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愛しい人を手に入れたい二人の話

最愛との秘密の婚姻式

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◆side:アベルシス

 僕たちの性行為を見たセレスは、顔を涙で濡らし、下半身をしっとりと愛液で濡らした状態だった。隠し部屋の中はセレスの愛液の甘い花の香で満たされていた。
 一番の山は越えたから、もう隠し事はなしだよ。
 僕のことも、レイと練った計画も、全部セレスに話す。
 何より、僕は今日『孕んだ』ことになっているから、セレスにも孕んでもらわないとならないからね。

 あまりにもお預けの時間が長すぎて、とろとろ流れ続ける愛液に引き寄せられるようにセレスの足を開いて、ひくひくと蠢いて愛液を流し続ける蕾を舐めて舌を入れてしまった。
 ごめんね。怖がらせたいわけじゃないんだよ。

 僕たちの言葉に不安のような疑問のような顔をしていたセレスに、僕たちがセレスのために用意した婚礼服を着せていく。
 真っ白な夜着。
 陰部をぎりぎり隠す長けの僅かに厚みのある生地と、胸元から膝まで花柄のレースに覆われている。袖のふくらみも可愛らしい。
 頭に乗せた花冠と、光沢のある白い花嫁のヴェール。
 ちょこんとベッドに座り込むと、可愛い陰茎が僅かに見えるし、乳首の色づきもよくわかって、一気に体に熱が溜まっていく。
 着替えさせるときに見た下腹部には、若干色が変わり始めた花籠があった。

 レイに姿見を持ってきてもらって、セレスの左手を握るのは僕。右手を握るのはレイ。
 僕たちだけの幸福な花嫁なセレスを見せる。

「花嫁さんだね」
「っ」
「似合ってる。可愛い俺の花嫁だ」
「っ、レイ、アベル…っ」

 セレス、わかってるかな。
 セレスは僕たちの花嫁になったんだよ。
 どちらかの、じゃない。僕たち二人の、花嫁なんだよ。

「花嫁さんにはこれも必要だよね?」

 あんまりにもセレスが可愛すぎて綺麗すぎて、そんなセレスとこうやって婚姻を結ぶことが幸せすぎて、ちょっと手順をすっ飛ばしてセレスの指に指輪を嵌めてしまったけど。
 ちゃんと、僕たちの瞳の色の石を使っていることを教えた。
 三人の指に、同じ指輪がついているんだと。
 同じもの三個…手配するのはちょっと大変だったけどね。

「愛してる、セレスティノ。俺――――レイナルドと結婚してほしい。お前だけなんだ。俺はお前だけが欲しい」
「愛しているよ、セレスティノ。僕――――アベルシスも、この婚姻を望むよ。いつまでも僕たちの花嫁でいてほしい」

 セレスの左手の薬指に輝く指輪に口付けながら。
 セレスはずっと、涙が止まらない。…幸福の涙なら、いくらでも流していいよ。

「ぼく…、レイのことが好き。アベルのことも、好き」

 セレスの言葉に、僕は不覚にも鼻の奥がツンとして、うっかり昇天しそうになった。
 エロくて可愛い花嫁のセレスが、上目遣いで僕たちを見てきて、涙で大きな瞳を潤ませて頬を染めているんだよ。
 そして可愛い小さな口から、『好き』って。

 ……普通に考えて心臓止まるよね……?






◆side:レイナルド

 三人だけの婚姻式だ。
 セレスは俺たちの思惑通り、しっかりと自分の想いを自覚したのだろう。
 アベルを見つめる瞳には、隠しきれない情欲が籠っている。……俺にもその瞳を向けてほしいのに、アベルに対する想いに今気が付いたせいか、とにかくセレスはアベルの方をよく見ていてすり寄っていく。
 その様子に、少し、…本当に少し、嫉妬を覚えたのは…言わないでおこうと思う。

「ぼく……思い続けていいの?二人のこと、好きでいていいの…?」
「当然だろ」
「ずっと好きでいて」

 …頬を染めて涙を流すセレスに、今すぐペニスを突き挿れたい。
 使った媚薬が抜けきっていないのか、セレスの姿に欲情しているからか、どうにも勃起が落ち着かず、反りかえったままだ。
 だが、まだ。

 指輪に祈りをこめていない。

「俺はセレスに誓う。何があってもお前を守るし、離れない。寂しい思いはさせない。俺の想いの全てはセレスだけのものだ」

 『祈りの言葉』を口にして、魔力を込めてセレスの指輪に贈る。
 古い契約魔法。婚姻式でされることが多い魔法で『誓いの魔法』と呼ばれるもの。
 今じゃこの儀式を執り行う者は減っている。かなり強い制約がつくからだ。
 言葉を違えることがあれば、誓った者が命を落とすこともある魔法。アベルとの婚姻でも形だけの誓いをしたが、魔力を込めることはしなかった。

「僕はセレスに誓うよ。僕の花嫁はセレスだけ。この先セレスに何が起きたとしても、僕が一緒に乗り越える。どんな悲しみからも守ってみせる」

 アベルも俺に続き祈りの言葉に魔力を乗せると、セレスの顔色が青褪めていく。…これの重要性に気づいたのだろう。
 俺もアベルも後悔はないし、言葉を違えるつもりもない。
 縛られるのは俺とアベルだけ。
 祈りの言葉を受けたセレスには、影響はない。

「……ぼく、子供を、産めない」

 セレスが青褪めた理由。
 そんなの、全く問題ないのに。
 着替えさせるとき、もう花籠は変化を見せていた。
 俺とアベルのことを好きだと自覚して言葉にしたセレスの下腹には、きっと、花が咲いているはずだから。
 セレスの考えてることは手に取るようにわかる。
 でも、俺達が考えてることはなかなか伝わらない。
 だから、言葉を惜しまない。どれほど些細なことでも、しっかり言葉にして伝えていく。

 子を作るために俺が他人を娶ると想像したらしいセレス。俺もアベルも苦笑しながら、震えるアベルの下腹に手をあてた。
 夜着の上からだというのに、そこはとても熱く感じる。
 きっと、もう咲いた。
 俺とアベルはそう確信した。
 アベルが丁寧に、セレスの夜着の内側のリボンとボタンを解いていく。
 姿見の前で目を硬く閉じたセレス。
 白いレースの中では、セレスの下腹にいくつもの鮮やかな花が咲いていた。臍にむかって蔦が伸びていて、それはまだ広がっている。
 どの文献にも載っていなかった。
 まるで、籠に活けられた花束。なるほど、だから『花籠』なのか――――と、納得してしまうほど美しいものだった。

「うそ……うそ……」

 俺達が見るよう促し、恐る恐る目を開いたセレスは、次の瞬間には驚きで目を見開く。

「嘘じゃないってば。これが本当のセレスの花籠だよ」
「俺達だけの花籠だ」

 それから、セレスは俺とアベルにも祈りの言葉をくれた。
 甘い甘い、セレスの魔力をこれでもかと乗せて。

「ぼくは二人の花嫁です。二人だけの花籠です。ぼくは二人の子供を、揺籠の中で育みます。ぼくは二人を、愛してます」

 微笑んだセレスは誰よりも美しく、幸せそうな花嫁だった。



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