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竜司と子猫の長い一日
僕が竜司さんの服を脱がしていたらお尻を揉まれて手が止まる件
しおりを挟むとりあえず、紐パンも取ってしまおうと紐に手を伸ばしたら、竜司さんの手にやんわりと止められた。
「まだつけていてくれ」
「うん」
竜司さんの目がギラギラしてる。
その視線を感じるだけで、少し濡れてた下着がまた少し濡れた。
……変だな。
少なくても、昨日までは二日と開けずセックスしてたのに。僕、たった一日で欲求不満を溜め込んでたのかな。
……や、多分、あいつに浮気されて少しは悲しかったから、その反動なのかな。そうだ。元々竜司さんとこうなったのは、僕が酷く抱かれることを望んでたからだった。
じゃあ、僕をほしそうな目を見てドキドキするのも、期待とか高揚感で下着を濡らすことも、おかしいことじゃない。むしろ、それが、普通。
「竜司さん」
「ん?」
……ただのマッチング相手。
ただ、それだけ。
なんとなく抱きつきたくなるのは、人肌恋しくなってるから。
ただ、それ、だけ。
竜司さんの手が背中に触れた。それから肌を確かめるように撫でて、腰のあたりを触ってくる。
指が、紐を辿りながらお尻の割れ目をたどる。でも中に入ることはなく、お尻を丁寧に揉んでまた腰に戻る。
「んふ……」
気持ちいい。
僕は竜司さんの胸元に顔を押し当てて、匂いを吸い込む。
フレグランスとか何かなんだろうけど、甘い香りがした。
そういえば、竜司さん、まだスーツ姿。スリーピースって言うんだっけ?格好いいやつ。
竜司さんの肩を撫でて上着を少しずらすと、竜司さんは僕から手を離してバサリと上着を脱ぎ、ベストのボタンもあっさり外して、洗面台にまとめて丸めて置いた。
それからネクタイのノットに指をかけて緩めたところで、僕はその手に触れる。
「僕がやりたい」
「ああ」
竜司さんの目が細められた。口元が笑んでいて、嬉しそう。
フリーになった竜司さんの手は、また僕の腰とお尻を撫でる。
ワイシャツ越しに胸に手を当てた。確かな胸筋の弾力が伝わってきてため息が出る。
緩んだネクタイに指をかけ、解く。
シュルシュルと首から抜いて、手を伸ばして丸められた上着の上に置く。……皺にならないのかな。いいのかな。高そうなスーツなんだけど。
ワイシャツのボタンに手を伸ばした。指先が震える…なんてことはない。でも、一個外すごとにあらわになる素肌に、背伸びで届くから、ちゅ、ちゅって、キスをする。
「悪戯好きの子猫だな」
笑う声。
子猫、って。
「だから、僕、もう大人!」
「成猫か」
「なんで猫」
「仕草が猫っぽい」
「……そうかなぁ……」
納得いかない。
けど、変な悪戯心が刺激されて、ボタンを外しながら舌先だけで肌を舐めくすぐった。
片手が、僕の頭を撫でる。気持ち、いい?
僕と違って主張しない小さな乳首にも、舌先をつけた。……舐めたら硬くなった。ざまーみろ。
「竜司さんの乳首も硬くなった」
「そりゃなるだろ。鳥肌と一緒だ」
「……僕が舐めたら鳥肌が立つって言いたい?」
「いや?じゃれてくる子猫の悪戯にしか思えないな。俺の乳首なんて舐めて楽しいのか?」
「……楽しい、かな……?」
楽しいような気もする。
けど、首を傾げてたら、竜司さんはそっぽを向いてため息を付いて、僕のお尻を鷲掴みにした。
「ひゃっ」
「俺の乳首はいいから。のぞみ、続きは?」
「ん、つ、づき」
続き、っていうなら、お尻を揉む手を止めて欲しい。掠めるように後孔を撫でたり、紐を引っ張ったり、しないで欲しいっ。
「竜司さん………」
「ん?なに?」
「………お触り禁止」
「どうして」
手が止まった。
この隙にワイシャツの残ったボタンを全部外して、ワイシャツを滑り落とした。
………おう。見事な胸筋の次は見事な腹筋だった。すごい。すごいすごい。だからといってマッチョすぎるわけじゃなくて、すがりつきたくなる体だ。
「のぞみ?」
「………かっこよすぎじゃない……?」
僕が今まで関わってきた人に、ここまでの肉体美を持つ人がいたかな。
腹筋の割れ目をゆっくりなぞったら、腹筋がびくりと反応した。
「……男の人だ」
「なんだそれ」
背伸びをしない僕が抱きついたら、顔はみぞおちのあたり。
なんとか背中まで腕が回る体の厚み。手のひらに感じるのは背筋。
僕、こんな人に抱かれるんだ。
こんな体持ってたら、確かに僕なんて子供だ。
……そう思ったら自分の体が酷く貧相に感じて、こんな体じゃもうその気になってくれてるはずの竜司さんを萎えさせるんじゃないかって心配になった。
……似合うと言ってくれた下着だって、本心じゃなかったかもしれないのに、似合うって言ってもらえて勝手に喜んで勝手に浮かれてた。
恥ずかしい。
でも、どうしよう。
竜司さんにもっと触れていたい。
この体でどうやって抱くのか知りたい。
竜司さんの手は、相変わらずお尻を揉んでる。……お尻は、それなりに柔らかいはずだけど。
「……僕の体、いやじゃない?」
竜司さんの気持ちのいい体に顔を押し当てたまま、そう言葉にしてた。
「……やせすぎで、気持ち悪くない?」
ご飯をたくさん食べられない。だから、減ることはないけど増えもしない体重。
「そうだな。もう少し肉をつけたほうがいいとは思うな」
ビクって、震えてしまった。
やっぱり、そうだよね。そうなるよね。
仕方ない。
諦めよう……って体を離そうとしたら、逆に体を引き寄せられて、下半身を押し付けられた。
「っ」
ゴリ…って、硬いのが触れる。
「嫌と思うならこうはならないな。お前のくっきりした鎖骨もスラリとした手足も、とても綺麗だ。唆る。肉は旨いもん食えばつくだろ。……俺が食わせてやる。好き嫌いは聞かないからな」
「え、うん」
「だから、余計なこと考えるな。俺は早くお前が食いたくて仕方ないんだ」
「………」
……どうしよう。
嬉しい。
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