幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

文字の大きさ
上 下
10 / 247
幼馴染み二人の成人のお祝いです

10 冒険者になることを決めた時のお話

しおりを挟む



「ディーもエルも冒険者になるの?」
「ああ。もう決めたんだ。俺は、もっと世界を見たい。ここは優しくて穏やかでとてもいい村だけど、俺は、剣一本でどこまでやれるか試したい」
「ディー……」
「私も同じ。もっと見聞を広めたい。……私には結構な魔力があるから、それも使えるようになりたい。剣技じゃディーに勝てないけど、魔法も混ぜたら私が圧勝すると思わない?」
「エル……」

 寂しくて勝手に流れちゃった涙を、二人が指ですくい取ってくれた。

「僕……二人がいないと寂しいよ……?」
「うん……俺もだよ」
「私も…寂しい」
「だから……だからな、フィー。こんなこと、まだ12歳のフィーに言うことじゃない、って、わかってはいるけど、でも、言わせてほしい」
「ディー……?」
「フィーのことが、誰よりも大切なんだ。家族よりも誰よりも、大切で仕方ない。ずっと傍にいたい。心から、愛しているんだ」

 震えた声のあと、僕のくちに、ディーのくちが、ちょんって触れた。
 なに、これ。どきどきする。

 ぼーっとディーを見ていたら、エルの手が僕の頭をなでてくれた。

「私もね、ディーと一緒なんだよ。フィーが可愛くて仕方ない。泣いた顔も、怒った顔も、すねてるときのほっぺを膨らませた顔も、全部好き。私達に向けてくれる特別な笑顔が、一番好き。知ってる?フィーはね、私達にだけとびきりの笑顔をくれるんだ。家族にむけるものとも、他の人に向けるものとも違う、特別な笑顔」
「……わかんない」
「ふふ…。それでいいよ。私がフィーのことを心から想っていて、きっと、フィーも、私達がフィーのことを想っているのと同じように、私達のことを想ってくれてる。私達にはわかるから」
「………そう、なの?」

 ディーがしてくれたように、エルも僕のくちに自分のくちをくっつけた。……やっぱり、どきどきする。

「愛してるよ、フィー」
「あ、い……?エル……?」

 また、くちがくっつく。ふにふにと柔らかくて、気持ちよくて、……ずっと、してほしい。
 さっきよりも長くて、ぽー…っとしてしまった。エルがくちを離すとき、ぺろりと舐められた。
 じ…っとエルをみてたら、ディーの手が僕の顎の下をなでてきて、今度はディーがくちをくっつけてくる。
 ……ディーのも柔らかくて、気持ちいい。
 うっとりしてたら、顎の下にあった手が僕の頭の後ろに当てられて、ぐいっと力を入れられた。
 ……そしたら、くっつけるだけだったくちが、すごくしっかり重なって……、くちのなかにディーの舌が入ってきた。
 目を白黒させてしまう。なんか、身体が、ぽかぽか気持ちいい。

 くちを離したあと、ディーがぎゅってしてくれた。


しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

王族なんてお断りです!!

紗砂
恋愛
この度めでたく私、エリス・フォーリアは男爵令嬢のいじめなんて生ぬる……馬鹿らしいことをしたという理由で婚約破棄をされました。 全く身に覚えもありませんし、その男爵令嬢の名前すら知らないのですが。 まぁ、そういうことで王家を見限った私は王国から店舗を撤退させていただきます♪ ……のはずが、何故国王選定の最有力候補に名前があがっているのでしょうか? そのうえ、他の公爵家の方々から頭を下げられ、隣国の王子との婚約話も進んでいるのですが……

ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります

ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。 今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。 追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。 ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。 恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!

その瞳の先

sherry
BL
「お前だから守ってきたけど、もういらないね」 転校生が来てからすべてが変わる 影日向で支えてきた親衛隊長の物語 初投稿です。 お手柔らかに(笑)

手紙

ドラマチカ
BL
忘れらない思い出。高校で知り合って親友になった益子と郡山。一年、二年と共に過ごし、いつの間にか郡山に恋心を抱いていた益子。カッコよく、優しい郡山と一緒にいればいるほど好きになっていく。きっと郡山も同じ気持ちなのだろうと感じながらも、告白をする勇気もなく日々が過ぎていく。 そうこうしているうちに三年になり、高校生活も終わりが見えてきた。ずっと一緒にいたいと思いながら気持ちを伝えることができない益子。そして、誰よりも益子を大切に想っている郡山。二人の想いは思い出とともに記憶の中に残り続けている……。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

愛人をつくればと夫に言われたので。

まめまめ
恋愛
 "氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。  初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。  仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。  傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。 「君も愛人をつくればいい。」  …ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!  あなたのことなんてちっとも愛しておりません!  横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。 ※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…

勇者パーティから追い出されたと思ったら、土下座で泣きながら謝ってきた!

蒼衣翼
ファンタジー
書籍化にあたりタイトル変更しました(旧タイトル:勇者パーティから追い出された!と、思ったら、土下座で泣きながら謝って来た……何がなんだかわからねぇ) 第11回ファンタジー小説大賞優秀賞受賞 2019年4月に書籍発売予定です。 俺は十五の頃から長年冒険者をやってきて今年で三十になる。 そんな俺に、勇者パーティのサポートの仕事が回ってきた。 貴族の坊っちゃん嬢ちゃんのお守りかぁ、と、思いながらも仕方なしにやっていたが、戦闘に参加しない俺に、とうとう勇者がキレて追い出されてしまった。 まぁ仕方ないよね。 しかし、話はそれで終わらなかった。 冒険者に戻った俺の元へ、ボロボロになった勇者パーティがやって来て、泣きながら戻るようにと言い出した。 どうしたんだよ、お前ら……。 そんな中年に差し掛かった冒険者と、国の英雄として活躍する勇者パーティのお話。

処理中です...