38 / 247
幼馴染み二人と豊穣の国の王都に着きました
11 二人がいるから大丈夫!
しおりを挟む「いい反応だ」
「っ、レヴィ殿……っ」
「なんで、フィーを…!!」
店主さんの剣を、ディーとエルの剣が止めてくれてた。
店主さんは二人を見てから、すっと剣をひいてく。その剣を腰の鞘に収めたところで、ディーとエルが剣を下げた。
「坊主、驚かせて悪かったな」
「えと……、はい。おどろきました……」
店主さんはにかっと笑って、僕の頭をくしゃくしゃになでる。
「怖かったか?」
「えっと……、びっくりしただけで」
ドキドキはしたけど怖くはなかったんだよ。
「ディーとエルがいてくれるから、平気」
「「フィー」」
二人に抱きしめられたよ。右と左からぎゅぎゅうっとね。
「それに、店主さん、僕に当てるつもり無かったと思うし」
「当然だろ。これから俺の手足になってきりきり働いてもらう奴らの連れ合いに、怪我なんかさせねえよ」
「……手足」
「……連れ合い」
「じゃあ、じゃあ、二人とも合格?」
「おう。最初の手合わせの段階でもうそこらへんは問題なかったからな。まあ、久しぶりに鍛えがいのある奴らで俺も嬉しくてなぁ?」
これ、もしかして、ディーとエル、すごく気に入られた?
「ついでに守りたいものを守れるだけの力と気概があるかも試した。そこんとこも合格だな」
「心臓に悪い……」
「自分が死ぬかと思った……」
二人とも、まだ僕のこと抱きしめてる。
大丈夫なのに。
「悪かったな」
「いや…、もういいっす……」
「二度は経験したくない……」
「それにしても、坊主は坊主で肝が座ってるな。驚いた顔してても逃げもしなかった」
そんなふうにふられて、きょとんと店主さんの顔を見ちゃった。
「え、だって、だから、怖くなかったから」
「それでもな、普通は逃げ腰になったり腰抜かしたりするもんなんだよ」
「うーん?わかんない…。だって、ディーとエルがいるし。二人がいたら、僕には絶対攻撃は届かないから。だから、逃げる必要ないし…怖がる必要もないよね…?」
「そりゃまた…。とんでもない信頼だな」
「うん!だって、僕のディーとエルだから!」
「フィー…当然だ。絶対俺達が護る」
「フィーに何かがあったら私達は生きていけない」
ふふ。嬉しい。二人が僕のことすごく大事にしてくれてる!
なんかにまにましちゃったよ。
そしたら、店主さんが、僕たち三人の頭を順番にぽんぽんしていった。
「もうそれ相思相愛でいいだろ…。ほら、中に入るぞ。宿使うだろ?」
「宿?」
「冒険者『宿』だからな。ディーとエルは個室がいいのか?相部屋がいいのか?」
「えーと……相部屋で。その方が宿代少なくて済むよな?」
「だな」
「なら、相部屋で。あと、今日は」
「特別に坊主が泊まるのも許可してやるよ。だがな、そんなに壁は厚くないからな?自重しろよお前ら。特にエル、お前が危ない気がする」
「え、なんで、私が………」
「正しい」
「ディーっ。心外なんだけどっ」
笑いながら店内に入る。
店主さんは空き室を確認して、ディーに鍵を渡した。
3
お気に入りに追加
1,338
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

王族なんてお断りです!!
紗砂
恋愛
この度めでたく私、エリス・フォーリアは男爵令嬢のいじめなんて生ぬる……馬鹿らしいことをしたという理由で婚約破棄をされました。
全く身に覚えもありませんし、その男爵令嬢の名前すら知らないのですが。
まぁ、そういうことで王家を見限った私は王国から店舗を撤退させていただきます♪
……のはずが、何故国王選定の最有力候補に名前があがっているのでしょうか?
そのうえ、他の公爵家の方々から頭を下げられ、隣国の王子との婚約話も進んでいるのですが……
ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります
ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。
今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。
追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。
ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。
恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!
手紙
ドラマチカ
BL
忘れらない思い出。高校で知り合って親友になった益子と郡山。一年、二年と共に過ごし、いつの間にか郡山に恋心を抱いていた益子。カッコよく、優しい郡山と一緒にいればいるほど好きになっていく。きっと郡山も同じ気持ちなのだろうと感じながらも、告白をする勇気もなく日々が過ぎていく。
そうこうしているうちに三年になり、高校生活も終わりが見えてきた。ずっと一緒にいたいと思いながら気持ちを伝えることができない益子。そして、誰よりも益子を大切に想っている郡山。二人の想いは思い出とともに記憶の中に残り続けている……。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…
勇者パーティから追い出されたと思ったら、土下座で泣きながら謝ってきた!
蒼衣翼
ファンタジー
書籍化にあたりタイトル変更しました(旧タイトル:勇者パーティから追い出された!と、思ったら、土下座で泣きながら謝って来た……何がなんだかわからねぇ)
第11回ファンタジー小説大賞優秀賞受賞
2019年4月に書籍発売予定です。
俺は十五の頃から長年冒険者をやってきて今年で三十になる。
そんな俺に、勇者パーティのサポートの仕事が回ってきた。
貴族の坊っちゃん嬢ちゃんのお守りかぁ、と、思いながらも仕方なしにやっていたが、戦闘に参加しない俺に、とうとう勇者がキレて追い出されてしまった。
まぁ仕方ないよね。
しかし、話はそれで終わらなかった。
冒険者に戻った俺の元へ、ボロボロになった勇者パーティがやって来て、泣きながら戻るようにと言い出した。
どうしたんだよ、お前ら……。
そんな中年に差し掛かった冒険者と、国の英雄として活躍する勇者パーティのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる