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自由の国『リーデンベルグ』
1 さみしいきもちとうれしいきもち ◆マシロ
しおりを挟むましろは、ましろといいます。
ましろは人ではないけど、あきにたすけてもらって、あきをたすけたくって、人になりました。
でも、まだ、とってもかなしくなったり、あきやくりすからおこられたり、あきがおねつでねんねしてると、もとのましろにもどってしまいます。
くりすはおこりんぼだけどとってもあきのことが好きで、おこりんぼだけどましろのことも好きって言ってくれます。
ばぁばはましろがさみしいときにあたまをなでてくれます。おしごとがいそがしいあきとくりすのかわりに、ましろのそばにいてくれます。
ましろが泣いたらあきがかなしくなって泣いちゃうから、ましろはがまんします。でもがまんできなくて泣いてしまったら、あきは泣きながらましろのことをぎゅってしてくれます。
それからたくさん「ごめんね」って言います。ましろはまだじょうずにおはなしができないから、ましろのきもちもじょうずに言えません。
くりすは、ましろのおはなしすることを、ぜんぶわかってくれます。ふしぎです。でも、いつもわらってみまもるだけで、ましろがあきにおはなししたいことをおはなししてはくれません。でも、どうしてもつたえたいことは、くりすはあきにおはなししてくれます。
ましろは人だけど人じゃないので、あきからまりょくをもらいます。ごはんも食べるけど、あきのまりょくがいちばんおいしいです。
あきがぎるますってよぶ人が、よくおしろにきます。ぎるますはときどき、あきのかわりにましろにまほうをおしえてくれます。ぎるますはいろんなことを知っています。はくしきというらしいです。あきが言ってました。はくしきってなんですか?
「あね、おっきなおはながね、わーってきらきらで」
「きらきら!きれい?」
「う!きれぃ!」
ふんすいっていうのがあるひろば。
あきとくりすといっしょになんどか来たところ。
ふかふかをしいて、みんなですわっておやつを食べるの。ましろが大好きなあきのお花のおかし。
あきとくりすはぎるますとおはなしする。ほかの人ともおはなしする。
ましろのちかくにはいるがいる。
「でもここだけっていうのはやっぱり不公平な感じしない?…まあ、他の区画の人も来てくれればいいんだけど…」
「南町だとさすがに少し遠いな」
「うん…。王都の中心にお城と神殿があるから、やっぱり中心部で色々できたほうがいいと思うんだ。不公平感が少しはなくなるかな…って」
あきはとてもむずかしいおかおでむずかしいことを言ってるの。
ましろはちらちらあきを見ながら、またいちまい、おかしをたべる。
「マシロ、寂しい?」
いるが、ましろをおひざの上にすわらせた。
「う…」
いるはやさしい。
ましろのあたまをゆっくりなでてくれる。
「アキラさん、マシロと居たくないわけじゃないんですよ」
「う…」
「まあ、私が言わなくてもマシロはわかってると思いますけど」
「う…。わかぅ」
「わかっててもさみしいんですよね」
「う…」
なんどもうなずいて、いるにぎゅってする。
「ましろ、いたい?」
「まーろ、いちゃぃ?」
「ましろちゃん、泣いてる?」
みんなであつまって、おかしをたべる。
そしたら、みんな『おともだち』なんだって。あきがおしえてくれた。みなといっしょの『おともだち』。
その『おともだち』が、いるにぎゅってしてるましろを、しんぱいしてくれる。
「いたい、ないの」
ふるふる、あたまをふる。
いるのおひざからおりて、またふかふかの上にすわる。
ちらってあきを見たら、あきと目があって、あきがわらって手をひらひらしてくれた。
ましろはうれしくなって、ましろも手をひらひらさせる。
さみしいけど、一人じゃないからだいじょうぶ。いるとおともだちがいるからだいじょうぶ。
おしろにもどるとき、あきがましろをだっこしてくれる。
ぎゅうぎゅうくっついて、とちゅうでくりすがましろをつまみあげる。
そしたらこんどはくりすにぎゅうぎゅうくっつく。
いると目があう。そしたらにこってわらって、うなずいてくれる。よかったね、って、言われてるきがする。
「うれち」
「ん?」
「ましろね、うれち」
「そうか」
ぽんぽんって、くりすがましろのせなかをたたく。
すごくうれしいの。
なんどかあさとよるがすぎたころ、りーあがおしろにきたの。
「マシロちゃん、久しぶり!」
「きゃあっ」
ぎゅむぎゅむぎゅーって、りーあがましろをだっこする。
みなはいっしょじゃない。
りーあはばぁばとごあいさつをする。ましろをだっこしたまま。
ばぁばとおはなしがおわったら、ましろをおろして手をつなぐ。
「殿下とアキラさんのところにいきましょう」
「う!」
ばぁばもいっしょに、あきとくりすのおしごとのおへやに行く。
「ほんとうに申し訳ないと思いますけど……。よろしくお願いしますね」
「大丈夫です。気になさらないでください。私にとっても貴重な経験になりますし、もしかしたら良い方を見つけられるかもなので」
ばぁばとりーあがわらいながらおはなししてる。
「マシロちゃん一人でお留守番も可哀想ですし、アキラさんも気にして満足な結果にならないかもしれませんし」
「私とお留守番も検討されたようなのですけどね。マシロちゃんになにかあっても対処できないですし、何よりアキラさんが寂しいっておっしゃられて…」
あきもさみしいの?
そしたら、ましろがそばにいてあげないと。
「アキラさん、マシロちゃんのこと溺愛するパパですもんね」
「そうですね」
「なんだかんだ言って殿下も溺愛親バカなお父さんですけど」
「ふふ。ええ。本当にそのとおりですね」
ふふふ。
くすくす。
ばぁばとりーあはとてもたのしそう。
「そうだ、マシロちゃん」
「う?」
「お部屋についたら、『ぱぱ』ってよんであげて」
「ぱ、ぱ?」
「うん、そう。そしたら、アキラさんも殿下も、とーっても大喜びしてくれるわ」
「よろこぶ?」
「絶対喜ぶ!」
「う!いう!」
『ぱぱ』がなにかわからないけど、りーあがよろこぶって言うから、きっとあきもくりすもよろこんでくれる。
なんども『ぱぱ』ってれんしゅうをして、おしごとのへやについたとき、「ぱぱ!」っておっきなこえで言って、あきにだきついた。
「え!?」
「ぱぱ!」
「え、なんで、マシロっ」
「ぱぱ?」
「うああああっ」
あきのおかおがまっか。
あきはましろをゆかにおろして、いすにすわりこんじゃった。
……よろこんで、ないよ?
ましろ、どうしたらいいかわかんなくなった。
「マシロ」
「う?」
くりすがマシロをだっこする。
「誰に教えてもらった?」
「りーあ」
くりすはりーあのほうをみて、ふーっていきをだした。
「ぱぱ、め?」
「そんなことない」
「ぇも、あき」
「あれは喜びすぎて動けないだけだから、問題ない」
「うれち?」
「そう。嬉しすぎるんだ」
「ういすも、ぱぱ、うれち?」
「そうだな」
わらったくりすが、ましろのおかおにちゅってした。
「うきゃっ」
そのあと、おかおがまっかなあきも、ましろをぎゅうぎゅうしてくれて、
「大好きマシロ!可愛い!可愛すぎ!」
って、よろこんでくれた。
りーあ、すごい。
あきもくりすも、よろこんでくれたよ!
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