226 / 247
幼馴染み二人と冒険者になりました!
18 冒険者は美味しいものを求めるのかな?
しおりを挟む毛皮が依頼対象なので、できるだけ首を一撃で落す。落としたあとは足を縛って逆さに木に吊るして血抜きをする。血抜きが終わったら皮をはぐ。はいだ皮は下洗いはしておく。肉の方は内蔵を抜いて塩を揉み込んで綺麗に洗えば、処理は終わり。
頭部からは角を取って、これはこれで別の袋に入れておく。討伐数の確認にもなるし、店主さんが素材として買い取ってくれるんだって。
一連の流れを僕はずっと感心しながら見てた。
料理はいつもエルがしてるけど、皮を剥いだり肉をさばいたり、ディーも器用。
エルの魔法で黒焦げになった三匹は、今日の夕飯の材料にしちゃうんだって。
「水魔法は得意じゃないんだよ」
って言いながら、鍋の中にはどんどん水が溜まっていくし、エルの魔法があるから川まで水を汲みに行ったり、洗いに行ったりしなくていいんだって。エル、すごい!
「とりあえず何匹分になった?」
「毛皮は納品できるのは十八匹分だな」
「まあそんなもんか。順調だね」
「そうだな」
って二人の会話に、僕はちょっと不思議に思った。
黒焦げなのは無理だとわかるけど、毛皮はまだあると思ったんだ。
「こっちの毛皮は数に入れないの?」
毛皮の数を数えてたディーの近くに行くと、ディーがひょいと僕を抱き上げて膝の上に座らせてくれた。
「状態が悪いんだ」
「そうなの?」
全然そうは見えない。白い艶々の毛だし、乾いてきたらふわふわなのに。
「切りどころが悪くて完全とは言えないんだ。買い取り価格的に落ちるからな」
「へぇ…」
「特に服職人からの依頼だから、毛皮の面積は広いほうが使いがってもいいしね。納品しない分は店主が買い取ってくれるけど、折角だからまたフィーの服でも作ろうかな」
「僕の…」
「肉は干し肉に加工しておけば冬の間の備蓄にもなる」
「ラビットの肉は美味しいからね」
「煮込みが特に美味いから冬の間のいい稼ぎにもなるし」
「いいこと尽くめだけど、家畜化できないからね。戦うことができない人にとってはかなりの脅威だし」
淡々と話す二人。
僕は相槌しかできない。
「……冒険者になると魔物のことに詳しくなるの?」
「まあ、スノーラビットは依頼も多かったからよく狩ってたしな」
「魔物の種類もそう多くはないしね」
「解体も自然とできるようになるの?」
「それも慣れだな」
「慣れだねぇ。魔物のどの部位が素材として買い取ってもらえるかわからないから、最初は手当り次第って感じだったし」
「滅茶苦茶苦労して剥ぎ取った毛皮になんの価値もなかったりな」
「なんでも食べれると思って食べた魔物肉が硬いし味ないし、なんなら毒があって食用じゃなかったり」
「ああ。そんなこともあったな。腹を下して大変だった」
「フィーにはそんな大変な思いさせないからね」
「しっかり旨いもん食わせてやるからな」
「う、うん?」
詳しくなるってことは、美味しいものがわかるってことなのかな…?
2
お気に入りに追加
1,338
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

王族なんてお断りです!!
紗砂
恋愛
この度めでたく私、エリス・フォーリアは男爵令嬢のいじめなんて生ぬる……馬鹿らしいことをしたという理由で婚約破棄をされました。
全く身に覚えもありませんし、その男爵令嬢の名前すら知らないのですが。
まぁ、そういうことで王家を見限った私は王国から店舗を撤退させていただきます♪
……のはずが、何故国王選定の最有力候補に名前があがっているのでしょうか?
そのうえ、他の公爵家の方々から頭を下げられ、隣国の王子との婚約話も進んでいるのですが……
ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります
ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。
今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。
追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。
ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。
恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!
すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜
ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。
恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。
※猫と話せる店主等、特殊設定あり

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる