幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

文字の大きさ
上 下
30 / 247
幼馴染み二人と豊穣の国の王都に着きました

3 人見知りじゃないよ?

しおりを挟む



「ふあああ……!!人、人、多いよ!?ね、ね!?」
「フィー、興奮しすぎ。迷子になるから手は離さないで」
「フィー、少し落ち着こうね?」

 そ、そんなこと言われても、興奮しちゃうよ!!
 だって、村じゃ見たことないようなお店とか、いっぱいいっぱいのお店の数とか、男の人も女の人もみんなきれいなもの着てたりとか、とにかくいろんな人がいるんだよ!!

「…ん?」
「ね、ディー、あの行列って何!?」
「ん?…ああ。何か包み焼きみたいなの売ってるみたいだ。食べる?」
「うん!」
「……なぁ、フィー、お前、人混み怖くないの?」
「え?」
「……ああ。なんか違和感あると思ったら。だって、フィー、人混み苦手でしょ?人見知りするよね。村でもいつも私達に隠れてたじゃない」

 ううーん?

「隠れてた?」
「「うん」」
「うーん?うーん…」

 あれかなぁ?

「僕、別に人混みが嫌とかないよ?」
「「え?」」
「人見知り……でもないと思うんだけど」
「「そうなの?」」
「うん。だって、神官も冒険者も人と関わる仕事だよね?人が怖いとか人見知りだったら、僕、流石にそんな職業につこうなんて思わなかったよ?」

 なんか、二人が固まっちゃったよ。なんで?
 でも、ここ、道の真ん中だからね?たんまり立ち止まってたら迷惑だよ?
 …あ、なんか美味しそうなケーキある!
 ここじゃ迷惑だから、このお店に入って落ち着いてもいいよね?
 二人の手をぐいぐい引っ張って、そのお店に入っちゃった。
 お店のお姉さんが僕たちをテーブルに案内してくれて、メニュー見せてくれたよ。

「僕、ショートケーキ!あと、ディーはチーズのと、エルは栗の!んー、飲み物は、紅茶で……、うーん、これとこれとこれ!」
「かしこまりました」

 お姉さんがくすっと笑って、僕の注文まとめてくれた。
 それからちょっと待ってたら、ケーキが3つと紅茶が3つ運ばれてきた。
 ディーとエルは、ケーキと紅茶が目の前に出されて、ようやく我に返ったみたい。

「え?」
「あれ?」
「んー、おいしい」

 クリームふわふわで美味しい。上に乗ってる果物も、甘酸っぱくて美味しい!

「じゃあ、なんでフィーは俺達の後ろに隠れてたんだ?」

 って、いきなりディーが話の続きを始めたよ。

「んー?だって、取られると思ったから」

 ショートケーキ、一口分をディーの口元に持っていったら食べてくれた。その後、僕がまた一口食べて、次はエルに。前に、ディーとエルに続けて『あーん』しようとしたら、すごく嫌がられたから。

「取られる、って、何を?」

 僕の上げたケーキをもぐもぐ食べながら、エルが首を傾げた。

「ディーとエル」
「「え」」

 紅茶で口直し。それからチーズのケーキも食べ始めた。ディー、手を付けてないからいいよね?

「だってね、村の子たち、ディーとエルを見つけたらよってくるんだよ?僕睨まれるし。女の子も男の子も。僕、睨まれるのは怖いけど、ディーとエルと離れたくないし、後ろに隠れながら、頑張って睨み返すの」

 また、ぼーぜんとしちゃったディーとエルに、おんなじようにチーズのケーキも食べさせてあげた。

「でもね、成人のお祝いのときは我慢したんだよ?もしかしたら、あの子達の誰かと、夜を過ごすのかなって思ったし」
「「いや、それは有り得ないから」」
「うん!だって、その後、僕のこと迎えに来てくれたもんね!」

 にこにこしながら紅茶をまた一口。
 ディーは顔を手で覆って天井を見上げちゃった。エルは両手で顔を隠してテーブルに肘をついてうなだれちゃったよ。

「……嘘だろ」
「うーん…気づかなかった」
「独占欲丸出し……」
「うちの子、可愛すぎる……」

 また二人ともよくわかんないこと言い始めたよ。
 だから、栗のケーキも、僕食べちゃうからね?


しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

王族なんてお断りです!!

紗砂
恋愛
この度めでたく私、エリス・フォーリアは男爵令嬢のいじめなんて生ぬる……馬鹿らしいことをしたという理由で婚約破棄をされました。 全く身に覚えもありませんし、その男爵令嬢の名前すら知らないのですが。 まぁ、そういうことで王家を見限った私は王国から店舗を撤退させていただきます♪ ……のはずが、何故国王選定の最有力候補に名前があがっているのでしょうか? そのうえ、他の公爵家の方々から頭を下げられ、隣国の王子との婚約話も進んでいるのですが……

ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります

ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。 今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。 追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。 ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。 恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!

その瞳の先

sherry
BL
「お前だから守ってきたけど、もういらないね」 転校生が来てからすべてが変わる 影日向で支えてきた親衛隊長の物語 初投稿です。 お手柔らかに(笑)

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

愛人をつくればと夫に言われたので。

まめまめ
恋愛
 "氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。  初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。  仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。  傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。 「君も愛人をつくればいい。」  …ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!  あなたのことなんてちっとも愛しておりません!  横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。 ※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…

勇者パーティから追い出されたと思ったら、土下座で泣きながら謝ってきた!

蒼衣翼
ファンタジー
書籍化にあたりタイトル変更しました(旧タイトル:勇者パーティから追い出された!と、思ったら、土下座で泣きながら謝って来た……何がなんだかわからねぇ) 第11回ファンタジー小説大賞優秀賞受賞 2019年4月に書籍発売予定です。 俺は十五の頃から長年冒険者をやってきて今年で三十になる。 そんな俺に、勇者パーティのサポートの仕事が回ってきた。 貴族の坊っちゃん嬢ちゃんのお守りかぁ、と、思いながらも仕方なしにやっていたが、戦闘に参加しない俺に、とうとう勇者がキレて追い出されてしまった。 まぁ仕方ないよね。 しかし、話はそれで終わらなかった。 冒険者に戻った俺の元へ、ボロボロになった勇者パーティがやって来て、泣きながら戻るようにと言い出した。 どうしたんだよ、お前ら……。 そんな中年に差し掛かった冒険者と、国の英雄として活躍する勇者パーティのお話。

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

処理中です...