幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

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幼馴染み二人と蜜月を過ごします。…蜜月ってなんですか?

2 ずっと一緒の最初の日の始まり

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 ほんの少し寒い朝の早い時間。
 右手はディーと繋いで。
 左手はエルと繋いで。
 指を絡めて、嬉しくて笑う。

 これからずっと一緒。
 七の鐘の前に神殿に帰ることもない。
 ずっと、ずっと、一緒。

「フィー嬉しそうだな」
「嬉しいよ」
「フィーが可愛い」
「ディーもエルも格好いいよ」
「「………」」

 ぎゅ…って、手に力が込められた。
 それから、頬にちゅってキス。

「くすぐったい」
「フィーが可愛すぎるから」
「キスくらいしないと我慢できなくなりそう」
「……何を我慢?」

 こてん…と、首を傾げたら、エルが僕から視線を外した。
 なんで?と思ったら、エルの右耳がすごく赤い。真っ赤。

「エル、寒いの?」
「え?」
「耳が真っ赤……」
「だ……大丈夫!」
「そう?」

 大丈夫そうに見えなくて、また首を傾げたら、またまたエルが僕を見なくなっちゃった。
 もぅ。
 なんなのさっ。

「……こんなに破壊力あったっけ?」
「それは、あれだ。俺たちの心持ちが違うから」
「あ~~……。私達は今すぐにでもヤリたくて仕方ないのに、フィーがいつもどおり無自覚に煽ってくるから可愛くて可愛くて仕方ないのか」
「なぁに?」
「この子、これから私達に何をされるかわかってるのかな…」
「わかってないだろ」
「だよね…」

 エルだけじゃなくてディーまで盛大なため息。
 なんか、僕、呆れられてる?なんで?
 これからずっと、二人と一緒なんだ、って浮かれすぎてるから?
 もしかして、冒険者になっても、僕は家でお留守番になるの?
 そんなの……やだ。

「ふぇ……っ」
「「えっ」」
「お……お願いだから…っ、僕、置いていかないで…っ、僕、頑張るから……っ」
「あー……もうっ。フィー、はい、おんぶ!」

 エルが僕に背中を向けてしゃがんでくれた。
 しゃくりあげながらエルの背中から首に腕を回してピタリとくっついたら、エルが僕をおんぶして立ち上がる。

「何か悲しくなった?」

 ディーは片手に箱を持ちながら、僕の涙を拭ってくれる。

「……ディーとエルが、僕を置いていくから……」
「「なんで!?」」
「だって……、そういう話じゃないの?僕、わかってない、って。僕、今日からずっと二人と一緒、って、凄く嬉しくて、でも、僕ばかり嬉しくて、エルは僕のこと見てくれないし、二人とも、なんか呆れたように話してるし、だから、だから」
「「あ゛~~~~~」」

 エルはがくりと項垂れた。
 ディーは目元を手で覆って空を見上げた。
 僕はやっぱり二人に歓迎されてない気がして、また、じわ…って、涙が出てくる。

「この感覚久しぶりすぎる」
「さすがフィー…。私達の予想の遥か上を行く天然っぷり」
「とりあえず、だ。フィー」
「なに………、…んっ」

 エルの背中の上で、ディーがキスをしてきた。

「あ、ディー!」
「ほら…泣き止め」
「ん……」

 くにゅ…って、入ってくる舌が熱い。
 上顎をくすぐられて、舌を引っ張り出されて、甘噛みされる。

「ん……んふぅ……」

 大好きなキス。
 身体がどんどん熱くなってく。

「んぁ……っ」
「……私の背中が、死にそう……」

 気持ちよくて、心地よくて。
 ディーがキスをやめたあと、僕は震える手でエルにしがみついた。
 そしたら、ディーが僕の頭を優しく撫でてくれる。

「まずは俺達の家に帰ろう」
「……ん」

 ――――俺達の家。

 その言葉が嬉しくて、エルの背中に額を押し付けた。






「……フィー……、半勃ち……」
「だよな」
「背中が幸せすぎる」
「……だよな」
「はやくあんあん啼かせたい」
「とりあえず早朝から不穏な言葉だすな」

 ………はんだち、って、なに?


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