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幼馴染み二人と僕の15歳の試練
42 南門で
しおりを挟む西町はいつもどおり活気に溢れてた。
でもまずは、南に行きたい。
手を繋いで歩く。
南町の区画に入ると、少し人の数が減った気がした。
門から続く道は行商人たちの露店も多く賑わった場所だから、ここで商売ができない人たちは、西や東に散っている。
壊されたお店や住居は、多分一部なんだろうけど、でも、なんとなくこの区画全体が寂しくなったように感じた。
門の方に近づくにつれて、音が聞こえてくる。
「なんの音?」
「多分、建物の建設とか、瓦礫を撤去している音だな」
「…そっか」
音のする方に進んでいく。
少し大きな通りの近くになったところで、崩れた建物とか、なぎ倒された木とか、そんな光景が目に入ってきた。
作業の邪魔になるから、すごく近くまでは行くことができない。
でも、大きな通りには入ることができて。
「門の復旧だけは急いだんだな」
「そうだね。そうしないと、すぐ他の魔物に襲われるから」
門は閉じられているけど、前のような頑丈なものじゃない。あくまでも、魔物が入ってこれないようにするための簡易的なものに見える。
「でも、あの門、まだ弱いよね」
「完全修復には時間がかかるからな」
「兵士も以前より多く配置されてるし、ある程度の強度があれば街は守れるからね」
周りを見渡してみる。
兵士さんや家を作る専門の人?に混ざって、多分住民の人も瓦礫の片付けとか手伝ってる。
……僕が行っても、多分邪魔にしかならないけど。非力すぎて……。
視線を巡らせていたとき、すごくざわざわしたものを感じた。どこからだろうと思って見ていたら、半分くらい崩れた家の前で、一人の女性が佇んでた。
「フィー?」
二人の手を離して、僕はその女性のところに歩いてく。
「こんにちは」
「…………こん、にちは」
女性の腕の中に、生まれたばかりの赤ちゃんがいる。
「可愛い。男の子ですか?」
「え…?……あ、はい、そう、です」
「お名前は?」
「…………まだ、きめて、なくて」
ディーとエルは、僕のすぐ後ろにいてくれる。
「祝福をしてもいいですか?」
「祝………福?」
「はい。僕、神官なんです」
女性は少し驚いたように僕を見て、それから、表情が緩んだ。
「抱っこしてもいいですか?」
「………はい」
女性は、僕に赤ちゃんを抱かせてくれる。
軽い。
でも、口元をなんだかむにゅむにゅさせててとっても可愛い。
「名前は……いつ決めるんですか?」
そしたら、女性は目を伏せた。
「………夫が、………でも、夫は………」
女性から、胸を締め付けられるような悲しい感情が流れてきた。
……だから、わかってしまう。
きっと、僕が送った命の中に、この女性の旦那さんがいたんだ。
だから、こんなに、悲しんで。
死にたいと、願ってしまうほどに。
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