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本編
6
しおりを挟むぼくのお尻の中には、レイの硬くて太い肉茎が埋まったまま。
ぼくの心臓が大きく震えるたびに、中のレイの肉茎をぎゅっぎゅって締め付けている。
「愛してるんだ、セレス」
苦しそうに紡がれた声は、ぼくに願うような、そんな声音。
愛してる
……なんで。
なんでそんなこと言うの。
「……っ、レイは、ずるい……っ」
また涙が止まんない。
「狡くても酷くても何だっていい」
ベッドに投げ出してたぼくの手を、レイがぎゅっと握ってベッドに押さえつけた。
「セレスが手に入るなら、俺はなんだってする」
奥をぐりぐり抉りながら、レイの熱くて柔らかい唇が、ぼくの口を塞いだ。
唇よりも熱い舌は、すぐににゅるっとぼくの中に入ってきて、滅茶苦茶に舐め回す。
上顎から喉まで何度も舐められてるうちに、背筋を駆け上がってくるゾクゾクした快感が増していった。
ぼくの手を握るレイの手に、もっと力が入る。
奥を擦られるたびに、ぼくの体がぶるりと震えて、上を向いた陰茎からはとめどなく何かが流れ出す。
口の中はレイから流れ込んでくる唾液と、ぼくの唾液でいっぱいになって、溺れそうになった。
涙で視界は歪んだままなのに、間近にある青空より澄んだ綺麗な空色の瞳は、とてもよく見えた。
喉に溜まった唾液を飲み込んだら、なんだか下腹部のところがポカポカしてくる。
レイは唇を離すと、ぼくの頬を撫でた。とても、大切そうに。
目を細めて、ただぼくを真っ直ぐ見つめてくる瞳から、目を逸らせない。
「セレス、愛してる」
「レイ」
「愛してる。……だから俺を受け入れてくれ」
少し苦しそうにそう言葉にしたレイ。
ゆっくり触れてきた唇に、ぼくの体からふ…っと力が抜けた。
その瞬間を見計らったかのように、レイが腰を強く押し込めてくる。
「ひ………ぅ、うんんんっっ、ん、んんんっ」
奥に、レイの肉茎が入りこんだ。
本当に駄目。
そこは、駄目。
揺り籠の口があるから。まだ開かないはずだけど、もし、揺り籠があって、もし、口が開いてしまったら。
「んん~~っっ」
でも、追い出せない。
ぼくの体は喜んでレイを迎え入れてる。
ぐぽんぐぽんって奥を抉られて、ぼくはずっと涙が止まらなくなる。
唇で口を塞がれているから、悲鳴のように上がるはずだったぼくの嬌声は、聞こえることがない。
くぐもった声しか出ないけど、それでもずっとぼくは声を出し続けてた。
身分の低いぼくが、レイの子供を身籠るなんてこと…あってはならない。釣り合わない。家柄も、ぼく自身も、なにもかも。
でも、こんなぼくに、レイは愛してると言ってくれた。
ほしいって言ってくれた。
深いところを何度も突かれてる間に、お腹の奥がジンジンしてきた。
ぐるぐるして、熱がたまる。
駄目だと思う心と、受け入れる体。
求められて嬉しいと叫ぶ心と、開いてはならないと頑なに閉じる体。
ぼくは多分、花籠持ち。
男爵家の次男で。
家は兄様が継ぐことが決まってて。
頭も良くない。
多い魔力を持ってるだけ。
でも魔力が高いと、花籠持ちなら子どもを宿しやすい。
もうすぐ学院を卒業する。
この年まで婚約とかの話がないということは、多分ぼくは兄様に嫁ぐ。
花籠が熟したら、兄様の花嫁になる。
花籠が真っ赤に染まるまで、兄様の肉茎をぼくのここで受け入れて、たくさん、子種を注いでもらう。
レイとアベルのことが好き。
幼馴染みだから、とても好き。
二人と一緒にいるとたのしい。
二人と一緒にいたい。
でもそれは、学院にいるあいだだけ。
ぼくの中で、子供を宿すことと、だれかを好きだと思う心は同じじゃない。
子供を宿すための行為は儀式で、『好き』っていう思いは必要じゃない。
兄様だから、家族だから、大切だという思いはある。けど、それだけ。
兄様じゃない誰かの子種を受けてしまったら、ぼくはその価値がなくなる。
わからない。
わからないんだ、レイ。
ぼくは、ぼくのために、レイを拒絶しないとだめなのに。
駄目って言っても、駄目って思っても、ぼくはレイを拒めない。
体をよじって逃げ出すこともできない。
「セレス」
レイの柔らかで優しい声。
剣を握る手はとてもゴツゴツしていて力強いのに、ぼくに触れるときはこれでもかってくらい優しくなる。
……初めて会ったあのお茶会のときから、ずっとずっと傍にいた二人。
ぼくの周りには、家族と、レイと、アベルしかいなかった。
でもそれでよかった。
ぼくはレイとアベルが好き。
ふたりが好き。
好きだった。
今も好き。
子供のときだけの特権。
好きだから一緒にいて。
寂しいときには頭をなでて。
好き。
ぼくの心の奥にしまいこんだ『好き』。
なのに、レイが、それをこじ開けてくる。
ぼくの心の奥深いところに、レイが入り込む。
隠してた心を暴かれる。
ぎゅぅって胸が痛くなる。
体を起こしたレイを見上げてると、心臓がズキンズキン痛む。
ぼくのお尻はレイの肉茎を咥えたまま離さない。
ぼくの陰茎はピクピク震えながら涙を流して喜んでる。
ぼくの中に埋め込まれたレイの肉茎は、ずっと待ってる。
ぼくを、待ってる。
「レ、イ」
「セレス」
手を伸ばしたら握られた。指を絡めて、ぎゅって、強く。
「す、き」
「っ」
「レイ、好き。レイ、レイ、好き、好き……っ」
「……っ」
くしゃりと表情を歪めたレイが、ぼくに荒々しくキスをした。
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