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本編

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「夜はしっかり睡眠を取ることも大事です。ですが、セレスティノ様が意識を落とされてからも、殿下とアベル様は子種が空になるまで挿れ続けたほうが良いでしょうね。一晩寝れば子種も全回復するでしょうし。なんなら、そのための薬も出します」

 ……その話だけで意識が遠のいていきそうなんですが……。

「……揺籠はそれほどに魔力を欲するものなのか」
「いえ、これはセレスティノ様の魔力が、殿下やアベル様よりも多いことが原因かと」
「「!!」」
「お。初耳ですか?それは面白い。どうしたわけか、セレスティノ様の魔力量は王族よりも多いのですよ。だからこその、この花籠だと思いますけどね。若しくは、この花籠が現出したことで、魔力量が上がったのか…。どちらが先なのかは、現状では判断しにくいですね」

 確かにぼくは魔力量だけは多かったけど。でも、多いだけだったのに。

「陛下には私から進言しましょう。アベル様に与えられる魔力が不足しているから、殿下の公務を減らすように、ね。アベル様は暫く寝室にお籠りください。干乾びようがどうなろうが、セレスティノ様にしっかり魔力を注ぎ続けてください。公爵家の嫡男なんですから、それくらいのこと問題なくできますよね?」
「問題ない。僕を誰だと思ってるんだ」
「アベルシス様ですね?セレスティノ様を囲い込むために殿下に抱かれた面白い人」
「……お前はっ」
「くれぐれも無駄打ちはしませんように。一滴でも多くセレスティノ様に注いでください。アナルからばかりじゃなくていいです。口から飲ませてもいいです。たっぷり可愛がって、アナルから挿れるときには、必ず揺籠の中に直接注ぎ込んでくださいね?」
「「わかった」」

 ……医療師様の助言だから、それは確かに的確なんだろうけど、なんだか閨指導されてる感じで、ぼくは顔が熱くなるのを抑えられなかった。レイとアベルは凄くやる気になってるけど…。
 一週間後にまた診察しますと言って、サリムベルツさんは部屋を出ていった。
 レイは一緒に出ていった。多分、陛下への報告にも行ったんだろうから。

「じゃあ、早速始めようか、セレス」

 アベルは凄く凄くいい笑顔で、ぼくにキスをした。





 ベッドから起き上がる気力もわかないくらい、ぼくは二人に抱かれ続けた。
 それでも魔力が足りないのか、目眩は時々あったけど、妙な不安感とかはなくなった。
 そして、二人と内緒の婚姻式をしてから七ヶ月後――――

「あ………っ、は、はぁっ、あっ、あっ」
「セレスティノ様、あまり力を入れずに。大丈夫。揺籠は貴方のことも赤ん坊のことも、死なせたりはしませんから」
「ん……んっ」

 熟した揺籠が、段々、お腹の中を下がってきた。レイとアベルが心配そうにぼくの手を握って見守ってくれている。

「手を握ってるだけじゃなくて口付けでもなんでもしてセレスティノ様の不安を少しでも和らげてあげたらどうですか?本当に駄目な旦那様方ですね?」

 ……サリムベルツさんは、凄くぼくを大事にしてくれているけど、レイとアベルに容赦がない。

「あ、ああ、すまない」
「そうだね。手を握ってるだけじゃ足りないよね」
「んぅ」

 レイのキス。たっぷり魔力を含んだ舌と唾液。
 お腹の中が熱くなって、どくん…って脈を打つ。
 アベルの舌がぼくの乳首を嬲った。触れたところがピリピリ甘く痺れて、アベルの魔力がにじみこむ。
 お腹……喜んでる。
 二人の魔力が、大好きで。

「う、ん、んんぅ」
「そう。いいですよ。力を抜いて。一番狭いところは抜けましたからね。あともう少しですよ、セレスティノ様」
「ん、ぅ」

 サリムベルツさんの手袋をつけた手が、ぼくのお腹に触れて揺籠の位置を確認している。
 ぼくの揺籠。
 ぼくの赤ちゃん。
 大切な大切な、ぼくたちの子供。

 揺籠はゆっくりぼくの中を進んだ。
 痛みはなくて。
 ただただ、嬉しくて幸せな気持ちに包まれていて。

「産まれますよ」

 サリムベルツさんの声のあと、ぬるりとそれはぼくのお腹から産み落とされた。

「ん」
「おめでとうございます、セレスティノ様」
「ありがとう、セレス」
「僕たちの子供だ…ありがとう、セレス!」
「んぅ」

 実感が……ないのは、仕方がないのかな…?なんとなく、お腹が寂しくなった気はするんだけど。
 でも、ぼくのそのおかしな感覚も、サリムベルツさんが専用の籠に移してくれた揺籠を見て、産まれたんだ…っていう実感と一緒に、酷く安堵した思いにすり替わった。

「赤ちゃん……ぼくたちの」
「小さいな」
「そうだね。読んで知っていたとは言っても、実際に目にするとかなり違うね」

 揺籠はぼくの両手のひらに収まってしまいそうなほど小さい。
 その中に、小さな小さなぼくたちの赤ちゃんが眠ってる。

「揺籠自体が魔法みたいなものですからね。教育したでしょう?殿下、妃殿下」

 勉強……した。
 揺籠は赤ちゃんを宿すだけのものじゃなくて、赤ちゃんを守るもの。親の魔力で作られた庇護膜それ自体が揺籠で、出産のときにはその揺籠丸ごとで生まれてくる。
 だから、暫くは次の子供はできない。
 時間をかけてまた体の中に揺籠が出来上がって…、花籠が準備ができたことを教えてくれる。
 生まれてきた赤ちゃんは、庇護膜とその中に満たされてる魔力を体に吸収して、少しずつ大きくなっていく。
 それにはさほど時間がかからないから、ぼくたちが見守る中、揺籠は段々小さくなって、中の赤ちゃんが大きくなっていった。



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