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本編

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 ぼくのお尻の中には、レイの硬くて太い肉茎が埋まったまま。
 ぼくの心臓が大きく震えるたびに、中のレイの肉茎をぎゅっぎゅって締め付けている。

「愛してるんだ、セレス」

 苦しそうに紡がれた声は、ぼくに願うような、そんな声音。

 愛してる

 ……なんで。
 なんでそんなこと言うの。

「……っ、レイは、ずるい……っ」

 また涙が止まんない。

「狡くても酷くても何だっていい」

 ベッドに投げ出してたぼくの手を、レイがぎゅっと握ってベッドに押さえつけた。

「セレスが手に入るなら、俺はなんだってする」

 奥をぐりぐり抉りながら、レイの熱くて柔らかい唇が、ぼくの口を塞いだ。
 唇よりも熱い舌は、すぐににゅるっとぼくの中に入ってきて、滅茶苦茶に舐め回す。
 上顎から喉まで何度も舐められてるうちに、背筋を駆け上がってくるゾクゾクした快感が増していった。
 ぼくの手を握るレイの手に、もっと力が入る。
 奥を擦られるたびに、ぼくの体がぶるりと震えて、上を向いた陰茎からはとめどなく何かが流れ出す。
 口の中はレイから流れ込んでくる唾液と、ぼくの唾液でいっぱいになって、溺れそうになった。
 涙で視界は歪んだままなのに、間近にある青空より澄んだ綺麗な空色の瞳は、とてもよく見えた。
 喉に溜まった唾液を飲み込んだら、なんだか下腹部のところがポカポカしてくる。

 レイは唇を離すと、ぼくの頬を撫でた。とても、大切そうに。
 目を細めて、ただぼくを真っ直ぐ見つめてくる瞳から、目を逸らせない。

「セレス、愛してる」
「レイ」
「愛してる。……だから俺を受け入れてくれ」

 少し苦しそうにそう言葉にしたレイ。
 ゆっくり触れてきた唇に、ぼくの体からふ…っと力が抜けた。
 その瞬間を見計らったかのように、レイが腰を強く押し込めてくる。

「ひ………ぅ、うんんんっっ、ん、んんんっ」

 奥に、レイの肉茎が入りこんだ。
 本当に駄目。
 そこは、駄目。
 揺り籠の口があるから。まだ開かないはずだけど、もし、揺り籠があって、もし、口が開いてしまったら。

「んん~~っっ」

 でも、追い出せない。
 ぼくの体は喜んでレイを迎え入れてる。
 ぐぽんぐぽんって奥を抉られて、ぼくはずっと涙が止まらなくなる。
 唇で口を塞がれているから、悲鳴のように上がるはずだったぼくの嬌声は、聞こえることがない。
 くぐもった声しか出ないけど、それでもずっとぼくは声を出し続けてた。

 身分の低いぼくが、レイの子供を身籠るなんてこと…あってはならない。釣り合わない。家柄も、ぼく自身も、なにもかも。
 でも、こんなぼくに、レイは愛してると言ってくれた。
 ほしいって言ってくれた。

 深いところを何度も突かれてる間に、お腹の奥がジンジンしてきた。
 ぐるぐるして、熱がたまる。

 駄目だと思う心と、受け入れる体。
 求められて嬉しいと叫ぶ心と、開いてはならないと頑なに閉じる体。

 ぼくは多分、花籠持ち。
 男爵家の次男で。
 家は兄様が継ぐことが決まってて。
 頭も良くない。
 多い魔力を持ってるだけ。
 でも魔力が高いと、花籠持ちなら子どもを宿しやすい。
 もうすぐ学院を卒業する。
 この年まで婚約とかの話がないということは、多分ぼくは兄様に嫁ぐ。
 花籠が熟したら、兄様の花嫁になる。
 花籠が真っ赤に染まるまで、兄様の肉茎をぼくのここで受け入れて、たくさん、子種を注いでもらう。
 レイとアベルのことが好き。
 幼馴染みだから、とても好き。
 二人と一緒にいるとたのしい。
 二人と一緒にいたい。
 でもそれは、学院にいるあいだだけ。
 ぼくの中で、子供を宿すことと、だれかを好きだと思う心は同じじゃない。
 子供を宿すための行為は儀式で、『好き』っていう思いは必要じゃない。
 兄様だから、家族だから、大切だという思いはある。けど、それだけ。
 兄様じゃない誰かの子種を受けてしまったら、ぼくはその価値がなくなる。

 わからない。
 わからないんだ、レイ。

 ぼくは、ぼくのために、レイを拒絶しないとだめなのに。
 駄目って言っても、駄目って思っても、ぼくはレイを拒めない。
 体をよじって逃げ出すこともできない。

「セレス」

 レイの柔らかで優しい声。
 剣を握る手はとてもゴツゴツしていて力強いのに、ぼくに触れるときはこれでもかってくらい優しくなる。

 ……初めて会ったあのお茶会のときから、ずっとずっと傍にいた二人。
 ぼくの周りには、家族と、レイと、アベルしかいなかった。
 でもそれでよかった。
 ぼくはレイとアベルが好き。
 ふたりが好き。
 好きだった。
 今も好き。
 子供のときだけの特権。
 好きだから一緒にいて。
 寂しいときには頭をなでて。
 好き。
 ぼくの心の奥にしまいこんだ『好き』。

 なのに、レイが、それをこじ開けてくる。
 ぼくの心の奥深いところに、レイが入り込む。
 隠してた心を暴かれる。

 ぎゅぅって胸が痛くなる。
 体を起こしたレイを見上げてると、心臓がズキンズキン痛む。
 ぼくのお尻はレイの肉茎を咥えたまま離さない。
 ぼくの陰茎はピクピク震えながら涙を流して喜んでる。
 ぼくの中に埋め込まれたレイの肉茎は、ずっと待ってる。
 ぼくを、待ってる。

「レ、イ」
「セレス」

 手を伸ばしたら握られた。指を絡めて、ぎゅって、強く。

「す、き」
「っ」
「レイ、好き。レイ、レイ、好き、好き……っ」
「……っ」

 くしゃりと表情を歪めたレイが、ぼくに荒々しくキスをした。


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