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幼馴染み二人と僕の15歳の試練
56 謹慎明け
しおりを挟むこの感覚、久しぶりのように感じる。
『おかえりなさい』
って言われてる気がする。
女神さま。
大好きな二人ととっても沢山一緒にいました。
恥ずかしいこと一杯したけど、二人とも喜んでくれたし、僕も嬉しかった。
それから、僕達の家のことも少し話しました。
来年から一緒に住むから。ずっとずっと、一緒にいられるから。
……どうしよう。
胸の中、すごくぽかぽかしてる。
明日から、また頑張ります。
あんなに格好いい二人と一緒にいるんだから、僕ができること、全力で頑張らなきゃ。
最後におやすみなさいと祈って、立ち上がった。
扉の方に足を向けて、神殿長さんが微笑みながら立っていたのに気づいた。
「お帰り――――というのはおかしいかな」
「えっと……謹慎……から、戻りました……?」
っていうのも、なんだかおかしいかな。
なんとなくくすくす笑ってしまったら、神殿長さんも笑ってくれた。
「お帰り、ラルフィン。ゆっくり休めたかい?」
「ただいまです、神殿長さん。えっと……、すごく、休めました」
たくさん愛されて、身体は少しおかしいけど。
「…南町も見てきました」
「……どうだった?」
「まだ……全然元通りじゃなくて、悲しさとか悔しさとか……、そんな感情がいっぱいだったけど……、でも、笑ってる人もたくさんいて、強いな、って。……でも、やっぱり、突然家族を…愛しい人を亡くすことは、悲しくて」
「そうだね」
「僕……、ちゃんとできましたか……?」
南町に降り注いだ光はまるで奇跡のようだった、って。心が癒やされたって言われたけど。
僕ができていたのか、自信がない。
「ラルフィン…」
「赤ちゃんを抱えて、死にたいと願う女性がいました。旦那さんが亡くなったって。……僕は、亡くなった方を送ったときに、その人の家族とか恋人のことまで考えてあげられなかったのかな…って。鎮魂は、亡くなった方だけじゃなくて、その人の家族や親しい人の心も癒せるものなのに」
けど、あの女性には届いてなかった。
「その女性はどうしたんだい?」
「……赤ちゃんが、本当に生まれたばかりで。だから、僕、赤ちゃんに祝福を贈って…。赤ちゃんの瞳が紫色で、きっと旦那さんの色で……、そしたら、その女性から感じていた死にたいっていう気持ちは感じなくなって」
「うん」
「でも、助け合ってる人たちもたくさんいて、僕のこと、神官だって知ってる人もいて」
「うん」
「お祈りしてほしい、って言われたから、僕、心が癒やされるように、たくさん、祈って」
「そうか」
「……その人たちの笑顔はとてもキラキラしてて眩しくて」
「謹慎期間中に奉仕活動をしていたんだね」
「だめ……でしたか?」
声は優しいけど。
そっと神殿長さんを見上げたら、頭に大きな手が乗せられた。
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