49 / 216
新婚旅行は海辺の街へ
30 ◆クリストフ
しおりを挟むアキの高い嬌声が耳に心地いい。
「アキ………っ、アキ……っ」
「んっ、くりす、くりす…っ、ひ、ひぁ、ぁ」
媚薬の効果は絶大だった。
最近は夜中にはアキを解放できていたのに、婚姻後過ごした別荘での夜のように、欲が後から後から沸き起こる。
アキの中に溢れるほど放ち、それが激しい抽挿で泡立っていても、アキが何度潮を噴き意識を飛ばしかけたとしても、アキを解放することなどできなかった。
高ぶった想いのまま肩口に噛みついたが、その噛み痕はいつの間にか消えていた。
アキが俺の前で媚薬に侵されるのはいい。薬が抜けるまで俺がどろどろに甘やかせばいいだけだ。
…けれど、逆は駄目だと、朝陽の入る部屋で苦し気に喘ぎ、体だけでなく顔にも飛び散った白濁で汚し、ぐちゃぐちゃになったベッドに身体を投げ出してるアキを見て、唐突に我に返り、思った。
未だに挿入したままのアナルは、痙攣しているようにびくびくと震えているが、アキの意識は完全に落ちている。
アキの肢体を白濁で濡らしているというのに、どれだけアキの中にも出したのか、アキの下腹部は不自然に膨らんでいた。
掻き出さずとも、今のアキの体に負担はない。……ない、が、流石にこれはやりすぎではないだろうか。
腰を引き、ずるずるとまだ硬さを保つ己のペニスを、熱く包み込んでくるアナルから引き抜いていく。
「んぅ、んぅ」
ペニスを抜けきれば、アキの蕾は口を開いたまま、どろどろと中のものを流し始める。
まるで漏らしたような量が溢れ出て、シーツに新しい水溜まりを作って行った。
額に手をあて己の愚行を後悔しつつ、アキの下腹部を軽く押すだけで、コプリと溢れ出てくる。
……思わず動きが止まっていた。
もういっそのこと、このまま何もせずにアキの隣に寝転び、二人で眠ればいいんじゃないかと現実逃避をしたくなる。
完全にアキを抱き潰した。
……俺も意識を飛ばしてしまいたい。
目が覚めたら、アキは俺を怒るか、呆れるだろう。
媚薬で理性を失くしていたとは言っても、これは…本当にやりすぎだ。
溜息をつきながらベッドから降り、窓を開けた。
春月の爽やかな空気が、室内に流れ込んでくる。
精の匂いが濃く漂っていた空気が、いくらかはましになった。
ベッドに戻り、アキが目覚めていないのを確認し、ポーチの中から洗浄魔導具を取り出し起動させた。
その魔力の動きに、マシロが気づいたらしく、ベッドに飛び乗り昏々と眠り続けるアキの頬を舐めた。
「起こすな」
「みっ」
マシロにはそれが不満らしく、抗議の声をあげると、またアキの頬を舐める。
俺の言うことは聞きたくないらしく、アキを起こそうとひたすら舐める。…が、意識を飛ばしているアキがそう簡単に目覚めるわけもない。
「み…」
途端、不安そうな声を出したマシロだったが、だったら自分もアキと眠ろう…と思い直したらしく、アキの頭の近くで丸くなった。
魔導具でアキの体もベッドも綺麗にはなったが、風呂にも入れてやりたい。
風呂場を覗くと、湯は適温ですぐに入れそうだった。
すぐアキを抱きかかえ、風呂に入った。
念のため、体に傷がついていないかを確認する。
残滓の確認のためにアナルに指を含ませた。そこはまだ熱く解れており、すぐにでも挿れることができそうだ。きっと、酷く気持ちがいいだろう。
大人しくなっていた己のものが再び頭を擡げ始め、苦笑しながらアキを抱きしめ直した。
アキは中々目を覚まさなかった。
寝顔にはどこにも苦痛も見られず、とにかく疲れで眠っているのだと理解した。
時々笑みを浮かべるアキを見ながら、今日の予定を組み立てていく。
おそらくアキは動けないだろう。漁師たちへの氷の提供の件もあるが、移動は俺が抱いていけばいい。いつも通りだ。
考えを巡らせながらアキの頬を撫でていると、控えめに扉がノックされた。多分あの二人だなと思いつつ、入室の許可を出す。
「失礼します。おはようございます、殿下」
案の定、入ってきたのはオットーとザイルだ。
しっかり扉を閉めた後、訝し気な表情でベッドに近づいてくる。
「何かありましたか」
いつもならアキも目覚めている時間だ。そのアキが未だにベッドの住人となっているのだから、何かあったと思うのは当然。
黙っていても今後の対応に問題が生じる。
つい深くなる溜息をついてから、昨夜のことを二人に話聞かせた。
「――――馬鹿なのか、あんた。随分平和ボケしたんだな?」
……と、思っていた通り、オットーから罵声を貰う結果となったわけだが。
「オットー…」
オットーの荒々しい口調に苦笑するザイル。
「今回あいつらがそれほど強引に進めてくるような奴らじゃなかったからこれで済んでるんだ。…もし本当にアキラ様を狙っていたのだとしたら、アキラ様だって無事ではなかった。この場にももういなかったかもしれない。あんたの行動が判断が、どれだけアキラ様を危険に晒していたのか、理解すべきだ」
「だけど、オットー…」
「ザイル、こいつには言わなきゃ駄目なんだ。夜会があるって段階で何故俺達を呼ばない?俺達が控えていれば、少なくてもアキラ様が連れ攫われる危険はなくなるんだ」
「でもそれは、殿下が私たちのことを――――」
「……当然、殿下だけを責めるつもりはない。俺達は殿下の護衛も兼ねている。なのに、『休みだ』と言われて誰も付けなかったのは俺の落ち度だ」
そこまで言い切って、オットーは息をついた。
「――――というわけで、殿下。暫く休みはいりません。緩んでいた気を引き締めますので、殿下も頭の中を切り替えてください」
「……ああ。わかった」
もう了承するしかない。
言い切ったオットーの意志は固い。
苦笑しかでてこなかった。
「それで、今後の対応ですが」
呼吸を正し、姿勢も正したオットーが、改めて俺の側近としての声をあげた。
133
お気に入りに追加
2,295
あなたにおすすめの小説
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
醜さを理由に毒を盛られたけど、何だか綺麗になってない?
京月
恋愛
エリーナは生まれつき体に無数の痣があった。
顔にまで広がった痣のせいで周囲から醜いと蔑まれる日々。
貴族令嬢のため婚約をしたが、婚約者から笑顔を向けられたことなど一度もなかった。
「君はあまりにも醜い。僕の幸せのために死んでくれ」
毒を盛られ、体中に走る激痛。
痛みが引いた後起きてみると…。
「あれ?私綺麗になってない?」
※前編、中編、後編の3話完結
作成済み。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる