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自由の国『リーデンベルグ』
8 リアさんを避けたい理由
しおりを挟む「なんでそんなにリアさんのこと苦手にしてるの?」
溜息をつきながら俺に覆いかぶさってきたクリスの背中を、ぽんぽんと宥めるようにたたいた。
返ってくるのはまた溜息だけど。
「……別に、苦手なわけじゃない」
「そう?」
少し汗ばんで湿った肌が触れ合って、ほてった体には気持ちがいい。
クリスは何度目かの溜息を途中で飲み込んで、むき出しの俺の首筋に顔をうめてきた。
「別に嫌いってわけでもないよね?」
「嫌ってもいない」
「じゃあなんでそんなにリアさん呼ぶの躊躇うのかな」
クリスの髪を手で梳く。さらさら流れて綺麗。
「……あれはお前と同郷だろ」
「うん?…まあ、そう、かな?」
「お前はあれに必要以上になついているし」
「うーん??」
「あれもお前のことは甘やかしてるし」
「……忘れてるかもしれないけど、リアさん十四歳だからね?」
「…………忘れてはいない」
「そう?」
十四歳に甘やかされてる十八歳の俺。なんてカオス。でも、精神年齢が上のせいか、リアさんって十四歳に見えない。あ、もしかしてそろそろ十五歳だろうか。聞いてなかった。今度聞いておこう。
「……狭量なのは、わかっている」
絞りだした声に、笑いをかみ殺す。
そっか。わかってはいるんだ。
「臥せっていたお前が食べやすいようにと、故郷の料理を再現してくれたことには感謝してる」
「うん
「……お前を失くしたとき、セシリアが希望を示してくれたことにも感謝している」
「うん」
「だが……、あれに無防備な笑顔をむけてなつくお前を見るのは我慢ならない」
「うーん」
リアさんのせいじゃなくて、それ、ほぼほぼ俺が悪いんじゃない?
俺の態度がクリスを不安にしたり苛々させたりしてる、ってことだよね?
「……でも俺、クリスの前だとありえないほど笑ってる気がするんだけど」
「……知ってる。泣き顔もたくさん見ている。……濡れた黒い瞳は魅惑的だ」
「う。それは、今は、いらないっ」
突然恥ずかしくなることをぶち込まないでほしい。ああもう。ほんとやめて。
首元でふって笑った気配を感じた。それから、ぺろりと舐められた濡れた熱い感じ。
「んっ」
「動いていい?」
「んっ、まだ、だ、めっ」
また笑う。
「……メリダの代わりになるってことは、お前のこんな姿も見られるってことなんだが」
「ん、ぅ?」
「嬉々と見に来そうだろ、あれなら」
「ふぁっ」
中に埋まったままだったクリスのがいきなり動き出した。中の壁をぐるぐるこする様に動いていて、強い刺激じゃないのにお腹の奥がきゅうきゅう締まる。
「ちょ……っ」
「……それに、セシリアは似てるじゃないか」
「にてる、って、だれに……っ」
「オットー」
「ひん……っ」
奥に押し付けられてたものが、更に奥に入り込む。
「あれとオットーが二人して俺の傍にいるってことは、俺にアキに会わずに仕事だけをしてろと言ってるようなものだ」
「んぁ…っ!」
「これ以上アキと過ごす時間を減らされたくない」
「あ、あっ、だめ、や、くりす、そこ、だめぇっ」
それだけクリスがリアさんのことを認めてるってことだけど、そこを指摘する余裕はなくなった。
クリスのものに慣らされてる俺の体は、すんなりとクリスの動きを受け止める。
「んぅぅ…っ、イく、い……っ、あ、あー…んっっ」
ぎゅって体を重ねたまま。
クリスの背中に両手でしがみついて、足はいつのまにか腰に絡みつけていた。これは無意識。
達したときのびくびくとした震えが自然と落ち着いていく。でも、いつも感じる熱くて甘い魔力はわずかしか感じない。
「ん…」
クリス、まだイってない……ってぼやける頭で思ってると、唇を吸われた。
は…は…って吐息が、クリスと俺の間で行き来してる。
キスも、気持ちいい。
クリスの舌は俺の口の中を余すところなく舐めていく。
喉の奥から、上あごを舐めあげられて、また背筋がぞくぞくする。
そんな捕食のようなキスに夢中になっていたら、クリスに軽く転がされて体勢を変えられた。
「ひぅ」
俺の下にクリスがいる。
クリスの頭の横に手をついて体を少し起こしただけで、中のあたる場所が変わって息が止まる。
「できる?」
目を細めたクリスが、俺の頬をなでる。
「……うん」
何を求められているのかちゃんとわかってる。
中に入ったままだから、自分から入れるってのをしなくていい分、少し…楽……?
いつも全部見られてることはわかっていても、この瞬間は少し恥ずかしい。
中のクリスをうっかり締め付けながら、体を起こした。
口元に笑みを浮かべるクリスを見下ろす俺の顔は、きっとだらしないものだと思う。でも、クリスはそんな俺にも可愛いっていう。
硬い腹筋に手をつく。手の下で硬いお腹がびくっと震えた。
「んっ」
ゆっくり腰をあげて、ゆっくり落とす。
それを続けてるうちに、動きは少し早くなる。
「んっ、ふ、ふぁっ」
クリスのは萎えない。硬いまま、俺の中をこする。
俺の息子はもう完全に勃ちあがるほどの元気はないけど、腰を揺らすたびに先端から色のつかない体液を垂れ流してる。
「アキ、見えない。全部見せて」
甘い声。
クリスの手が、俺の手を握った。両手がぎゅっと恋人つなぎになる。
足だけで体を支える不安定さ。
でも気持ちよさに夢中になる。
「くりす……くりす、い、けない、あ、ほし…っ、して、……ねがぃっ」
気持ちいいのに甘いだけの気持ちよさでイけない。
熱杭は俺の中にいるのに、じわじわと魔力を感じているのに、これ以上ができない。
「倒れるなよ」
「あうん…っ!!」
手を握られたまま、腰を突き上げられた。
俺が腰を沈めるのとタイミングがあって、その一突きだけで俺の目の前に星が飛ぶ。
ベッドのきしむ音が激しくなって、クリスの息も荒くなった。
「あ、あっ、あんっ、ああっ、すごぃ、くるっ、あ、あ、い………んー……っ!!」
「っ」
一番強く奥を突かれて、俺は後ろに反り返りながら達した。手を握られてなかったら、後ろから倒れこんでたと思う。
びくびくするクリスの熱杭が、ぐ、ぐって数度奥に押し付けられる。そのたびに甘い魔力が流れ込んできて、頭の中が余計にくらくらした。
「んぁ…………、く、りす」
ぱたりと、クリスの上に倒れこんだ。
クリスも俺を抱きしめてくれる。
「アキ、愛してる」
「おれも…」
「おやすみ」
「ん……」
リアさんのこと、中途半端な話になった気がしたけど、まあいいや。なんとなく、聞きたいことは聞いた気がするし。
大好きクリス。
入ったままだとか、もうなんかいろいろ、考えを放棄して。
俺は大好きな体温を感じながら目を閉じた。
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