【完結】ぼくは伴侶たちから溺愛されてます。とても大好きなので、子供を産むことを決めました。

ゆずは

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本編

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「ああ……うん、ごめんね。大丈夫。全然大丈夫じゃないけど大丈夫。むしろ準備万端…は、さっきからだけど」

 そういって、アベルは顔をあげた。
 ぼくの肩から手も離して、改めて左手を出してくれる。
 後ろのレイはそのままぼくを抱きしめていて、背中があったかい。

「じゃ…誓うね?」
「うん」

 ぼくはまた指輪にキスして、魔力を込める。

「ぼくは誓います。この先、アベルを疑いません。アベルの言葉は全てぼくの真実です。ぼくはアベルを愛しています。アベルの幸福はぼくの幸福です。アベルにぼくの全てを捧げます」

 アベルの指輪も鈍く光った。
 嬉しい。
 後ろにいるレイの腕を引っ張って、ぼくの前に立ってもらった。
 レイの左手とアベルの左手をとって、ぼくの額にあてる。

「ぼくは二人の花嫁です。二人だけの花籠です。ぼくは二人の子供を、揺籠の中で育みます。ぼくは二人を、愛してます」
「「セレス」」
「大好き。レイ、アベル」

 ぼくは笑った。
 笑うことができた。

 二人の手を離したら、レイの指がぼくの顔を上向かせた。

「セレスに永遠の愛を。愛してる、お前だけだ。セレス」

 唇が重なる。
 触れて、触れて、触れて、唇を舐められて、舌がぼくの中に入り込む。

「ん、ん」

 気持ちのいいキス。
 とろりとした唾液が喉奥に溜まって、それを飲み込んだらレイの唇が離れた。

「セレス」

 レイとのキスが終わったら、アベルがぼくの頬を包み込むように手を添えてきた。

「セレスに僕の想いを全て捧げるよ。愛してる。僕の想いは全てセレスのものだ」

 アベルの唇と触れ合う。
 こうしてキスするのは、あのお風呂に一緒に入った日以来。
 舌が入ってきて、二度目の深いキス。
 お互いの舌を絡めて、とろりとして熱くて甘い唾液が口の中に落ちてくる。
 それを飲み込んで唇を離したら、嬉しそうに目を細めてるアベルが、額にもう一度キスをしてくれた。

「嬉しい。僕たちだけの婚姻式だね」
「ああ。参列者がいなくてセレスは寂しいかもしれないが、俺達だけの婚姻式だ」
「……ぼくたち、だけの」
「ま、婚姻式にしては、僕達の格好はあまりにもあれだけどね」
「セレスが花嫁姿だから問題ない」
「バスローブな上に、完全に勃たせているんだけどね」
「それも仕方ない」

 左右から二人に抱きしめられた。
 嬉しい。

 嬉しくて二人にすり寄っていたら、アベルがくすって笑った。

「そんなに安心した顔して。セレスは今自分がどんな格好してるか、わかってる?」
「ふぇ…?」
「ほら、よく見て」

 …って、アベルに言われて、改めて姿見に視線を戻した。

「……っ」

 思わず息をのんでしまった。
 花籠を見るのにリボンとかボタンとかを外されていたけど、下着はつけていないぼくは、胸元も、緩く頭をもたげてる陰茎も、全部、見えてて。
 そんなぼくを、姿見越しに、二人の熱い視線で見てる。

「あ……」

 とろりと、またお尻から流れた。
 それはどんどん流れだして、足を伝って床に溜まり続ける。

「ねえ…セレス」

 アベルがぼくの耳元でささやいてくる。

「婚姻式が終わったら、何をするの?」
「ん………っ」
「僕とレイは、何をしてた?」
「あ……」

 大勢の人に見られながら、していたこと。
 婚姻式の夜にすること。

「あ……、しょ、や、が、ある」
「うん、正解」

 アベルとレイの手がぼくのお尻に触れた。
 左右から揉まれるように触られて、とぷりと陰茎からも雫が漏れる。

「初夜は何をするの?」
「あ、あっ、お、しりに、にくけい、いれて、こだね、そそいで、もら、うの…っ」
「うんうん。正解」

 二人の手がまた花籠をなでてきて、あまりの気持ちよさにぼくはふるふる震えていた。

「どちらかの子種じゃない。俺とアベル二人分の子種をここに注ぐ」
「子種からの魔力と母体の魔力を吸収して揺籠は子供の核を作っていくから、本当の意味で僕たち三人の子供になるんだよ」

 ぼくたち三人の魔力が混じり合った子供。
 その子が、ぼくのお腹に宿る。

「嬉しい……っ」

 どちらかの子供じゃなくて、二人の子供。
 こんなに幸せなこと……他にない。

 ぼくが嬉しくて笑っていたら、お腹をなでていた二人が、すごく苦しそうな顔をした。

「セレスは俺たちの花嫁だから、もうこの部屋から出れない。セレスが会うのは俺たちだけ。会話をするのも俺たちだけ。それでも嬉しいって言うか?」
「庭には出れるけど、必ず僕かレイが一緒だよ。……セレスの家族にも、もう会わせてあげられない。夜会や社交にも出さない。レイが退位して離宮に入るまで、セレスの世界はこの部屋だけになるんだよ」

 つまりそれは、ぼくはここに閉じ込められるってこと。
 でもそれは、最初のときにレイに聞いたこと。

「……お手紙は、だせる?」
「それくらいなら、なんとかする」
「それなら、いい。ぼくは、二人がいればあとは何も要らないの。社交にも興味がない。……ぼくが子供を生んだら、取り上げられるの……?」
「そんなことはさせない。お前が産んだ子は、お前とここで過ごすんだ」
「都合上、僕のことは『母上』って呼んでもらうけどね。セレスのことは『母様』かな」
「ん……わかった」

 ぼくは、この部屋で、二人に愛されて、二人を愛していればいいんだ。
 二人から引き離されない。これは、ぼくが望んだこと。

「レイ…アベル」
「「ん?」」
「子種……ちょうだい?」

 二人の目が、とてもギラギラした。




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