7 / 247
幼馴染み二人の成人のお祝いです
7 あーん
しおりを挟む「んううう、もぉ、たべれないぃ」
おなかいっぱい、っていってるのに、ディーもエルも、二人して僕に『あーんして』って、スプーンをめのまえにだしてくる。
もられたものはちゃんと食べなきゃだめだよ。
好き嫌いしてたら身体おっきくならないよ。
って、いつも言われてるから、残すに残せない。
だから、せめて、『あーん』をやめてもらおうと思うのに、二人とも話し聞いてくれない。
ほら、美味いぞ?
んちゅ、ぱく、もぐもぐ
フィー、こっちも美味しいよ?
あむ、んむ、もぐもぐ
フィーは食べ方も可愛いな。
フィーは食べ方も可愛いね。
ニヤニヤニコニコする二人が、僕の唇に指を当ててきた。
ほら、あーん、は?
残さず食べてね。
はう。
でも、指は食べれないよ…。
そんなことお構いなしに、二人の指が口の中に入ってくる。
くちゅくちゅ。
んぐんぐ。
はむはむ。
にゅるにゅる。
じゅるじゅる。
「もぉ、たべれないって、いってるもん……!!」
「ぷ」
「ふふ」
「ほぇ……!?」
両隣から、僕をからかうときの笑い声が聞こえてきた。
それで、目を開けたら、知らない天井。ディーの家でも、エルの家でも、僕の家でもない天井。
あれ?って思ってたら、右手をディーに左手をエルに握られて、ちゅちゅって、手の甲と手のひらにキスされた。
うううん???
「え、なに、ここ」
「宿屋だよ。俺たちのお祝いにもらった、一泊限定豪華部屋」
「忘れちゃったの?フィー」
「あー…」
「それにしても、『もう食べれない』って、どんな夢見てたんだよ」
「……おなかいっぱいなのに、二人して僕に『あーん』ってしてきて、スプーン口にいれてきて。なんとか食べたら、口の中に指入れてきて、舌は触るし、舐めたりはむはむしないと舌引っかかれるし」
ずっと僕の手にキスしてた二人が、「うっ」てうめき声を上げて、ぴたりと動きを止めちゃった。なんで?
「なんだよ……それ、めちゃくちゃだ。エッロすぎだろ……うちのこ……!!」
「昨日の名残かな……、ディー、まずい。私、この子の口の中に突っ込むことしか想像できない」
「俺もだよ……。ほんと、なんてもん、夢で見るんだよ……っ」
「いれていい?」
「それもあと二年!!」
「…………………生殺し」
「耐えろ」
「ううう」
さんざん喚いて、二人とも僕から手を離した。
「だめだわ。抜いてくる。その後親父に朝食もらってくるから。フィー、ちょっと待っててな。エル、お前は風呂場」
「私はフィーのとこがいい…」
「朝っぱらからあんなもんフィーにかけるなっ」
「……ディーって、変なところで真面目だよね…」
「俺はいつでも大真面目だ。じゃ、フィー、すぐ戻るから」
ちゅ、って、右の頬にキス。
「仕方ない……。ちょっと私もさっぱりしてくるから。どこか行ったら駄目だよ?」
ちゅ、って、左の頬にキス。
「うん。二人ともいってらっしゃい」
「「……いってきます」」
二人ともそれぞれの場所に行っちゃって、どーしようかなって思ったら、僕、裸だったことに気づいた。
それに、昨日の夜、お風呂で二人は僕のこと洗ってくれたのに、二人のこと洗ってあげてない。
うわぁ……、僕、やっぱり駄目だ……。お祝いできてないよ……。
もう今日は無理。
だって、このあと出発だもん。
ベッドの上で膝を抱えて不貞腐れた。
その後戻ってきたエルに、どこにしまってたのかわからなかった服を出してもらって着替えて、ディーが運んできた朝食を三人で食べたけど。
「あーん」
「こっちも。はい、あーん」
夢の再現なんていりません!
もうもう、僕、朝から食べ過ぎでお腹いたくなっちゃうよ!!
14
お気に入りに追加
1,338
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

王族なんてお断りです!!
紗砂
恋愛
この度めでたく私、エリス・フォーリアは男爵令嬢のいじめなんて生ぬる……馬鹿らしいことをしたという理由で婚約破棄をされました。
全く身に覚えもありませんし、その男爵令嬢の名前すら知らないのですが。
まぁ、そういうことで王家を見限った私は王国から店舗を撤退させていただきます♪
……のはずが、何故国王選定の最有力候補に名前があがっているのでしょうか?
そのうえ、他の公爵家の方々から頭を下げられ、隣国の王子との婚約話も進んでいるのですが……
ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります
ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。
今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。
追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。
ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。
恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…
勇者パーティから追い出されたと思ったら、土下座で泣きながら謝ってきた!
蒼衣翼
ファンタジー
書籍化にあたりタイトル変更しました(旧タイトル:勇者パーティから追い出された!と、思ったら、土下座で泣きながら謝って来た……何がなんだかわからねぇ)
第11回ファンタジー小説大賞優秀賞受賞
2019年4月に書籍発売予定です。
俺は十五の頃から長年冒険者をやってきて今年で三十になる。
そんな俺に、勇者パーティのサポートの仕事が回ってきた。
貴族の坊っちゃん嬢ちゃんのお守りかぁ、と、思いながらも仕方なしにやっていたが、戦闘に参加しない俺に、とうとう勇者がキレて追い出されてしまった。
まぁ仕方ないよね。
しかし、話はそれで終わらなかった。
冒険者に戻った俺の元へ、ボロボロになった勇者パーティがやって来て、泣きながら戻るようにと言い出した。
どうしたんだよ、お前ら……。
そんな中年に差し掛かった冒険者と、国の英雄として活躍する勇者パーティのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる