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幼馴染み二人とほとんど会えなくても豊穣の国の神殿で頑張ります
45 僕の弱音と気持ちと二人の口喧嘩?
しおりを挟むぽやんとした頭で、夜は寒いから、って、買ったばかりの外套を着て、三人で夜の街を歩いてく。
段々、篝火に照らされた神殿とお城が見えてくる。
……今日の時間がそろそろ終わる。多分、七の鐘、鳴ったんじゃないかな…。
「フィー」
神殿前で、二人に抱きしめられた。
外気が冷たいのに、全然寒くない。
「………ぼ、く」
「うん」
「……いかなきゃ、だ、め……?」
つい口から出てしまうのは、僕の弱音。二人の傍に居たい、僕の気持ち。
きっと、ディーもエルも、怒らない。
僕のしたいようにすればいい、って、言ってくれる。
「……フィー」
でも、予想に反して、ディーから漏れた声は、少し硬いもの。
「それは、本音ではないだろ?」
胸がチクチクする。
「フィーのことは私達が一番理解してるよ?」
エルも、同じ。声は、柔らかいけど。
「ここで放り投げたら、フィーはきっと後悔する。俺は、そんな思いを、お前にさせたくない」
「フィーと離れていたくないのは私達も同じだけどね。でも、その想いに縋るばかりじゃ、私達も先に進めなくなる。……二年後に、堂々とフィーに結婚を申し込めなくなっちゃうからね」
「フィーは、ここで学ぶこと、好きだろ?」
ディーの声から、硬さが消えた。
優しく、優しく、頬を撫でられる。
「……うん」
絞り出した声。
傍に居たいのはほんと。だから、戻りたくない。……けど、二人のそばにいるために選んだ手段としての神官だけど、女神様のことを学んで、お祈りして過ごす毎日は、僕にとって、すごく、すごく、充実してて、楽しいものなのも、ほんとのことで…。
「僕ね……二人が好き」
「うん。俺もフィーのことが好きだよ」
「知ってる。私もフィーのことが好きだもの」
「……でもね、その次くらいに、女神様にお祈りするのも好き」
「それも知ってる」
「五歳の時から、一日も欠かしたことないからね」
二人が、ぎゅーって抱きしめてくれる。
「あのね……僕が二人の傍にいなくても、僕………二人の『恋人』の、まま…?」
「当然だろ。常に傍にいなきゃ成り立たない関係じゃないよ。俺たちは、フィーしか望んでないんだから」
「私は、フィーの恋人は私だけでいいと思ってるけどね?…でも、フィーはディーがいなくなったら悲しむんだろうし、幸せそうな笑顔が好きだから、仕方ないからディーもフィーの恋人でいいと思ってるよ?」
「エル……お前な。それ言うんだったら、俺だって、フィーを独り占めしたいんだよ…っ」
突然そんなことを言い始めた二人に、僕はきょとんと二人を見ていた。
「ったく……いつもフィーのことエロい目で見やがって……」
「へえええええ?散々前立腺いじりまくって、中イキさせまくった男の言うことかなぁ?」
「ああ?俺はフィーの様子見ながらやってんだよ。お前だってことあるごとに素股やりまくってんだろ…っ」
「はぁん?据え膳食わない腰抜けの男になんか言われたくないですねぇ」
「自重してんだよ。フィーのためにな。そんなんもわかんねぇの?お前」
「フィーのためフィーのためって言うけど、ディーのその余計な気遣いがフィーを不安にさせてるってわかんないわけぇ?」
「はぁ!?それならお前だろうが。煩悩の塊フィーに押し付けんなっ。ゆっくりでいいんだよっ。フィーが怖がんだろ!?」
「あーやだやだ。怖がってんのディーの方でしょ?なに?そんなに不安?フィーを気持ちよくさせれないって?ぷぷ。笑っちゃうよねぇ!」
「ふざけんなっ。いつだってフィーのことトロットロにできるからなっ」
「私だってデロデロにできるけどね!」
「ちょ……ちょっと、二人とも!!」
意味は全然わかんないけど、恥ずかしいことを大声で言い争ってるのはなんとなくわかった!
ぎゅむーって二人の口を両手で塞いだら、べろって舐められたっ。
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