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幼馴染み二人と冒険者になりました!
14 毛皮調達依頼/L
しおりを挟むだったら、宿にフィーを連れて行くのは最小限に留めておけばいいんじゃないかって、ディーと話し合った。
フィーの冬用の服はもう少し増やしたい。依頼を受けるときにあの白いふわふわな外套を着せるわけにいかないから、丈夫な革で作られてて、内側に手触りのいい綿か毛が使われているものも欲しい。防御性もあって動きやすくて暖かくて可愛いやつ。
やることは多いな。
王都にいればそれほど物の流れが滞ることはないとはいえ、この時期に少しでも多く保存食は用意しておきたい。
家を買う、フィーと暮らす……って目的は達成できたけど、お金は有るに越したことはないし。
やらなきゃならないことをあれこれ頭の中でまとめながら、早朝の王都を歩いていた。
宿で人気者になってしまったフィーを完全に抱き潰した翌日。フィー目当ての冒険者で混む昼前の時間を避けて、私かディーのどちらかで依頼を受ければいい。それが私達の結論だった。
「おはようございます、店主」
「お。一昨日ぶりだな。ディーと坊主は――――ああ、なるほど」
暁亭の店主は察しが良くて助かる。
宿内には冒険者がちらほらしかいなかった。十分狙い通り。
依頼掲示板を見ながら、スノーラビットの依頼が出ているのに気づいた。
「スノーラビット、もう出始めたんですか」
もうすぐ冬月ではあるけど、秋の終わりの時期からいるとは思ってなかった。
「ああ。まあ、冬月にも依頼は増えるだろうな」
「なるほど…。………あれ?」
依頼内容は肉ではなく毛皮だった。
去年は肉ばかりの依頼だったのに。
「毛皮?」
「あー……それな?どっかの誰かさん方が去年ラビットの毛皮で外套を作ったらしくてな?それを見た服職人が依頼を寄越したんだよ」
「へぇ」
「………それだけか?」
「ええ……まあ」
店主もわかってるだろうに。
誰かさん……って、私達のことだ。なるほど。フィーがあれを着て何度も王都を歩いていたから、自然と宣伝になっていたのか。
「肉は自由にしていいんですか?」
「ああ。そっちの依頼はまだ入ってないからな」
なら、肉は干し肉に加工しよう。数日分は生肉でもいい。
「店主、これを」
「あいよ」
依頼書を外し、店主のもとに出した。
期日は今日から三日。数は五十。……楽勝だな。
「この時期だと少し森の方に行くといい」
「わかりました。……店主、箱を貸してもらえると助かるんですが」
「わかったわかった。まあ、数も数だからな。戻り次第返却な?」
「ええ」
店主は奥の部屋に一旦向い、こぶりな箱を持ってきた。フィーの引っ越しのときに借りた箱よりも小ぶりだった。……この店主、この貴重な収納箱、何個所持してるんだろう。
「では行ってきます」
「ああ。女神様の加護があらんことを」
「はい」
定番の言葉を聞いて、箱を持ち、家路を急いだ。
家に帰ったらまずは朝食。
その前にフィーを風呂に入れようか。
それから野営の準備をして、必要なものを調達してから森に行く。
今日と明日は野宿だ。
フィー、どんな反応をするだろう。
依頼に行くというのに、楽しみで仕方ない。
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