幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

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幼馴染み二人と豊穣の国の王都に着きました

5 迷子のフィー/D

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「フィー!」
「だめだよ!」

 一気に押し寄せてきた人の波に、フィーのちいさな身体が、一瞬で飲み込まれた。
 人の波に押されるように、繋いでいた手も離れてしまって、あの薄桃色のふわふわの髪を見つけることも出来なかった。
 エルと二人で人の波から逃れるように道の端に避け、とにかくあのふわふわの髪を探した。

「まじかよ…」
「……予想外……。早く見つけなきゃ」
「ああ」

 俺もエルもかなり焦っていた。
 今まで何があっても、繋いだ手を離すようなことはなかったのに。
 ここにきての、大失態。

「ディー、フィーの気配わからない?」
「流石にちょっと人が多すぎるんだよ…。エルは?感知に引っかからないか?」
「私のは感知じゃないけど…。でも、フィーの力の流れは今は見えないよ。いつも見えるわけじゃないし。というか、見えたらきっとやばいことになってると思う…」

 二人して手詰まり。
 だけど、こうしていても仕方ない。
 俺たちは頷き合い、人の波の中に戻った。
 フィーと逸れた場所から、向かっていた方向にゆっくり歩く。俺は右側に、エルは左側に、くまなく視線を張り巡らせながら。

 どんなに集中して歩き回っても、薄桃色は見つからない。
 俺が焦り始めたとき、エルの足が止まった。

「……見つけた。ディー、急ごう、こっちだ!!」

 エルが、ある一点を凝視したまま駆け出した。
 人の波を避けながら、エルの後を追うと、民家らしき建物に辿り着く。
 玄関には鍵はかかっていない。
 特に物音はしていない。
 俺がエルを見ると、力強く頷いた。
 どうやらここで間違いないらしい。
 俺はエルに頷き返し、剣に手を伸ばしながら、鍵のかかっていない扉を蹴り開けた。

「フィー!!!助けに――――」

 室内に、フィーと、男が二人。
 ただ、何か異様な雰囲気で。

「フィー、助けにきた……………よ?」

 エルも室内に入ったが、そこで固まった。

 目の前に、祈りを捧げる天使がいた。
 窓際で膝を付き、手を胸の前で組んだフィー。いつも教会で祈るような姿で、没頭しているのか、俺達の声は耳に入っていない。
 そして、そのフィーを恍惚とした表情で見つめる男が二人。
 ……ほんと、何この空間?

「フィー……綺麗……」

 エルはエルで、フィーから溢れてるらしい光の粒を見てるようで、うっとりとフィーの事を見ていた。

 ……いや、ほんとに。なんなのこの、状況。


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