幼馴染二人と冒険者になりました！

幼馴染み二人とほとんど会えなくても豊穣の国の神殿で頑張ります

44 お買い物

　右手はディー。
　左手はエル。
　しっかり握って、街の中を歩く。
　冬月に入ったばかりだから、まだ雪はないけど。

　ディーに、ティーポットを選んでもらった。
　エルに、紅茶の茶葉を二つ選んでもらった。
　二人に選んでもらったことが、すごく嬉しくて、胸の中がぽかぽかしてた。『好き』って感情は、いつだって溢れそうになるから、ちょっと困る。

　お昼御飯は煮込み料理のお店で食べた。他の冒険者の人に教えてもらったんだって。とろとろのお肉とお野菜が美味しかった。

　冬用の僕の服。…だけじゃなくて、ディーとエルの服も選んだ。
　僕に選んでくれたのは、白いふわふわしたものとか、薄い桃色の外套とかセーターとか、とにかく全部、ふわふわしてて、柔らかくて、温かいものばかり。
　試着するたびに、「可愛い」って連呼するものだから、ちょっとはずかしい……。
　ディーとエルは、セーターの他に、外套と、丈夫そうな布で作られたマントを選んでた。
　『仕事』に出れば、鎧を身につけるから、少し厚手の下に着る服と、外套では動きにくいときがあるから両方必要なんだって。
　まだまだ遠くの場所には行ったことがないけど、次に僕が神殿から出るのは一ヶ月後だから、その間に色んな依頼をこなしていくって。
　……王都を離れるときは、絶対に教えてくれる、って約束した。戻ってきたらちゃんと報告する、って。
　僕は二人が無事に帰ってくるようにお祈りを続けよう。今の僕にできるのは、それだけだから…。

　荷物はディーとエルが持ってくれた。僕の手は、二人と手を繋ぐためのものだって。荷物を全部任せきりなのは、ちょっとごめんなさいって思うけど、手を繋いでいるのは嬉しくて、「僕も持つよ」とは言い出せない。我儘でごめんね？

　最後に食材を買った。
　夕飯は宿でエルが作ってくれる、って。楽しみ！

　大きな荷物を抱えるように宿に戻ったら、店主さんが大笑いしてた。買いすぎだろ、って。僕はお部屋に入れることにお礼をしながら、二人に促されて部屋に戻った。

　おかえりなさい、と、ただいまのキス。あ、そうそう。買い物に出たときは、いってらっしゃいと、いってきますの、キスをしたよ。

　あまり遅くならないうちにお風呂に入ってしまおう、ってことで、お風呂の支度をして入ったけど。三人で入るにはちょっと狭くて、仕方ないから一人ずつ入ることにした。
　僕は、帰るまで、二人が用意してくれた寝間着のような服を着た。裾がひらひらしてて、すぽって被るだけの服。下着とズボンがない。ご飯を食べたら着替えるから必要ないってことなのかなぁ。簡単に着替えることができるから、簡易的なのでいいかな、的な？？
　……理由は、まあ……、すぐに、わかったから、いいけど……。