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幼馴染み二人と西の森の事件に巻き込まれる
14 新しい依頼
しおりを挟む念話魔導具は、僕にはむかない。うん、そう。そういうこと。
……エルの大好きな声が耳元で囁かれるなんて、僕、耐えられないもん。
ディーは毎回嫌そうな顔をしていたけど、何度か使ってるうちに慣れたみたい。最初のときのように叫んだりしなくなった。
でも、ディーからエルに送るのは、やっぱり一日一回が限界。ディーが言うには魔力自体は少し増えたんだって。だから、使っても動けなくなることはなくなったけど、それでも少しだるそう。……僕が膝枕をしたら回復早いんだって。
魔力を回復させるためにはとにかく休息が必要で、ちょっと休めば動けなくなったディーも動けるくらいには回復するけれど、魔導具が使えるくらいまで回復するには、やっぱり一晩くらいが必要らしい。
数日間で、検証が進んだ。
僕たちの家から冒険者宿までは、エルの魔力なら届くけど、ディーの魔力では届かなかった。
エルが送れる回数は二十回以上。やっぱりエルの魔力って多いんだ。
簡単な採取依頼を受けたり、魔導具の検証をしたり、そんな日々を過ごしていたとき、店主さんから奥の部屋に呼ばれた。
てっきり念話魔導具の件だと思ったのだけど、どうやら違うらしくて、別の『依頼』のことだった。
「数日拘束されるが、比較的割のいい仕事なんだ。受けないか?――――あ、いや、違うな。受けろ」
って、笑顔の店主さんからほぼ強制的に新しい依頼を受けることになった。
「依頼主は国――――というより、第二王子だ」
「クリストフ殿下?」
「ああ。坊主はよく知ってるよな。お前らはわかるか?」
「あの銀髪の人ですよね。一人で何体もの魔物を屠っていた」
「魔物侵攻のときに何度か見てるけど」
僕は神殿で何度も会ってるし話もしてる。
そういえば、神殿長さんが、殿下が最近婚約したって教えてくれたっけ。
「今回はそいつからの依頼だ。普通と違うのはクリストフのとこの兵士とも合流しての行動になる。あっちは数日遅れるがな。場所は王都から西側にある森で、依頼内容は魔物の調査と探索と討伐と、野営場所の確保だ」
「事前調査とか、その王子の護衛任務もありますか」
「事前調査は必要だな。とにかくでかい森だ。魔物がはびこってるとなると交易にも影響があるから、どっちにしろ放ってはおけない。護衛はいらん。あいつの兵士たちは手練れ揃いだし、そもそもあいつ自身が強いからな」
「……私たちに声をかけたのは、もしかしてフィーのことを頼ってるから?」
エルの指摘に店主さんは眉をひそめたけれど、ふっと解いて手をあげた。
「そうじゃないと言えればよかったが、半分はそうだ。だが、後の半分はお前らの実力を買ってる」
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