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愛しい人を手に入れたい二人の話
最愛と過ごすために初夜を演じる王太子妃
しおりを挟む◆side:アベルシス
「……この先のためとはいえ、なんで僕がお前に抱かれなきゃならないの」
「それ以上文句を言うな。俺だってお前を抱きたくない」
「んなことわかってる」
僕達が選んだ最善の未来のための布石だ。
けど、文句が出るのは仕方ないだろう。
僕はセレスを抱きたいのであって、レイに抱かれたいわけじゃないんだから。
「仕込みは?」
「上々。殿下以外には肌を見られたくないー、恥ずかしいから、ってしおらしく言ったら、世話係も風呂までついてこなかったし。ちゃーんとほぐして広げておいたし、浄化剤も香油もたっぷり仕込んで張型で栓までしてありますぅ」
「流石アベル」
「褒められても嬉しくない」
僕が纏っている初夜用の夜着は、着る意味がどこにあるのか全くわからないほど、露出は多いしあちこち透けてる。
そんな自分の姿を鏡で改めて見て、ため息しか出てこない。
セレスが着てたら、見ただけで完勃ちする自信がある。
「……しっかし、ほんとに悪習だね。不正がないように初夜を複数人で監視するとか」
「全くだな。単に色好きな変態が興奮するための習慣だろ」
レイから代々王族の婚姻にまつわる習わしを聞いたときには、正直目眩がした。
王太子が婚姻式を挙げたその夜――――要は初夜であるけど、実際に王太子の子種が注がれているのか、複数の閨監視係が見守るのだそうだ。
つまり、王太子と王太子妃が睦み合って、王太子妃があんあん言ってるのを、いやらしい目をした監視係に全て見られるということ。
しかも、王太子が子種を注いだら、そいつらに向かって背面座位で抱えられ、御開帳してから陰茎を抜くんだと。王太子妃の尻穴から子種が流れ落ちてくるのを確認したら、好色ジジイ達の仕事は終わるらしい。本来なら。
それだけでも屈辱的だし、唾を吐きたくなる風習だけど、最近じゃ孕み紋が真っ赤に染まるまで監視することがあるんだとか。
真っ赤に染まったってことは、妊娠したってことだ。初夜でそこまでヤリ続けなきゃ駄目なのかよとドン引きした。
しかも、花籠持ちが感じれば感じるほど妊娠の確率が高くなるからと、初回確認のあとはそいつらが王太子妃の身体を弄り回すこともあるそうだ。流石に挿入はしないらしいが。
糞だな。
「精々可愛らしく恥じらってやるよ」
「ああ。こんな悪習、俺の代で廃止してやる」
婚姻式でのお披露目を耐えても、初夜で精神に障害を持ってしまう王太子妃も過去にはいたらしい。
そりゃそうだ。
抱く側はいいけど、抱かれる側にとってはその場で自死してもおかしくない状況なんだから。
「……セレスがこの立場じゃなくて良かったと思うよ」
「全くだな。あんな可愛い姿、他人に見せられるわけがない」
「ほんっと、レイが羨ましいっ。はやく僕も抱きたいのにっ」
「アベル、静かに」
ああ、ついに来たのか。
僕は媚薬が入った小瓶に口をつけ、中身を口の中にためた。
僕もレイもこのままじゃ勃たない。だからこその媚薬だ。わざわざ薬を飲んだことは知られちゃならないから、僕はレイが口づけてくるまで無言を通す。
これも、打ち合わせどおり。
瓶はベッドの下に隠しておく。
僕がベッドの上で姿勢をただしたあたりで、部屋に十人ほどが入ってきた。
……十人って。
三十代くらいの比較的若いヤツから、口元に白く長いひげをはやした老人まで。年代は様々だ。
「……」
僕は彼らを見て、怯えた瞳と態度でレイに縋り付く。
できるだけ体を隠そうとしながら、ね。
レイはそんな僕を片腕に抱き寄せながら、監視人たちを睨みつけた。
「随分と大所帯だな。聞いていたよりも多いようだが」
「これも正しく王族の血脈が受け継がれるための措置でございます。レイナルド殿下、アベルシス妃殿下」
老人が一番偉いのか。
「正しく、ね。だが、我が愛しき妃はこの状況に怯え、身体を震わせている。こんな状態では子は成せないだろう」
ちゅ…って、額にキスされたよ。
ぞわっと震えて鳥肌が立ちそうになったけど、まあいいや。
「初回の確認まで、明かりは落とさせてもらう」
「暗闇は認められません、殿下。読み書きができるほどの明るさでなくては」
「では、ぎりぎりまで落とそう」
レイが指を動かすと、煌々とついていた明かりはす…っと消えていく。
本当に、ぎりぎり。本が読める程度まで。
「アベル、力を抜いて」
甘い声。
こんなふうにセレスに語りかけているのか。
ベッドに押し倒される。
目を見つめ合って、ほんの僅かに頷きあう。
レイの唇が、躊躇いなく僕の唇を塞いだ。
僕は目を閉じてレイの首に縋り付く。
……これがセレスだったらな……と、内心、ため息を付きながら。
打ち合わせどおり、僕の口の中に入れておいた媚薬を、レイの口の中に押し込んで二人で飲み込んだ。
「あ、あん…あんっっ」
媚薬効果は絶大だった。
僕もレイも、問題なく陰茎は勃起し、乳首を噛まれるだけで僕の陰茎からは精子が溢れていく。
……花籠持ちでも勃起したり精子が出たりして本当に良かったと思う。僕のが不自然にならないから。もし、花籠持ちが勃起もしない、精子も出ない…なんて状態だったら、尿道にまで栓をする羽目になってた。
「可愛い…、可愛いよ、アベル」
「ひぁぁ…んっ」
この嬌声は嘘じゃない。多少、強めに出しているが。
「ちくび、や、やぁっ、とれちゃう、とれちゃう……っ」
「痛いくらいが気持ちいいだろ?」
「やあぁぁぁー…っ!!」
レイ、後で締める。
ノリノリだな、こいつ…っ。
そして、監視人たちもキモい。さっきからゴク…って、生唾飲み込む音や、衣擦れの音が聞こえてんだよ。あー嫌だっ。
乳首をいじられてる間に、監視人から見えないように張型をゆっくり抜く。音が出ないように、ベッドの隙間に押し込み、証拠隠滅。
ちらりとレイの目を見て、小さく頷けば、次の段階だ。
「アベル……アベル、気持ちいい?感じてるだろう?……ほら、もうこんなに濡れてる」
「あ、あ、うそ……うそ……っ」
アベルの指が僕の尻に触れた。
長い指が容赦なく中に入ってくる。
ぐちゅぐちゅと、卑猥な音。
花籠持ちは感じれば勝手に中が濡れていくからね。そのための香油仕込み。匂いは、セレスの愛液に似た甘い花の香を選んだ。
媚薬効果も相まって、かなり悪態はついているけど、僕の身体は本当に快楽を得ている。
勃ち上がった僕の陰茎からは、とろとろと白濁が絶え間なく流れてるくらいに。
「解さなくてももうとろとろだね……。アベル、ここに私がほしいと言って?」
「あ……」
こいつ、セレスにも言わせてたんだな……っ。なんって羨ましい……っ。
「あ……、い、れて、レイの、おっきな、お…ちんちん、いれて、いれてぇ……………ひゃぁぁんん……!?」
容赦なく奥まで一気に入ってきたレイの剛直。
入れられた瞬間、僕の陰茎からはぷしゅぷしゅと精子が飛び散った。うっわ。媚薬効果とはいえ、入れられて達してしまうとか、僕の身体やばくない?
レイも興奮してるのか、顔を赤らめながら、舌なめずりまでしてる。
僕の足を限界まで広げて、激しく腰を打ち付けてくる。
「あああんんっ、らめ、そん、な、つよく、しないでぇ……っ、あー!!!」
「孕め……孕め………っ、………っ」
室内に、パンパンって肌を打つ音と、ぐじゅぐじゅと湿った音と、荒い息遣い多数と、自慰にふける音がごちゃまぜになる。
キモい。
本当にキモい。
「アベル………出すぞ………っ、飲み込めっ」
「やああぁぁんんっっ」
ぎゅっと抱き合って、レイの子種を腹の奥で受け止める。……ああ。熱いな。こんなに熱いのか。
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