上 下
50 / 54
番外編

運命はすぐ傍に②

しおりを挟む



 手を握ったままの兄上を促して、父上たちの寝室を出た。父上と母上は、意識をなくした母様をまだ抱くようだ。
 俯いた兄上だけど、素直に私についてくる。
 父上たちの自室から然程遠くはない場所にある私達の部屋。もちろん一人部屋だが、私は自室に兄上をまねきいれた。

「兄上」

 少し近づいて耳もとで声をかけると、ビクリと反応をして、恐る恐る私を見上げてきた。
 視線はすぐにうろうろと迷子になってしまったけれど。
 兄上の手を引いてベッドに座らせた。
 もじもじと足をこすり合わせるようすに、また私の股間が熱くなる。

「兄上、私がしますよ」
「え」

 華奢な体を私の膝の上に上げると、視線が大体同じになった。
 真っ赤になった兄上の顔。
 トラウザーズの前をさっさと寛げ、下着をずらすと、ぽろんと固くなった兄上の陰茎が飛び出た。

「っ、イサーク…っ」
「抜くだけです」

 私の物も窮屈になった下着から取り出した。
 すっかり勃起した私のそれは、兄上の陰茎より一回り以上大きい。

「あ……」
「兄上、私にしがみついて」
「あ、あ」

 二人分の陰茎を手の中に収めて、緩やかに扱き始めた。
 兄上は抵抗もなく、すぐに私に両手で抱きついてくる。

「兄上……、気持ちいいですか?」
「ん……っ、いいっ、きもちいい……っ」
「私もです」

 二人の先走りでもうぬるぬるだ。
 ぐちゅぐちゅと濡れた音が兄上の喘ぎ声と重なって、酷く婬猥に部屋の中に響く。

「あ、あっ、いさーく、いさーく…っ」
「イきそうですか?」
「ん、んぅっ、いく、いくっ」
「はい。では一緒に」
「きゃあっ」

 手の動きを早めると、兄上は可愛い悲鳴を上げて背筋をピンと反らせ、私の手の中で達した。
 瞬間遅れて私も手の中に吐精する。
 ぴくんぴくんと私の膝の上で体を震わせたままの兄上。兄上が出した精液はほんの僅かだったのに、私が出したものは量も多く、白くねっとりとしていた。

「いさーく……ごめん、ごめんね……っ」
「何故謝るんですか?」
「だって……僕……」
「私が兄上に触れたくて触れているんです。謝らないでください」
「触れたい……?」
「はい。……もっと、触れたい」

 萎えた兄上の陰茎を、勃起したままの私の物に重ねて緩く擦った。

「ひ、ひぁ、ぁっ」
「……兄上は、どうして私が触れることを許してくれたのですか?父上から注意されたばかりですよ」
「あぅ、んっ、あっ、わ、わか、んない……っ」
「わからないですか?」
「ん、うんっ、でも、いさーくにふれられるの、いやじゃ、ない………ひゃぁっ」
「……兄上っ」
「あ、あっ、いさーく……っ」

 ほろほろと流れる涙を唇で拭った。
 また少し固くなった兄上の陰茎。
 兄上、私に触れられるのは嫌じゃない……ということは、私のことが好きだということですか?

「……………エリアス」
「きゃぁぁっっ!!」

 耳もとで低く低く名前を呼ぶと、兄上はまた可愛い悲鳴を上げて、達した。陰茎からはプシャリと透明な体液が飛び出してくる。
 兄上ははくはくと息継ぎをしながら、とろんと瞼を落とした。
 完全に寝落ちた様子の兄上を抱き直し、風呂場に向かった。衣服を脱がせれば、胸の上では小さな桃色が控えめに主張していた。
 それを唇で食んだ。びくんと跳ねる体と、漏れる甘い声。
 ……父上たちがあの部屋に母様を閉じ込めてる理由が少しだけわかる。
 誰の目にも触れさせたくない。常に私の傍にいてほしい。他人と言葉をかわすことも、友人として他人と肩を叩きあったり、そんな触れ合いすらさせたくはない。
 兄上の全てを私のものにしたい。
 私だけを見て。
 私だけの声を聞いて。
 そんな仄暗い感情を自覚する。

 兄上を抱いたまま湯に浸かり、尻の間をなでて蕾の奥に指を入れた。そこはまだ濡れてもいないし、酷く狭い。母様のように愛液で濡れそぼることは今は、まだ、ない。
 でもいつか、ここに私の物を挿れる。
 揺籠の口をこじ開けて、子種を注ぐ。
 待っていて、兄上。



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな? そして今日も何故かオレの服が脱げそうです? そんなある日、義弟の親友と出会って…。

【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。

天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。 しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。 しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。 【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

処理中です...