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幼馴染み二人と冒険者になりました!
3 冒険者の『自由』
しおりを挟む「あの……店主さん」
「ん?」
「あの……、僕……、冒険者になっても、ディーとエルと、一緒にいられますか……?」
「んん??」
僕のいきなりの問いかけに、店主さんが変な顔をした。
店主さんは僕の顔を見てから、ディーとエルに視線を移していく。
「なんか変なことでも言ったのか?」
「いえ。ただ…、神官であるフィーは、もしかしたら別の人と組むこともあるかもしれない、と……」
「あーなるほどな」
「店主はそんなことしないと思うんですけど」
ディーとエルが、ちらりと店内に視線を向けたけど、またすぐ店主さんの方を見た。
「坊主、変な心配すんな。冒険者ってのは自由なんだ。行動は自由。依頼を受ける受けないも自由。どこに行こうも自由。誰と組もうと自由。ただし、制約もある。人として当然のことをしていればいい。中には堕ちる奴もいるが、そいつらはごく一部だ。いい見本がお前のすぐそばにいるだろ?」
「そば……」
そういわれてディーとエルを見上げると、すごく優しい目で僕をみてくれて、二人が頷いてくれた。
「人の倫理に反する行為――――例えばな、他者を殺めたり、物を盗んだり。そういったことは普通に罪だ。それをやるような奴は『自由』をはき違えるやつらばかりだ。その点、そこの二人は絶対にそれを間違わないだろ?」
「はい」
「制約をわかった上で自由でいられる冒険者だ。『自由』なんだから、誰と組もうとそれはそいつの『自由』だろ?」
「……はい!」
「実際、そいつらと組みたいやつは結構いるんだ。よく聞かれるし、お前らだって直接申し込まれるだろ?」
「…まあ」
「全部断りますけどね」
…そんな話、はじめて聞いたんだけど。
「けど、こいつらは他の誰とも組もうとしない。大勢で受けるような依頼は今まであまり受けてもいない。そういうのは大概が王都から遠く離れることが多いからな。できるだけお前さんの近くにいられるようにしてきたんだろ。そんな奴らが大事にしてきたお前さんを、態々他の奴らに組ませるようなこと、俺もしないさ」
ニ…っと笑う店主さん。
それを聞いて、僕はやっと肩から力が抜けていった。
「と、言うわけで。ほら、これが登録証だ」
「え」
すいっとカウンターテーブルの上に置かれた銀色の小さ目の板と、ガラスでできたペンと、見たことのない入れ物に入ったインク。
「えと……見極め?腕試し……みたいなことは、しなくていいんですか……?」
「したいのか?」
「む、無理です…っ」
「だろうな?」
って、笑う店主さん。
「お前さんの実力は俺はもう理解している。それじゃ、駄目か?納得しないか?」
僕の頭をぽんぽん撫でながら。
店主さんはそれはもう楽しそうにそう言った。
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