幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

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幼馴染み二人と蜜月を過ごします。…蜜月ってなんですか?

4 箱の秘密

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 ディーが持ってた僕の荷物の入った小箱は、居間の方に置かれてた。

「とりあえず朝食の準備するから、ディーとフィーは荷物片付けて。ごちゃごちゃに置かないでね。置き場所わからなかったら私に聞いて」
「はーい」

 家の中を見終わって、クローゼットの中の僕の服の量にびっくりしてたら、エルがそう言ってきた。
 寝室からまずエルが出て、僕が室内履きから靴に履き替えて、ディーが出て…、エルが舌打ちした。

「室内履き、増やそうか。靴は玄関の方で脱いでさ。そのほうが楽だね」
「それがいいな」
「僕はあのふわふわの履けばいい?」
「「それは寝室用だから駄目」」
「ふぁぃ」

 確かに汚れちゃうしね。
 エルがうーんうーん考えながら台所のとこに行った。
 僕は居間でディーと荷物の片付け。
 ディーは次から次へと箱から袋を取り出していく。
 ……やっぱりおかしいよね。この箱。絶対こんなに沢山の荷物入らないし、いくら力持ちのディーだって、あんなに軽そうに持てるわけない。

「どうした?」
「え?」
「フィーの顔が可愛いことになってる」

 ディーが笑いながら僕の眉間をぐりぐり触ってきた。
 ん。くすぐったい。

「あのね」
「うん」
「この箱、おかしいよ?」
「うん?」
「こんなに小さいのに、荷物入るわけないよ?」
「ああ」

 ディーは納得…って顔を僕に見せて、それから、ちゅ、って額にキスをくれた。

「魔法がかかってるんだ」
「魔法?」
「そう。収納魔法。見た目は小さいけど色々沢山入るんだ」
「エルが魔法をかけたの?」
「私には無理だよ」

 台所の方からエルの声がしてそちらを見たら、苦笑したエルと目が合った。

「収納魔法は空間属性の魔法だから。私には使えない。……それに、今は空間属性を持ってる魔法師はいないはずだから。ちょっとまずい魔法だから、投獄されたり、下手したら殺されたりするんだ」
「え」
「王族のお抱えとかになら、もしかしたら使える魔法師がいるのかもしれないけど。ほぼ禁忌な魔法なんだよ」

 淡々とエルが話すから。
 なんか、急に不安になって。

「フィー?」

 駆け出して、台所に立ってるエルに後ろから抱きついてた。

「どうしたの?」
「エル、捕まるの?」
「私は捕まらないよ。使えないから。……使えたとしても使わないよ」
「ほんとに?」
「本当に。折角フィーと一緒に住めるのに、なんで牢屋になんて入らないとならないの」

 くすくす笑って、振り返ったエルも僕の額にキスをしてくれた。

「じゃあ、あの箱は?」
「遺跡なんかでたまに手に入るやつだ。個人で買うには高すぎるから無理だが、今日は店主に借りてきた。それなりに荷物も多いと思ってな」
「店主さんから…」

 ディーが台所越しに教えてくれて、やっとわかった感じ。

「ほら、フィー。いつまでもエルに抱きついてないで、荷物片付けるぞ?」
「うん」
「頑張って。私も美味しい朝ごはん用意するからね」
「うん!」

 もう一回だけエルをぎゅっと抱きしめて、台所から出てディーのところに戻った。
 よし。
 頑張るぞ!



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