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幼馴染み二人と豊穣の国の王都に着きました
17 幸せなんです
しおりを挟む振り向いたエルが、いきなり僕の右耳に触れて、なんか、「バチン」って音がした。
「っ」
激痛…ってほどじゃなかったけど、じわじわ痛い。
「こっちもね」
って、今度は左耳に、また、「バチン」って。
「なに、なんなの、エル」
「ちょっとまって。ほら、ディーは左耳でしょ」
「……」
ディーもおとなしくエルに左耳を向けた。
「バチン」って音がしたとき、すごく表情を歪めてたけど…やっぱり痛いよね?
でも、エルがディーの耳に当ててた道具を離した時、ディーの耳にピンク色の宝石がキラキラしてた。
また「バチン」って音がして、エルの方を見たら、エルは鏡を見ながら自分の右耳にそれをあててた。
「………え」
「ん、こんなもんかな」
二人の耳に、同じ色の宝石がキラキラしてる。
「ほら、フィー、見てみて?もう痛くないでしょ?」
痛くはないけど、エルが僕に鏡を向けてくれてて、覗き込んだら、僕の右耳に青い宝石、左耳には緑の宝石がつけられていた。
あ、この色。
思わず、ディーとエルの目元に触れていた。
「……ディーとエルの瞳の色だ……」
「私達は、フィーの髪色だよ。フィーの目立つ特徴は髪色だからね。よかった。フィーによく似た色があって」
もう一度鏡で自分の姿を見てから、二人を見る。
「……贈り物、って」
「俺たちから、フィーに。……まあ、自分たちへの贈り物でもあるな。よかったよ。すぐ見つけられて」
「ディー」
「フィーは私達のものって言う証。私達もフィーの物っていう証。……明日には少しの間お別れだから、色だけでも、フィーの傍にいたいと思って」
「エル」
「まあ、いきなりピアスつけて痛かったと思うけど、そこは許して?」
笑いながら言うエルを見て、また、鏡を見る。
痛みなんて、一瞬だったから。
今は、もう、嬉しくて嬉しくて。
「ディー」
「ん」
「エル」
「うん」
「大好き……!ありがとう!!」
嬉しくて仕方なくて。
人通りの多い通りで。
まだお店の前で。
昼間のように明るい場所で。
僕は二人にキスしてた。
だって、言葉だけじゃ足りない気がして。
………いっぱい、色んな人に見られてたけどね。
僕の目には二人しか映ってなかったよ。
それからは、また、二人とぎゅっと手を繋いで、露店を見て回った。
歩きながら二人を見上げるたびに、耳元にキラっとする僕の色に、ついつい笑みがこぼれてしまう。
僕、とっても幸せです!!
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