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幼馴染み二人と僕の15歳の試練
19 朝ごはんに遅れたら、ご褒美がついていた。
しおりを挟むもーだめ!
って思って、礼拝堂に逃げた。
お部屋でもいいんだけど、女神さまの気配を一番強く感じる礼拝堂が、一番落ち着くから。
一心不乱に祈った。
好きって気持ちに蓋をしたいわけじゃないけど、なんか、なんか、二人にされるあれこれを止めどなく思い出していたたまれなくなっちゃうような、すごく、すごく、触れてほしくなるような、気持ちは、今は蓋をしたい。
女神さま、ごめんなさい。僕の心の中、なんかどろどろになってる。
でも許してください。二人のこと、本当に好きなんです。
ふと、女神さまを感じた。
しかも、苦笑いしてるような、そんな雰囲気の女神さまを。
「あううう……」
女神さまにまで呆れられた……。うう。
だって、だって、本当に好きなんだもん。
二人とも凄く格好良くて、何でもできて、……格好良くて。格好いいんだよ…。
祈りなのに、僕の好きな気持ちを曝け出してるだけになってた。恥ずかしい…。
それでも、少しずつ気分は落ち着いていったけど。
女神さまの手が、ふわりと僕の頭を撫でたとき、礼拝堂に誰か入ってきた。
「ラルフィン」
呼ばれて顔を上げたら、ディーリッヒさんが女神さまと同じような苦笑いの顔で立ってた。
「おはようございます、ディーリッヒさん!」
「おはよう」
僕は急いで立ち上がってディーリッヒさんの所まで歩いた。
「随分熱心に祈ってたね」
「えーと……、……へへ」
ホントのことを言うには恥ずかしいので、笑って誤魔化してみる。
「ディーリッヒさん、こんな早朝から珍しいですね。今日、なにかある日ですか?」
……って聞いたら、また、苦笑。
「ラルフィン」
「はい?」
「……もう二の鐘が鳴ってからだいぶ経つんだよ。君が祈りの間にも食堂にも姿を出さないから、探しに来たんだ」
「え!?」
「急がないと三の鐘が鳴るよ?」
「うそ……!」
まさか鐘の音を聞き逃すなんて…!
意識したら、お腹がぐーって鳴りました…。
大急ぎで食堂に向かった。
食堂の中はもう誰もいない。
……やってしまった。
厨房の料理人さんは、僕の顔を見て苦笑。
……僕、今日は皆から苦笑される日ですか?
「朝ごはんも忘れて何やってたんだい?」
お盆におかずを載せてくれる料理人の人。
「ちょっと祈りすぎてて……」
って言ったら、笑いながらおかずの横に何かぷるんとした物を追加してくれた。
「プリン。熱心なラルフィン君にご褒美だ。みんなには内緒な?」
「はわ…ありがとうございます!」
プリン、プリンだぁ!!
すごくすごく嬉しくて、にまにましてたら、お茶を受け取ってたディーリッヒさんが、ぷはって笑いだした。
「おこさ……」
「子供じゃないです!」
「ラルフィンはかわいい子供だなぁ」
ディーリッヒさんの言葉は止めたのに、料理人さんまで笑いながらからかってきた。
「むぅ」
「ほら、おこさまじゃないと主張するラルフィン?そろそろ鐘がなるよ?」
「!?」
やばい。
食べなきゃ!
一番近いテーブルについて、大急ぎで手を合わせて、大急ぎで食べ始めた。
…僕の大急ぎなんて、所詮、みんなの普通くらいだけど…。
僕なりの大急ぎで味わってご飯を食べて、最後にご褒美プリンを頬張って、にま~としながら食べてたら、やっぱり笑われた。
それでもプリンは美味しい。
堪能してスプーンをおいたとき、三の鐘がなった。
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