15 / 54
本編
14
しおりを挟むここに連れてこられて、二回夜を越した。
多分三日目の朝。
目が覚めたらレイの腕の中に収まっていて、湯船に浸かってた。
「目が覚めた?」
「ん……」
熱すぎないお湯。
ぼくの髪はもう濡れていて、洗ってくれたみたいだった。
「起こしてくれればいいのに…」
「眠ってるセレスが可愛らしくて起こせなかった」
レイはそう言うと、ぼくの額にキスをした。
手を伸ばしても許されるだろうか。
ぼくはこの部屋に閉じ込められているのだと理解してる。大好きな、レイに。
けど、閉じ込められているだけ。
寮じゃないのに寮のときと同じ。
レイはぼくを抱かない。
額や頬へのキスは増えたし、抱きしめてくれることも増えたけど、夜は一緒のベッドに入らないし、抱くどころか、唇へのキスもしてくれない。
「レイ」
手を伸ばした。
お湯に浸かってるせいか、熱くなってるレイの頬に両手を添える。
「レイ、すき」
「……セレス」
「すき」
ぼくから顔を近づけて、触れるだけのキスをする。
……寮で最後にしたキスみたい。
「レイ…」
「…っ」
離れたくなくて、何度も重ねる。
嫌なら突き放して。
好きって思いを込めて、何度も何度も唇にキスをした。
「……っ、くそ……っ」
聞き慣れない悪態。
やっぱり嫌なのか…って思ったとき、頭の後ろを思い切り押さえつけられて、ぼくからの触れるか触れないかのキスなんかじゃない、しっかりと重なって舌を捩じ込まれる、深くて濃厚なキスをされていた。
「ん……っ、んぅっ」
左手で頭を押さえられて、右手はぼくの胸の突起をつまみ始めた。
ぐりぐりと押しつぶされるようにされて、痛いはずなのにぼくの下腹部がどんどん切なくなっていく。
「ん、ぁっ、あ、れい、れいぃ」
「っ、だめだ……っ、こんなん我慢できるわけねーだろ……!!」
「あ、あっ」
キスをやめた唇が、ぼくの胸の尖ったそこを食んだ。
周りから吸い上げて、ポテリとした先端を、舌が嬲る。
じんじんする。
体中、どこもかしこもじんじんする。
「あ……ぁんっ、あー……んん、んっ」
舐められて、つままれて、吸われて、引っ張られて、齧られて、押しつぶされて、嫐られる。
それを両方に交互にされて、ぼくの頭の中が真っ赤になっていった。
「れ………ぃ……」
「っ、セレスっ」
慌てたレイがぼくを抱き上げて立ち上がった。
ぼくは頭がくらくらしてて、力が入らない。
「まずった。セレス、ちょっと我慢しろ」
浴室を出て脱衣所でふわりとした風に包まれて、あっという間に乾いた。
レイはぼくを抱いたまま、お互いに何も着ないでベッドに向かい、ぼくを寝かせた。
ちらりと見えたテーブルの上にはもう食事が置かれていた。
「悪い。のぼせただろ」
快感だけじゃない頭のくらくらは多分そういうことなんだろう。
……レイ、ぼくのこと、嫌いじゃないよね?嫌いなら、あんなキスや胸をいじったりとか、しないよね?
のぼせたことよりもそっちのほうが気になった。
レイの肉茎は、ぐいって反り返ってて、血管が浮き上がるほどに硬くなったまま。
ぼくに触れたからそうなった、って、思っていいんだよね?
「セレス」
呼ばれて、すぐに唇が重なって、流し込まれた冷たい果実水。
嬉しい。
レイがぼくに触れてくれる。
アベルと婚約して、結婚するレイが。
ずきん……って、少し胸が痛くなった。
それから、じくじくと下腹部も痛む。
「レイ……レイ」
口移しの果実水を何口も飲まされて、また胸をいじられて、あちこち舐められて、レイの舌がぼくの陰茎を舐めた。
「ひぁ………っ」
お尻が濡れてくる。
レイは指をぼくのお尻の中に入れてきた。
とても久しぶりの感触なのに、嫌悪感は全然ない。ぼくの中から愛されて喜ぶものがどんどん流れてくる。
「レイぃ…っ、い、く、イく……っ」
じゅぼじゅぼ指が出入りして、じゅるじゅる吸われて、ぼくの体は言うことをきかなくなる。
「れ……い……ぃっ」
ビクンと跳ねた体。
レイの喉が何回かに分けて鳴った。
「れ……」
「ん」
指が抜かれてレイが離れた。
はふはふ…って荒い呼吸を繰り返すぼくを、ぎゅって抱きしめてくれる。
ぼくのお腹に硬いものが触れて、それだけでゾクゾクした。
「……風呂上がりなのにな。ちょっと待ってろ」
「れい…?」
ぼくの前髪をいじったレイは、す…っとぼくから離た。
お風呂場の方に行ったレイは、戻ってきたときにはバスローブを羽織っていて、手にはタオルを持っている。
「拭くよ」
「んっ」
汗ばんだ額とか体とか、全部拭いてくれる。
優しい。
けど、どうして?
「レイ」
「ほら、セレスはこれを着て」
下着も何もつけずに、薄い夜着。
いじられて敏感になった胸の尖りが、さらさらの生地に擦られて余計ゾクゾクする。
「レイ」
「……乳首が浮いて見えてるな」
笑ったレイが胸のとこを生地の上からつまんだ。
「う、んっ」
「はァ……可愛い」
涙が出た。
レイの肉茎は全然萎えてなくて、バスローブを押し上げているのに、レイはそれを使おうとしない。
ぼくを気持ちよくさせてくれたのに、一番欲しいものを与えてくれない。
お腹の奥が苦しい。
それがほしいって、言ってる。
「セレス?」
流れてしまった涙をレイの指が拭っていく。
こんなに優しいのに、どうして抱いてくれないの。
どうして子供がほしいって言わないの。
「困ったな……。ほら、おいで?」
おいでと言われても体は動かなくて、レイがぼくを抱き上げる形で、足の上に座らせられた。
「セレスに泣かれると困る。ほら、泣き止め。キスが嫌だった?舐められるのが嫌だった?」
背中をぽんぽんって叩くレイの言葉に、ぼくは頭をふるふる横に振って、レイにしがみついた。
63
お気に入りに追加
1,949
あなたにおすすめの小説
俺の幼馴染はストーカー
凪玖海くみ
BL
佐々木昴と鳴海律は、幼い頃からの付き合いである幼馴染。
それは高校生となった今でも律は昴のそばにいることを当たり前のように思っているが、その「距離の近さ」に昴は少しだけ戸惑いを覚えていた。
そんなある日、律の“本音”に触れた昴は、彼との関係を見つめ直さざるを得なくなる。
幼馴染として築き上げた関係は、やがて新たな形へと変わり始め――。
友情と独占欲、戸惑いと気づきの間で揺れる二人の青春ストーリー。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。
くまだった
BL
新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。
金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。
貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け
ムーンさんで先行投稿してます。
感想頂けたら嬉しいです!

王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました
拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。
昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。
タイトルを変えてみました。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる