幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

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幼馴染み二人とほとんど会えなくても豊穣の国の神殿で頑張ります

4 神官になるための条件②

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「試験もパス、見習いもパス、いきなりの下位神官、ですか?……とても失礼なことを確認させていただきますが、そこに神殿長である貴方の欲は含まれていませんか?」

 ディーの声が固くて厳しい。

「フィーは私達の大切な子です。貴方の欲を満たすためにそのような処置を取られるというのなら、私達はここにフィーを預けることはできない」

 エルも、なんだか怒ってる。

 神殿長さんは、怒るでも呆れるでもなく、二人の言葉を聞いていた。
 それから、ふっと表情を和らげて、ディーとエルを見た。

「欲ならあるよ」
「「!!」」

 一瞬、二人から何か怖い気配を感じた。

「君たちが心配しているようなものではないけどね。確かにラルフィン君は可愛いから、そういった輩に今までも遭遇していたのだろうけど」

 神殿長の言葉に、僕としては『?』がたくさん飛んでいたけど、ディーとエルは悔しそうな表情で頷いてる。

「私の持つ欲はね、ラルフィン君を手放したくない……ああ、誤解しないで。言い方を変えようか。私としてはラルフィン君に神官になってもらいたいんだ。ラルフィン君は女神様に愛されている。こんな人物を私は手放したくない。是非神官になってもらいたい。この神殿で、ずっと皆を導いてほしいと思う」

 そこまで聞いて、ようやく二人から緊張感が抜けた。それを確認して、神殿長はさらに言葉を続ける。

「彼の祈りは本当に素晴らしいものだ。祈りだけで言うならば、上位神官にも匹敵するほどの、ね」
「……そんなに?」
「そう。……そちらの彼は強い魔力を持っているね。君なら、祈りのときに何が起きているのか、見えているんじゃないのかい?」
「…見えます。フィーが祈るときは、必ず光があふれる。光の粒が舞い落ちてくる」

 え。
 はじめて聞いた気がする。
 僕、なんにも見えないんだけど…。

「そうだね。さっきの光景は私も息を呑んだくらいだ。あれほどの光――――私達は『浄化の光』と呼んでいるのだけどね、修行も何もしていないのに、祈るだけでそれを生み出しているラルフィン君は、神官になるために生まれてきたような存在なんだよ。本当に素晴らしいことだよ。だからこそ、彼には是非神官になってもらいたい。私達とともに女神様へ感謝を祈り続けてもらいたい」

 初耳過ぎて頭がぱんくしそうです。
 祈ることは当たり前のことでしょう?女神さまに感謝の気持を伝えるために必要な祈りなんだから。

 神殿長さんがこんなに僕に期待してくれていることは、なんかすごくわかるし嬉しいと思う。
 でも、僕は素直には喜べなかった。

「………それじゃあ、僕には、神官になる資格はありません………」
「「「え?」」」

 僕以外の声が重なった。


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