幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

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幼馴染み二人と冒険者になりました!

24 冒険者になってよかった

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「おお、こりゃまた大量だな!」

 もう一回夜を過ごして、僕たちは三日目の夕方近くに、王都西町に戻ってきた。

「毛皮の状態もいい。申し分なく依頼達成だな。あとは角の買い取りか」
「ええ。ああ、それと」

 店主さんに依頼品を見せていたディーが、宿の中を見渡した。

「報酬はいらないので、スノーラビットの肉をここにいる全員に振る舞ってほしいんです。もちろん、店主殿の料理で」
「ほう」

 ディーが言った途端、宿の中に雄叫びのようなものが響いた。
 スノーラビットのお肉、すごく美味しいよね。だから、喜ぶ気持ちは僕もわかるよ!

「振る舞う…って、結構な人数いるぞ?」
「ええ。俺たちも食べていきます。……ちょっと処理できないくらい肉が溜まったので…」

 と、ディーの苦笑。
 そうなんだよね。
 ディーとエルがすごく張り切ってて、たくさん倒したのはいいけど、途中でエルが「これ以上肉いらない」って呟いたんだ。
 でも捨てていくのは勿体ないから、ここで振る舞っちゃえ、ってこと。残りは店主さんに買い取ってもらう気満々。

「あ、肉以外の食材は負けてくれると助かります」
「おう。ま、そういうことだ、お前ら。よかったな!?」

 うおー、とか、ありがとう、とか、助かる、とか。
 またいろんな声が上がって僕思わず耳を抑えちゃった。

「フィー、座ろう」
「うん」

 エルに肩を抱かれて空いてるテーブルについた。
 キョロキョロと周りを見たら、顔見知りになった冒険者さんたちが結構いて、目が合うと手を振ってくれたから、僕も手を振り返した。

「すみません。箱は後で」
「ああ。いい、いい。明日で構わん。ほらよ、依頼報酬だ。今から作るから座って待ってろ」
「はい」

 依頼報酬の布袋をディーは腰につけてるポーチに突っ込むと、僕たちの方に戻ってきた。

「たまにはいいな」
「まあ、たまには、だね」
「僕はなんか楽しい」

 えへへ…って笑ってたら、夜に宿を手伝ってる子が僕たちの前に水の入ったコップを持ってきてくれた。

「私、スノーラビットのお肉、とっても好きなんですよ。ありがとうございます」

 って可愛らしく笑って戻っていった。
 コップを握って一口飲んだ。冷たい水が喉を通っていくのもなんか楽しい。

「フィー?ご機嫌だね」

 エルが僕の頬をなでた。

「なんか楽しいことでもあったか?」

 ディーも僕の頬をなでた。

「あのね」
「「ん」」
「全部楽しい!」

 二人と一緒に冒険ができることも。
 他の冒険者さんたちと助け合えることも。
 何かを分け合えることも。

「僕、冒険者になってよかった」

 本当に、心から、そう思った。
 僕の楽しい気持ちは、いつの間にかキラキラと光になって。
 夕闇が訪れる中、暁亭だけがとてもキラキラ輝いていたそう。
 女神さまにも僕のこの楽しくて嬉しい気持ち、届いたかな?



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