幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

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幼馴染み二人とほとんど会えなくても豊穣の国の神殿で頑張ります

3 神官になるための条件①

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 神殿長さんに促されて、僕たちは礼拝堂から別の部屋に移動した。
 そこは簡素な部屋。
 だけど、壁には本棚が備え付けられていて、書物がぎっしり詰まってる。

「さて……ラルフィン君だったね。君は神官になりたいとのことだったが、間違いはないだろうか?」
「…はい」

 テーブルを挟んで向かい側に座った神殿長さんは、優しい目で僕たちを見ていた。
 僕が答えると、その優しい目を細めて、うんうんと頷いてくれる。

「君は何歳から祈っているんだい?」
「えと…、五歳の、洗礼を受けたときからです。毎日、朝と夜に、村の教会に行っていました」
「それは素晴らしいね。女神様も喜ばれるはずだ。…ところで、その髪色は染めてるわけではないのかい?」
「えっと……、染めてないです。地毛?です」

 神殿長さんは頷くも、ディーとエルの方をちらりと見る。

「間違いありません。フィーの髪色は生まれたときからこの色です」
「ご両親はお二人共茶色の髪色でしたが」
「なるほど」

 ……髪色、って、何かあるの?
 は、まさか、こんな色だから、染めてると思われた?そして、染めるってことは自分を隠すことだから、女神さまに偽りの自分を見せることになるから相応しくないと思われてた?

 なんとなく、血の気が引いていく。
 染めてない証明って、今の二人の話だけでいいのかな?
 証明が足りないと言うなら、髪の毛全部剃り上げて、新しく生えてくる髪を見てもらえば解決する?

 僕がおろおろしていたら、向かい側からくすりと笑い声が聞こえてきた。

「ああ、すまないね。染めてるとか染めてないとか、そんなことが問題なわけじゃないんだ。だから、そんなに酷い顔しなくていいんだよ、ラルフィン君」
「よかったぁ……」

 髪、剃り上げなきゃって本気で思ってた。そんなこと、二人の前でやりたくない!

 はあああ…っておっきなため息をついて、ソファの背もたれにぐったり体を預けたら、両方から手が伸びてきて、頭をなでてくれた。ありがと、二人とも!

「神官になるために髪色も関係ないからね。じゃあ本題だけど」

 にこにことしたえみはそのままに、神殿長さんは指を組み、僕を見た。

「本来なら、暫く神殿で教義や女神様について学んでもらうんだ。神官になるための条件なんて、信仰心があるかないか、くらいだからね。それから、最終試験を受けてもらって、合格すれば神官位が得られる。まだ見習いだけどね」
「勉強と試験」
「うん。見習いから始まって、段階を踏んで神官位を上げていく。自分の適性までね。まあ、努力次第とも言えるけど。通常であれば、見習いになった時点で宿舎に入ることになるんだけどね」
「じゃあ、試験までは通いですか?」

 もしかして、僕、もうちょっと二人といてもいいの?

「まあ、そうなんだけどね。ラルフィン君、君には試験は必要ないなぁ。必要なものはもう持っている」
「え」
「今日から私の権限で君を下位神官として迎えようと思う。まあ、教義については詳しく学んでもらわなきゃならないけど」
「「「え」」」

 神殿長の思っても見なかった言葉に、僕たち三人の驚いた声が重なった。


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