148 / 247
幼馴染み二人と僕の15歳の試練
55 また少しの間お別れ
しおりを挟むふわふわな気持ちのままで夕飯を食べた。
着替えは全部二人がしてくれた。
沢山髪を撫でて、厚手の上着を羽織って、ずっと籠もっていた宿を出た。
吐く息は少し白い。
頬は少し冷たくなるけど、手はディーとエルが繋いでくれてるから、温かい。
「あのね」
「ん?」
「なに?」
「……来月の一の日も……、たくさん、キスしてくれる?」
「もちろん」
「しない選択肢はないでしょ」
ぎゅって強く手を握る。
「他にも……いろいろ……」
いろいろ。
……直前までされてたことを、思い出しちゃって。頬が、かかかーって熱くなった。丁度いい。冷たかったし。
「泊まりじゃないのが残念だな」
熱い頬に、ディーの唇が触れてくる。
「朝から夜まで愛してあげる」
くすくす笑うエルのキス。
……いいな。きもちいい。
「……ぼく、がんばる」
「俺たちに舐められてもすぐにイかないように我慢するのを頑張るか?」
「私達のを舐めるのをもっと頑張ってくれるの?」
からかうような二人の低い声が、耳元で囁かれて、また、顔が熱くなる。それに、お尻のとこがムズムズしてくるし、僕のあれがじわっと濡れた気がした。
「うう~~……二人のばかぁ……っ」
恥ずかしくてじわりと涙が出てきたけど、ディーとエルが舐め取ってくいく。
「からかいすぎた。ごめん」
「フィー…可愛い。少し出ちゃった…?」
「~~~っ、もー……!!」
あんなにたくさん触ってもらったのに、また、して欲しくなる。
不思議。
好き、って思ったら、ずっと触れていたくなるのかな。ずっと触れてて欲しくなるのかな。
夜が深くなった王都は、あまり人はいない。
夏の夜はまだ人が多いけど、冬はやっぱり寒いからか人が帰る時間が早い。
だから、今、神殿に続く道を歩いているのは僕達だけ。
「……星……、綺麗」
「本当だ」
「フィーの瞳の中みたいだね」
エルにそんなことを囁かれて、恥ずかしくなった。
あれ?でも。
「僕の目、黒くないよ?」
昼間の空の色の目のはずだけど。
「黒じゃなくても、キラキラしてて、空の青色の中に星があるみたいに見えるんだよ」
楽しそうにそう言って、僕の目元にキスしてくれた。
こういうとき、エルのほうが恥ずかしくなること沢山言う。
ディーは夜空と僕の瞳を見比べて、なるほどなぁ、とか頷いてる。
「…気づかなかった。覗き込んだらフィーの瞳にはいつも俺たちが映ってるから」
「そ、それはぁ、だって、覗き込んでたら映る、よね…?」
「そうだけど。でも、ちゃんと俺たちを見てるんだと思ったら、嬉しくなる」
…だって、二人と一緒にいるときの僕、ずっと二人のこと見てるよ。……見ていたいし。
「……好きなんだもん」
好きだから、見ちゃうでしょ。仕方ないでしょ。
「俺も、愛してるよ」
「私も愛してる」
ちゅ、ちゅ、って両側から頬にキスされた。
……うん。
ほんとに、大好き。
そうやってなんどもキスを繰り返しながら、ゆっくり歩いていたのに神殿についてしまった。
「ディー…エル…」
ぎゅ……って二人に抱きついたら、抱きしめ返してくれる。
「……また」
別れの言葉を出せない。
寂しい。
「フィー、いつもどおりだから。大丈夫。俺たちはいなくならないし、フィーに何かあれば、すぐに駆けつけるよ」
「うん…」
「私達の恋人はフィーだけなんだから、他の人には触れないよ。…フィーのこと想いながら自慰はしちゃうけど」
「…う?」
…じい、ってなんだろ…、って思ってたら、ディーがエルの頭を小突いた。
「余計なこと吹き込むな」
って。
余計なこと、ってなんだろ。
「今度教えて?」
「「え?」」
「じい、ってなに?」
ディーはため息をついて項垂れて、エルは嬉しそうにうんうんうなずいた。
「今度教えてあげる。手取り足取り」
「う、ん?うん。教えて」
よかった。教えてくれる。
ディーが「理性が持つのか…」とかぼそぼそ言ってたけど、よくわかんないからいいや。
最後に二人とキスをして、「おやすみなさい」って言葉をかわす。
二人の見送りはしない。二人は僕が神殿の中に入るまで見てくれてるから。
いつもどおり二人と別れて、少し暗い廊下を進む。
裏じゃなくて、礼拝堂に入った。
「女神さま……ただいま戻りました」
膝をついて手を胸の前で組んで。
女神さまにそう言葉を伝えたら、ふわりと暖かな気配に包まれた。
2
お気に入りに追加
1,338
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

王族なんてお断りです!!
紗砂
恋愛
この度めでたく私、エリス・フォーリアは男爵令嬢のいじめなんて生ぬる……馬鹿らしいことをしたという理由で婚約破棄をされました。
全く身に覚えもありませんし、その男爵令嬢の名前すら知らないのですが。
まぁ、そういうことで王家を見限った私は王国から店舗を撤退させていただきます♪
……のはずが、何故国王選定の最有力候補に名前があがっているのでしょうか?
そのうえ、他の公爵家の方々から頭を下げられ、隣国の王子との婚約話も進んでいるのですが……
ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります
ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。
今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。
追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。
ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。
恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…
勇者パーティから追い出されたと思ったら、土下座で泣きながら謝ってきた!
蒼衣翼
ファンタジー
書籍化にあたりタイトル変更しました(旧タイトル:勇者パーティから追い出された!と、思ったら、土下座で泣きながら謝って来た……何がなんだかわからねぇ)
第11回ファンタジー小説大賞優秀賞受賞
2019年4月に書籍発売予定です。
俺は十五の頃から長年冒険者をやってきて今年で三十になる。
そんな俺に、勇者パーティのサポートの仕事が回ってきた。
貴族の坊っちゃん嬢ちゃんのお守りかぁ、と、思いながらも仕方なしにやっていたが、戦闘に参加しない俺に、とうとう勇者がキレて追い出されてしまった。
まぁ仕方ないよね。
しかし、話はそれで終わらなかった。
冒険者に戻った俺の元へ、ボロボロになった勇者パーティがやって来て、泣きながら戻るようにと言い出した。
どうしたんだよ、お前ら……。
そんな中年に差し掛かった冒険者と、国の英雄として活躍する勇者パーティのお話。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる