上 下
38 / 54
愛しい人を手に入れたい二人の話

初夜にむけた準備のために試練に挑む十八歳の冬

しおりを挟む



◆side:レイナルド

 冬の季節も深まり、卒業が近づいてきた。
 セレスの様子は変わらない。
 嫌がらせを受けているという報告もない。

「セレス…」

 白いままの花籠を撫で、その場所に口付ける。
 今夜も腹の奥にたっぷりと子種を注いだ。 
 心の中だけで何度も孕めと叫びながら、口をこじ開けたくて奥を穿った。
 僅かに赤くなった蕾を指で開けば、中からどろりと白濁が流れ落ちてくる。

 強い快楽に意識を飛ばしたセレスを眺めながら、力なくくたりとした可愛いペニスを袋ごと口に含んだ。
 セレスから漏れる僅かな喘ぎにまた体に熱が溜まる。
 じわっと滲み出した体液を舌で絡め取り吸い上げれば、多くはない白濁が口の中に入った。
 それを飲み込みながら蕾をまた押し広げ、すっかり怒張した己のペニスをそこに宛てがい亀頭を潜り込ませたところで、後頭部を激しく叩かれる。

「な」
「気を失って寝てるセレスに何してくれてんのバカエロ王太子」

 左手を振りながら、アベルが鬼の形相で立っていた。

「いつ来たんだ?」
「さっき。はぁ。ほんと、なにしてんの。セレスのこと白濁まみれにしてんのにまだ盛るわけ?ほんっと、僕のことも考えてほしいよね。なんだって王族ってそんなに性欲強いかな」
「子孫を残さなければって思いが強いんだろ」
「それは王族に限ったことじゃないはずなのにね」

 アベルはセレスの額や頬に何度も口付けてから、俺を見てニヤリと笑った。

「そんな性欲の塊のレイに朗報だよ」
「……お前、その顔で朗報って……。絶対いい話じゃないだろ」
「えー?そんなことないよ。サリムベルツからの伝言ね。
『初夜でしっかりとアベルシス様を抱き、子種をアベルシス様の中に溢れるほどに注ぐために、今後、初夜が終わるまでセレスティノ様との性行為は禁止とします。また、子種を減らすような行為――――口淫も手淫も当然禁止です。自慰などもってのほか。性欲と精液を溜めに溜めこんでください。勃って我慢が効かなくなるというのであれば、深い口付けも禁止です』
――――だって。いやぁ、ほんと朗報だよね!」
「どこがだ!!」
「えー?だって、セレスが毎日白濁まみれにされるの、見なくて済むんだよ?朗報以外ないじゃない」
「………地獄だ」

 性行為も射精も禁止。
 目の前にセレスがいるのに、その気になりそうな口付けも禁止。

「……駄目だ。狂う」
「じゃあ、諦めるんだ?ここまでやって、レイの我慢ができないせいで、全部失敗して、全て失うことになるんだ?それでいいんだね?」
「いいわけがない」
「僕だってしたくもない調教まで受け入れてるのにさ、レイだって少しくらい辛さを味わったらいいと思うよ」

 アベルの方が負担が大きいのはわかっている。
 アベルの強かさがあるからこその選択だ。

「抱くの我慢するくらいどうってことないでしょ。僕なんて明日最終調整だよ…その後だって、初夜が終わるまではずっと張型をいれてなきゃならなくてさ。見てみる?今だっていれてるのにさ」
「………すまない」
「そう思うなら、サリムベルツの言い付け守ってよね。……とりあえず、僕、明日と明後日は学院休むから。セレスのこと任せたからね」
「……何をするんだ」
「サリムベルツの陰茎を僕のアナルに挿れるんだよ」

 アベルは溜息を盛大について、吐き捨てるように言葉にした。





◆side:アベルシス

「こんなことまでいないと駄目?」
「もちろん。張型と本物は違いますからね。本来なら殿下としていただくのが一番いいのですが」
「そんなの本番の一回だけで十分なんだけど」

 必要なことだとわかっていても、抵抗はある。
 目の前に用意されたのは媚薬の盃。
 僕の尻の最終調整だから、陰茎を受け入れるために必要な薬。
 いつもの診察。
 防音結界は実施済み。

「快楽を得るための行為ではありません。感じて声が出るようであれば、それは素直に受け入れてください。そして覚えてください。感じているときの声というものを演じる必要もでてくる可能性もありますから」
「…わかった。飲むよ」
「当日は始まる直前にアベルシス様が口に含み、初夜を始める際に殿下にも口移しで飲ませてください。ある程度の即効性はありますから」
「うん。わかってる」
「では」

 口付けは必要ない。
 僕はサリムベルツが見ている中、媚薬の盃を呷った。
 どろりとした甘い液体が喉を通っていく。
 サリムベルツも盃を呷った。
 それから僕の足を開いて媚薬を含ませた香油を手の中に落とし、指をすっかり解れた僕の尻の中にいれた。

「んっ」
「この柔らかさ、いいですね。前立腺は感じるようになりましたか」
「ん、んっ、射精するくらいには、な」
「それは僥倖」

 サリムベルツの指が僕のそこをえぐっていく。
 その間にも媚薬は僕の中になじんでいって、動悸も激しくなってくるし、陰茎が硬くなっていくのもわかった。

「ではここで一度達しましょう」

 同じものを飲んでいて、サリムベルツだって体は興奮しているはずなのに、声はどこまでも冷静で腹が立った。
 けど、文句は言えない。
 指にそこを何度も擦られて、びくびくと腰が震えてしまう。

「うぁ…っ、イく、イ……あ、あああっ」

 媚薬のせいか、いつもより早い。
 思い切り射精して、肩で息をついていたら、「いいですね」と頷いたサリムベルツが、僕の尻にぴたりと己の強直を押し当ててきた。

「う……」

 レイほどではないけど、十分太くてでかい。

「挿入されるときは息を止めずにできる限り体から力を抜いてください。近づきましたらお二人に指導しますが、陰茎に刺激を与えれば、慣らされたアベルシス様の後孔からも力は抜けますから」

 実践…とばかりに、イったばかりの陰茎をしごかれ、体中から力が抜けたときにめりめりとでかい陰茎が僕の中に入ってくる。

「うあああっ」
「あえぎはもっと可愛らしく!!セレスティノ様のあえぎを思い出して真似してくださいっ」

 セレス。
 セレスの喘ぎ声。

「あ、あんっ、あっ」
「そう。それでいい」
「ひああああっ」

 ごりり……っていきなり奥まで突かれて、僕の体は弓なりに反っていた。





 体が重い。
 やっぱり明日も休むことを決めておいてよかった。
 サリムベルツは僕の中で達することはなかった。
 喘ぎ方、体の使い方、そんな指導をした後、浴室に向かい処理をしたらしい。
 ……僕は何度もイかされて、かなりだるいというのに。
 セレスはこれを毎日されていたのか。
 ……もしかして、僕たちよりも体力あるんじゃない……?



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。

天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。 しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。 しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。 【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

処理中です...