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幼馴染み二人とほとんど会えなくても豊穣の国の神殿で頑張ります
26 元気が出ました!
しおりを挟む「少し元気が出たようだね」
神殿長さんは僕の顔を見ると、笑いながらそう言った。
「はい」
「よかったね。それじゃあ、ラルフィン君は食堂に行こうか」
「あ、でも、僕まだお祈りが…」
「さっきしてたでしょう?それで十分だよ」
さっき、っていうのは、ディーとエルのこと好きって思ってた祈りのことかな。
でも、なんで神殿長さんが知ってるんだろう?
「光が見えたからね」
まるで僕の心を読んだみたいに答えてくれた。
でも、そっか。あの光が見えたんだ。
……僕の顔がまた熱くなった。
それって、神殿長さんにも、僕がこの二人のこと、すごく好きだ、って伝わってこと?
両手を頬に当てて俯いたら、両側からきゅって抱きしめられた。
「俺たちはそろそろ行くな?」
「フィー、7日後、楽しみにしてるからね」
「うん。…ありがと、ディー、エル」
ちゅ、ちゅ、って、ピアスのところに口付けられた。
執務室を出て、二人を見送った。
廊下を曲がるまでじっと見つめて、背中も見えなくなってから、神殿長さんが、僕の肩をとんっと叩いた。
「さ、食堂に行こうか」
「はい」
道すがら、いろんなことを話した。
勉強の時間では、よく音読に当たること。神殿の中の掃除は広いから大変だけど、気持ちがいいこと。食堂で出される料理がとても美味しいこと。
「うん。よかったね。……嫌な思いはしてないかい?」
「大丈夫です」
「それはなにより」
ほんな会話をしながら食堂に入ったら、キリル君が僕を見て駆け寄ってきた。
「ラルフィン、大丈夫なのかよ」
「うん。もう平気。心配かけてごめんなさい」
「さ、じゃあ、キリル君、ラルフィン君のこと、頼んだよ。しっかり食べなさい。神官は体力も使うからね?」
神殿長さんはニコリと微笑むと、僕とキリル君の頭を撫でて、食堂の奥に進んでいった。
……なんというか、お父さんみたいだ。
僕はキリル君と一緒に夕食を受け取りにむかった。
「……神殿長のとこでなにかあったのか?」
「なんで?」
「全然表情が違うから。なにかいいことでもあったのかと思って」
「……うん。会いたかった人に会えたんだ」
「誰だよ」
「内緒!」
眉間にシワを寄せて不機嫌そうな?顔をしてたキリル君に、僕はそれ以上言わなかった。
まだ胸の中がポカポカして暖かくて、言葉に出したらこれが少なくなりそうで。
勿体なくて、しまっておきたかった。
僕の、大事な大事な人たちと過ごせた幸福な想いを。幸福な時間を。
「……ま、いーや。ラルフィンが元気になったんなら。食べようぜ」
「うん」
僕は笑って、キリル君と一緒にご飯を食べた。
ディー、エル、本当に、ありがとう。
僕、頑張るからね!
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