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幼馴染み二人の成人のお祝いです
2 もやもや
しおりを挟む成人のお祝いは、村人総出で行われる。
お祝いされる方は、抱負とか、意気込みとか、目標だとか、そういうのを宣言する。
「お祝いありがとうございます!俺、ディオルグは、エルスター王国で冒険者を目指します!」
「私、エルフィードも、ディオルグと共に冒険者として名を馳せることを目指します」
宣言した二人に、拍手喝采。
冒険者になるために年齢制限は特にない。
二人はもっと前から冒険者になることを決めていて、ずっと剣の腕を磨いていた。身体も鍛えていて、すごく格好いいんだよ。
二人が成人のお祝いまで待ってたのは、僕が寂しがるから、なんだって。
それから、もう一つ理由があって。
でも、寂しいのは寂しい。
お祝い、何にしようかな。
おやつの時間くらいに始まったお祝いは、太陽が沈みかけた頃に終わった。
結構な時間が経っていたから、僕も動けるようになっていて、二人のところに行こうと思ったんだけど、二人の周りに主に女の子たちが陣取っていて、近づけなかった。
……どうしよう。
すごく、もやっとするし、イライラするけど……、これ、なんだろう?
集団に入りたくなくて、ちょっと遠巻きに見て、丸太の椅子に腰掛けた。
広場には、点々とランタンの明かりが灯り始める。
帰ろうかな。
もしかしたら、明日が旅立ちだから、誰かと今夜過ごすのかもしれないし。
……………なんか、やだけど。
僕も明日の準備しないと、だし……。
口を尖らせながらため息をついたら、不意に抱え上げられた。
「え」
「「フィー」」
僕を抱き上げたのはディーだった。
片手で、ひょいっとね?
「ごめんね。またせたね」
エルが僕の手を取って、手のひらにキスをした。
「行こうか」
「どこに?」
「村長から宿屋のいい部屋を祝いにもらった」
「え?」
「もらった……って、ディー、誤解を招くでしょ。今日一晩だけね。フィー、三人で泊まろう?」
「え、でも、お父さんとお母さんに泊まりって言ってないよ?」
「もう俺が伝えてあるから大丈夫」
そうなんだ。
ディーに抱えられながら、ちらりと広場の方を見たら、女の子たちはまだこっちを見てた。
「……ね、二人とも、あの子たち、いいの?」
「俺はフィーがいればいい」
「私もフィーと一緒にいたいな」
そう……なんだ。
あれ?なんかさっきまでぐるぐるしてたの、消えた。
「へへ」
「何可愛く笑ってるんだ?」
「なにか楽しいことでもあった?」
「嬉しいこと!」
ぎゅーってディーに抱きついたら、エルがむすっとした顔してた。後でエルにも、ぎゅーってしなきゃ!
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