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エルフの隠れ里
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しおりを挟む…何がどうしてこうなっているんだっけ?
俺の左側からましろが腕に抱き着いてきてて、尻尾が俺の体を絡めてる。
俺の右側では例の王子様が俺に腕枕をしながら抱き込んで眠ってる。
俺、身動きできない。
どうしよう。
ちらりと右側見る。
俺の方をむいてる王子様は、寝顔もイケメンだ。
でも、よくよく見たら、顔には少し疲れた感じが出てる。
……ずっと、俺のこと探してくれてたんだよね?
なのに、探し当てた俺がこうなってたんだから、すごく……辛かったり、寂しかったり、悲しかったりしたんだろうか。
……俺、王子様のこと嫌いじゃない。多分、すごく好きなんだ。ずっとドキドキしっぱなしだし、恥ずかしいし、でも嬉しいし。
こんなふうに寝顔を見ることができて、緊張とか困ったとか………、や、困っては、いるのだけど、でも、近いから困ってるとかじゃないんだよ。身動きができないことに困ってるだけで。
……だから、腕枕されてて、鼓動まで感じれそうなほど近くにいるこの現状には困ってなくて、緊張もしてなくて、むしろ、ほっとしてる。……とても、安心してる。
この場所にいたい。
ずっといたい。
王子様のこと思い出したら、この感情はどうなるんだろう。
心の中にある記憶というか想いがこみあげてくるからこんなふうに感じているのか、改めてこの王子様を好きになったのかは……、ちょっとわからない。けど、やっぱり好き。好きだと思う。
「……す」
好き。
口よりも、手が先に出た。
指で王子様の頬を撫でる。
不思議な感じだけど、初めてじゃないってわかる。
撫でれば撫でるほど、好きって気持ちが溢れてくる。
辞め時がわからなくて撫で続けていたら、王子様の右手が動き出して、俺の左腕に絡んでいたましろの腕を外して、ぴったり重なるように俺を抱きしめてきた。
「…っ」
「いい匂いがする。この里で使われている石鹸の匂いか」
「う……、だと、思う、けどっ」
口元が緩んでる。
格好いい…。
「アキ」
碧い瞳が、俺を見た。
心臓………破裂寸前だ。やばい。逃げたい…!
「…風呂には一人で入っているのか」
「え?…うん、一人で…。そんな小さな子供じゃないし…」
「侍女はついてない?」
「侍女さん…?」
なんの話だ。
というか、目が覚めて、風呂に入ったのは昨日の夜だけなんだけど。異世界のお風呂…シャワーついてなかったけど、普通に入れたし。
「……ん、それなら、いい」
「??」
笑った王子様。
右手が俺の顎に触れてきて、親指が唇をなでていく。
「っ」
たったそれだけで体がゾクリと震えた。
「アキ」
自然と触れてくる唇。
そういえば、寝る前にもされたな……なんて考えてるうちに、熱い舌が唇の隙間から割り込んできた。
「んっ!?」
やーめーてー!!!!
俺の心臓が耐えられないんだってば……!!!!
くちくち音がするし、ぬるりぬるりと上顎を舌で舐められたら気持ちがいいし……、気持ちが、いい!?
「んっ!!」
離して、やめてっ。
本気でやめて、それから俺から手を離して…!
駄目だよ、ほんとに駄目…っ。
逃げたくて腰がひける。てか、離れなきゃ、腰はひかなきゃ…っ。
だって、だって、口の中を舐められるだけで、俺の息子が頭あげてきたんだよ……っ。なんで…なんで!?
や、確かに気持ちいいよ?気持ちいいけどさ…!?キスだけで……なんで勃ったりするかなぁ…!?
「んぅ……んっ」
あ……だめだ。
頭がぼーっとする。
酸欠……とは違う。なんでかちゃんとしっかり鼻呼吸してるっぽい。
逃げられない。
枕になってる左手が、俺の頭を押さえているし、抱きしめてきた右手は、背中をさすって時々尻までおりてきてさすっていく。
体、熱い。力が抜けていく。
舌と一緒に、唾液が流れてくる。それが、すごく甘い。…なんで。とろとろで甘くて甘くて、ずっとほしくなる。
頭の中がほわほわして、なんだかそうすることが自然な気がして、俺も舌を動かしてた。
口の中で暴れまわる舌に、舌先をくっつける。
…王子様が、笑った気がした。目を閉じてるから、表情はわからないけど。
「ん……」
喉の奥にたまった甘露みたいな唾液。苦しくなってそれを飲みこんだ。
「んぁ」
そしたら、体の中に何かが広がっていく。
じわじわと温かいもの。お腹の中から、全身に。
正体がわからない。わからないのに、『俺にはこれが必要だ』ってわかる。
体に馴染んでいく何か。
何度も飲み込んでいると、体が満たされていくのがよくわかった。
…あれだ。
乾いた砂が水を吸い込んでいく、あれ。
俺が砂で、飲み込んだ何かが水で。
もっと…ほしい。
そう思ったら王子様の背中に腕を回してた。
恥ずかしいとか、心臓が壊れるとか、そういうのは一旦棚の上にあげた。
つと離れた王子様の唇。
もっと…もっと…って、それを追いかけてしまう。
「かなり魔力を消費したんだな…まだ欲しいか?」
「まだ……もっと、が、いい」
「そうか」
笑った王子様は、また俺に口付けて、舌をいれてくる。
俺がその舌に応えてるうちに、ズボンのベルトを抜かれていた。
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