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幼馴染み二人と僕の15歳の試練
84 僕が神殿を出る日の礼拝堂
しおりを挟むこつん…って、キリルくんと握った手を合わせた。
いいなぁ、こういうの。へへ。
僕達は礼拝堂の床に座り込みながら話し込んでいたのだけど、礼拝堂に苦笑した神殿長さんたちが入ってきて、僕もキリルくんも跳ねるように立ち上がった。
床の上に直座りしちゃってたからね。
「おはようございます!」
「おはよう」
キリルくんと二人でぺこってみんなに頭を下げて挨拶したら、みんなも優しい声で返してくれた。
そしたらこんどは礼拝堂の大きな扉が開いた。
「来たようだね」
神殿長さんが、開いた扉を見て本当にお父さんみたいな顔で笑うんだ。
「ディー、エル!」
「「フィー」」
こぶりな箱を持ったディーと、手ぶらのエル。
二人の姿を見たら、いても立ってもいられなくて駆け寄ってた。
「おはよ!」
「ん、おはよう」
「おはよう。ちゃんと、眠れた?」
「大丈夫!」
ちゅ、ちゅ、って、両方の頬にキスをもらう。僕も、二人にお返しをする。
「二人も来たことだし、そろそろ部屋に行こうか。キリルは朝食に行きなさい」
「はい。――――じゃあ、ラルフィン、またな」
「うん!」
「約束、忘れんなよ」
「忘れないよ!」
ニッと笑ったキリルくんに、僕も笑って返す。
キリルくんは、うん、って一度頷いてから、礼拝堂を出ていった。
「約束って何?」
「何を約束したの?」
「んとね、僕が強い冒険者になるように頑張るから、キリルくんは高位を目指して頑張る、っていう約束!」
二人でしてた話をしたら、その場にいたみんなが何故か固まった。
「「フィーが強い冒険者?」」
「うん」
「ラルフィン……人には向き不向きがあるんだよ」
ディーリッヒさんの困った笑い声に、他の神官さんたちがうんうんって頷く。
「それって――――」
みんなも僕が強い冒険者になるのは無理だ、って、思ってるのー!?
「フィー、あのな。高位の神官で冒険者になった人はいないんだ、って店主殿が教えてくれたんだ」
「ディー?」
「冒険者の強さは魔物を相手にすることだけじゃないよ。神官で、癒やすことができるフィーは、もう十分強い冒険者だと思うよ?」
「エル」
「ある意味最強だぞ」
……って二人が笑いながら僕の頭を撫でてくれた。
それだけで、むむってしてた僕の心の中が、ふわんってあったかくなる。
「へへ」
「うん、可愛い」
「こんな可愛い冒険者見たことないよ」
「そういう意味でもフィーは最強だな」
「ふふふ!」
最強、最強だって!
嬉しくて二人の腕に抱きついていたら、「さすが…」「ラルフィンの扱いがうますぎる…」「確かにある意味最強だ…」とか声が聞こえた気がしたけど、まあ、いっか!
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