幼馴染二人と冒険者になりました!

ゆずは

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幼馴染み二人の成人のお祝いです

7 あーん

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「んううう、もぉ、たべれないぃ」




 おなかいっぱい、っていってるのに、ディーもエルも、二人して僕に『あーんして』って、スプーンをめのまえにだしてくる。

 もられたものはちゃんと食べなきゃだめだよ。
 好き嫌いしてたら身体おっきくならないよ。

 って、いつも言われてるから、残すに残せない。
 だから、せめて、『あーん』をやめてもらおうと思うのに、二人とも話し聞いてくれない。

 ほら、美味いぞ?
 んちゅ、ぱく、もぐもぐ
 フィー、こっちも美味しいよ?
 あむ、んむ、もぐもぐ

 フィーは食べ方も可愛いな。
 フィーは食べ方も可愛いね。

 ニヤニヤニコニコする二人が、僕の唇に指を当ててきた。

 ほら、あーん、は?
 残さず食べてね。

 はう。
 でも、指は食べれないよ…。
 そんなことお構いなしに、二人の指が口の中に入ってくる。
 くちゅくちゅ。
 んぐんぐ。
 はむはむ。
 にゅるにゅる。
 じゅるじゅる。




「もぉ、たべれないって、いってるもん……!!」
「ぷ」
「ふふ」
「ほぇ……!?」

 両隣から、僕をからかうときの笑い声が聞こえてきた。
 それで、目を開けたら、知らない天井。ディーの家でも、エルの家でも、僕の家でもない天井。
 あれ?って思ってたら、右手をディーに左手をエルに握られて、ちゅちゅって、手の甲と手のひらにキスされた。
 うううん???

「え、なに、ここ」
「宿屋だよ。俺たちのお祝いにもらった、一泊限定豪華部屋」
「忘れちゃったの?フィー」
「あー…」
「それにしても、『もう食べれない』って、どんな夢見てたんだよ」
「……おなかいっぱいなのに、二人して僕に『あーん』ってしてきて、スプーン口にいれてきて。なんとか食べたら、口の中に指入れてきて、舌は触るし、舐めたりはむはむしないと舌引っかかれるし」

 ずっと僕の手にキスしてた二人が、「うっ」てうめき声を上げて、ぴたりと動きを止めちゃった。なんで?

「なんだよ……それ、めちゃくちゃだ。エッロすぎだろ……うちのこ……!!」
「昨日の名残かな……、ディー、まずい。私、この子の口の中に突っ込むことしか想像できない」
「俺もだよ……。ほんと、なんてもん、夢で見るんだよ……っ」
「いれていい?」
「それもあと二年!!」
「…………………生殺し」
「耐えろ」
「ううう」

 さんざん喚いて、二人とも僕から手を離した。

「だめだわ。抜いてくる。その後親父に朝食もらってくるから。フィー、ちょっと待っててな。エル、お前は風呂場」
「私はフィーのとこがいい…」
「朝っぱらからあんなもんフィーにかけるなっ」
「……ディーって、変なところで真面目だよね…」
「俺はいつでも大真面目だ。じゃ、フィー、すぐ戻るから」

 ちゅ、って、右の頬にキス。

「仕方ない……。ちょっと私もさっぱりしてくるから。どこか行ったら駄目だよ?」

 ちゅ、って、左の頬にキス。

「うん。二人ともいってらっしゃい」
「「……いってきます」」

 二人ともそれぞれの場所に行っちゃって、どーしようかなって思ったら、僕、裸だったことに気づいた。
 それに、昨日の夜、お風呂で二人は僕のこと洗ってくれたのに、二人のこと洗ってあげてない。
 うわぁ……、僕、やっぱり駄目だ……。お祝いできてないよ……。
 もう今日は無理。
 だって、このあと出発だもん。
 ベッドの上で膝を抱えて不貞腐れた。


 その後戻ってきたエルに、どこにしまってたのかわからなかった服を出してもらって着替えて、ディーが運んできた朝食を三人で食べたけど。

「あーん」
「こっちも。はい、あーん」

 夢の再現なんていりません!
 もうもう、僕、朝から食べ過ぎでお腹いたくなっちゃうよ!!


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