「……楽しい、かな……?」

 楽しいような気もする。
 けど、首を傾げてたら、竜司さんはそっぽを向いてため息を付いて、僕のお尻を鷲掴みにした。

「ひゃっ」
「俺の乳首はいいから。のぞみ、続きは?」
「ん、つ、づき」

 続き、っていうなら、お尻を揉む手を止めて欲しい。掠めるように後孔を撫でたり、紐を引っ張ったり、しないで欲しいっ。

「竜司さん………」
「ん?なに?」
「………お触り禁止」
「どうして」

 手が止まった。
 この隙にワイシャツの残ったボタンを全部外して、ワイシャツを滑り落とした。
 ………おう。見事な胸筋の次は見事な腹筋だった。すごい。すごいすごい。だからといってマッチョすぎるわけじゃなくて、すがりつきたくなる体だ。

「のぞみ?」
「………かっこよすぎじゃない……?」

 僕が今まで関わってきた人に、ここまでの肉体美を持つ人がいたかな。
 腹筋の割れ目をゆっくりなぞったら、腹筋がびくりと反応した。

「……男の人だ」
「なんだそれ」

 背伸びをしない僕が抱きついたら、顔はみぞおちのあたり。
 なんとか背中まで腕が回る体の厚み。手のひらに感じるのは背筋。
 僕、こんな人に抱かれるんだ。
 こんな体持ってたら、確かに僕なんて子供だ。
 ……そう思ったら自分の体が酷く貧相に感じて、こんな体じゃもうその気になってくれてるはずの竜司さんを萎えさせるんじゃないかって心配になった。
 ……似合うと言ってくれた下着だって、本心じゃなかったかもしれないのに、似合うって言ってもらえて勝手に喜んで勝手に浮かれてた。
 恥ずかしい。
 でも、どうしよう。
 竜司さんにもっと触れていたい。
 この体でどうやって抱くのか知りたい。
 竜司さんの手は、相変わらずお尻を揉んでる。……お尻は、それなりに柔らかいはずだけど。

「……僕の体、いやじゃない?」

 竜司さんの気持ちのいい体に顔を押し当てたまま、そう言葉にしてた。

「……やせすぎで、気持ち悪くない?」

 ご飯をたくさん食べられない。だから、減ることはないけど増えもしない体重。

「そうだな。もう少し肉をつけたほうがいいとは思うな」

 ビクって、震えてしまった。
 やっぱり、そうだよね。そうなるよね。
 仕方ない。
 諦めよう……って体を離そうとしたら、逆に体を引き寄せられて、下半身を押し付けられた。

「っ」

 ゴリ…って、硬いのが触れる。

「嫌と思うならこうはならないな。お前のくっきりした鎖骨もスラリとした手足も、とても綺麗だ。唆る。肉は旨いもん食えばつくだろ。……俺が食わせてやる。好き嫌いは聞かないからな」
「え、うん」
「だから、余計なこと考えるな。俺は早くお前が食いたくて仕方ないんだ」
「………」

 ……どうしよう。
 嬉しい。



しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

出戻り聖女はもう泣かない

たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。 男だけど元聖女。 一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。 「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」 出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。 ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。 表紙絵:CK2さま

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話

雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。  諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。  実は翔には諒平に隠している事実があり——。 諒平(20)攻め。大学生。 翔(20) 受け。大学生。 慶介(21)翔と同じサークルの友人。

白い結婚がいたたまれないので離縁を申し出たのですが……。

蓮実 アラタ
恋愛
その日、ティアラは夫に告げた。 「旦那様、私と離縁してくださいませんか?」 王命により政略結婚をしたティアラとオルドフ。 形だけの夫婦となった二人は互いに交わることはなかった。 お飾りの妻でいることに疲れてしまったティアラは、この関係を終わらせることを決意し、夫に離縁を申し出た。 しかしオルドフは、それを絶対に了承しないと言い出して……。 純情拗らせ夫と比較的クール妻のすれ違い純愛物語……のはず。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...