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幼馴染み二人と冒険者になりました!
12 初めての依頼達成
しおりを挟む「…えと、協力……って?」
「同じ依頼を受けるわけじゃないし、組むわけじゃないけど、たまたま同じ場所に居合わせたら依頼に関係なく手助けしたり、かな」
「そういうの、あるの?」
「まあ、あるね」
「そうなんだ…」
エルが言うなら確かだよね。
ん、協力、大事。
「協力なら……いいと思う」
「ありがとうございます……めが、…ラルフィン!!」
大きな声にちょっとびくっとした。
悪い人じゃないのはわかってる。
この二人、黒くないから。真っ白、ではないけど、真っ白な人なんて、神官さんにも少ないくらいだし。
「そろそろ戻るか」
ディーが僕の頭を撫でた。
「うん」
帰りたい。
お風呂入りたいよ。
「二人もそろそろ戻った方がいい。日が暮れるとこのあたりは魔物が増える」
「ああ。そうするよ」
「というか、帰る場所同じなんだから一緒に――――」
話の途中でディーにひょいっと抱き上げられた。
エルが荷物の確認をして、僕たちに寄り添う。
「それじゃ、お先」
「「え」」
ミルさんとラドさんに手を振った。
それからすぐにエルの風魔法が発動した。
僕はぎゅっとディーの頭にしがみつく。
これ、結構怖いんだよ。
もうぴょんぴょん飛ぶように移動するから…。
「……は?」
「まじ?」
……っていう二人組のつぶやきは、風を切る音で僕には聞こえなかった。
東門に戻るまで、あっという間。
門をくぐるときには魔法はきっていたから、普通に歩いて門をくぐったけど、僕はやっぱり抱っこ状態だった。
出るときと同じ門番の兵士さんが、すごーく労し気な、微笑ましそうな顔で見送ってくれた…。もう…。
「エル、キノコ以外は何か買うものあるか?」
「んー、多分大丈夫かな。そろそろスノーラビットの時期だねぇ。キノコ塩漬けして残して、ラビット肉手にいれたら一緒に煮込むかなぁ」
「美味しいの?」
「美味い」
「美味しいよ」
「食べたい」
エルの料理ならなんでも美味しいけど。
「楽しみ!」
「だな」
「あー…手、抜けないじゃん。抜く気もないけど」
って笑いながら西町に入って、暁亭に戻った。
店主さんに依頼のキノコが入った袋を渡すと、店主さんはその中身を確認していく。
「ん、状態もいいな。依頼完了だ」
「おー」
「初依頼お疲れさん」
って、頭ぐりぐりなでられた。
初依頼終わったんだーって嬉しくてにまにましていたら、店主さんがカウンターの上に袋を置いた。
「これ、なに?」
「……フィー、依頼ってのは、あくまでも仕事の依頼。仕事をこなせば報酬が出るのは当たり前だろ?」
「そう…なの?」
「うん、そうなの」
ディーとエルに、苦笑されながら説明されてしまった。
「そういうこと。つまり、これが坊主の初稼ぎってことだな」
「僕の……」
袋を手にもった。
そんなに重くはないけど。
でも、僕、初めて自分で稼いだお金だ……って思ったら、もう嬉しくて。
そりゃ、自分一人でどうにかなった依頼ではないけど、それでも、嬉しくて。
帰りに二人に何か買ってあげたいな…って思った。
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