幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

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幼馴染み二人とほとんど会えなくても豊穣の国の神殿で頑張ります

20 浄化の光の可視化が一番手っ取り早い

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 礼拝堂の掃除が終わった。
 担当の中位神官さんが色々点検して(担当神官さんもちゃんと掃除してたよ)、特に問題なかったので解散となった。
 今日は他の神官さんの補佐とかもないみたいで、各自自室にて自習(と言う名の休憩時間?)するように、と。

 それで、僕も部屋に戻って手紙でも書こうかなと思っていたら、担当神官さんに呼び止められた。

「ラルフィン、君は少し残ってくれ」
「え、あ、はい」
「キリルは自室に」
「はい」

 キリル君は不思議そうな目を担当神官さんに向けていたけど、素直に頷いた。

「六の鐘が鳴ったら迎えに行く」
「うん」

 じゃあまた後でね、って、ひらひら手を振った。

「えっと……、僕、なにかしましたか…?」

 誰もいなくなって恐る恐る聞くと、その担当神官さんは困ったように笑い出した。

「いや、違うんだ。こんな呼び止め方をしてすまないね。君に関して神殿長からのお達しがあってね。五の鐘の奉仕後、時間が空いたら、私のような中位や、高位の神官たちが、君の持つ力を導くように言われているんだよ」
「えっと…?」
「これからもそうなるから、覚えておいて」
「はい」

 三の鐘の勉強じゃ足りないってことなのかな。
 僕、そんなに出来が悪い…?

 おろおろしてたら、また笑われた。

「君は顔に出やすいね。三の鐘の後に学ぶことは、基本的なことが多い。担当する神官にもよるけども、大体は同じ基本だよ。神殿とはどういうものか、神官とはどうあるべきか」
「はい」

 真面目にうなずいたら、神官さんは苦笑した。

「あの内容では君には足りないんだ」
「?」
「教典を読むだけで光を発したのは、君だけだからね」
「??」

 担当神官さんは、困ったように笑った。
 僕を女神さまの前まで導いて、そこで話を続ける。

「女神様の御力をお借りして浄化の光を生むのが、私達神官だよね?」
「はい…」
「この光は誰でも見ることができるのは、知ってる?」
「はい。村の神官さまが、光を手から出していました」
「うん。まずは、それが第一段階。何故、私達が、浄化の光を可視化させるのか、わかる?」
「え……っと?」

 正直わからない。
 本……教典の中には書かれてなかった。

「可視化できないと、誰も信じられないからだよ」

 その神官さんから出た答えは、僕の予想もしなかったもの。

「私達中位や高位の神官であれば、君の発する光を見ることができる。あとは、高い魔力を持つ者だね。だけど、一般の人には見えない」

 あー、エルは見えてた。けど、ディーは見えてないと思う。その違い?

「人はね、目に見えるものを信じるんだよ。どんなに私達が頑張ったとしても、目に見えるなにかがなければ、人は信じない。信じられなければ、女神様への信仰が薄れてしまう。信仰が薄れれば、女神様から得られる加護の力も弱まってしまう。わかるかな?」
「……わかり、ます」
「うん、それでね。浄化の光の可視化が、一番手っ取り早いんだよ。俗な言い方だけどね?」

 ふふ、と、その神官さんは笑った。
 嫌な笑い方じゃない。
 俗な言い方、っていうけど、女神さまに対して失礼な感じもない。
 むしろ、女神さまも、なんだか喜んでいるような?

 なんだかこの人と話をするのが楽しくなってきた。


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