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新婚旅行は海辺の街へ
30 ◆クリストフ
しおりを挟むアキの高い嬌声が耳に心地いい。
「アキ………っ、アキ……っ」
「んっ、くりす、くりす…っ、ひ、ひぁ、ぁ」
媚薬の効果は絶大だった。
最近は夜中にはアキを解放できていたのに、婚姻後過ごした別荘での夜のように、欲が後から後から沸き起こる。
アキの中に溢れるほど放ち、それが激しい抽挿で泡立っていても、アキが何度潮を噴き意識を飛ばしかけたとしても、アキを解放することなどできなかった。
高ぶった想いのまま肩口に噛みついたが、その噛み痕はいつの間にか消えていた。
アキが俺の前で媚薬に侵されるのはいい。薬が抜けるまで俺がどろどろに甘やかせばいいだけだ。
…けれど、逆は駄目だと、朝陽の入る部屋で苦し気に喘ぎ、体だけでなく顔にも飛び散った白濁で汚し、ぐちゃぐちゃになったベッドに身体を投げ出してるアキを見て、唐突に我に返り、思った。
未だに挿入したままのアナルは、痙攣しているようにびくびくと震えているが、アキの意識は完全に落ちている。
アキの肢体を白濁で濡らしているというのに、どれだけアキの中にも出したのか、アキの下腹部は不自然に膨らんでいた。
掻き出さずとも、今のアキの体に負担はない。……ない、が、流石にこれはやりすぎではないだろうか。
腰を引き、ずるずるとまだ硬さを保つ己のペニスを、熱く包み込んでくるアナルから引き抜いていく。
「んぅ、んぅ」
ペニスを抜けきれば、アキの蕾は口を開いたまま、どろどろと中のものを流し始める。
まるで漏らしたような量が溢れ出て、シーツに新しい水溜まりを作って行った。
額に手をあて己の愚行を後悔しつつ、アキの下腹部を軽く押すだけで、コプリと溢れ出てくる。
……思わず動きが止まっていた。
もういっそのこと、このまま何もせずにアキの隣に寝転び、二人で眠ればいいんじゃないかと現実逃避をしたくなる。
完全にアキを抱き潰した。
……俺も意識を飛ばしてしまいたい。
目が覚めたら、アキは俺を怒るか、呆れるだろう。
媚薬で理性を失くしていたとは言っても、これは…本当にやりすぎだ。
溜息をつきながらベッドから降り、窓を開けた。
春月の爽やかな空気が、室内に流れ込んでくる。
精の匂いが濃く漂っていた空気が、いくらかはましになった。
ベッドに戻り、アキが目覚めていないのを確認し、ポーチの中から洗浄魔導具を取り出し起動させた。
その魔力の動きに、マシロが気づいたらしく、ベッドに飛び乗り昏々と眠り続けるアキの頬を舐めた。
「起こすな」
「みっ」
マシロにはそれが不満らしく、抗議の声をあげると、またアキの頬を舐める。
俺の言うことは聞きたくないらしく、アキを起こそうとひたすら舐める。…が、意識を飛ばしているアキがそう簡単に目覚めるわけもない。
「み…」
途端、不安そうな声を出したマシロだったが、だったら自分もアキと眠ろう…と思い直したらしく、アキの頭の近くで丸くなった。
魔導具でアキの体もベッドも綺麗にはなったが、風呂にも入れてやりたい。
風呂場を覗くと、湯は適温ですぐに入れそうだった。
すぐアキを抱きかかえ、風呂に入った。
念のため、体に傷がついていないかを確認する。
残滓の確認のためにアナルに指を含ませた。そこはまだ熱く解れており、すぐにでも挿れることができそうだ。きっと、酷く気持ちがいいだろう。
大人しくなっていた己のものが再び頭を擡げ始め、苦笑しながらアキを抱きしめ直した。
アキは中々目を覚まさなかった。
寝顔にはどこにも苦痛も見られず、とにかく疲れで眠っているのだと理解した。
時々笑みを浮かべるアキを見ながら、今日の予定を組み立てていく。
おそらくアキは動けないだろう。漁師たちへの氷の提供の件もあるが、移動は俺が抱いていけばいい。いつも通りだ。
考えを巡らせながらアキの頬を撫でていると、控えめに扉がノックされた。多分あの二人だなと思いつつ、入室の許可を出す。
「失礼します。おはようございます、殿下」
案の定、入ってきたのはオットーとザイルだ。
しっかり扉を閉めた後、訝し気な表情でベッドに近づいてくる。
「何かありましたか」
いつもならアキも目覚めている時間だ。そのアキが未だにベッドの住人となっているのだから、何かあったと思うのは当然。
黙っていても今後の対応に問題が生じる。
つい深くなる溜息をついてから、昨夜のことを二人に話聞かせた。
「――――馬鹿なのか、あんた。随分平和ボケしたんだな?」
……と、思っていた通り、オットーから罵声を貰う結果となったわけだが。
「オットー…」
オットーの荒々しい口調に苦笑するザイル。
「今回あいつらがそれほど強引に進めてくるような奴らじゃなかったからこれで済んでるんだ。…もし本当にアキラ様を狙っていたのだとしたら、アキラ様だって無事ではなかった。この場にももういなかったかもしれない。あんたの行動が判断が、どれだけアキラ様を危険に晒していたのか、理解すべきだ」
「だけど、オットー…」
「ザイル、こいつには言わなきゃ駄目なんだ。夜会があるって段階で何故俺達を呼ばない?俺達が控えていれば、少なくてもアキラ様が連れ攫われる危険はなくなるんだ」
「でもそれは、殿下が私たちのことを――――」
「……当然、殿下だけを責めるつもりはない。俺達は殿下の護衛も兼ねている。なのに、『休みだ』と言われて誰も付けなかったのは俺の落ち度だ」
そこまで言い切って、オットーは息をついた。
「――――というわけで、殿下。暫く休みはいりません。緩んでいた気を引き締めますので、殿下も頭の中を切り替えてください」
「……ああ。わかった」
もう了承するしかない。
言い切ったオットーの意志は固い。
苦笑しかでてこなかった。
「それで、今後の対応ですが」
呼吸を正し、姿勢も正したオットーが、改めて俺の側近としての声をあげた。
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