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蜜月は続くよどこまでも!?
12 みんなでお風呂
しおりを挟むマシロを保護してからも、体を綺麗にするときには魔導具を使ってた。最初は凄く弱ってたから、お湯につけるとよけいに衰弱してしまいそうで怖かったんだ。元気になってきてからは、お風呂場にだけはついてこようとしなかったから、水が嫌なんだな…ってなんとなく思ってた。
でも今日は連れて行く。
マシロとお風呂。楽しそうだし!
「石鹸でしっかり洗ってふわふわになろうね」
「みぅ」
耳と尻尾がだらん。
かなり萎れてる。
「そんなに嫌?…ケット・シーって、こっちで水厳禁とか水弱点とかなんかある??」
「ケット・シー自体がそれほどみかけない魔物だからな…。それほど詳細な情報はないんだ」
「んー、そっか。でも、弱点属性なら、絶対ついてこないよね…。ん、じゃあ、苦手ってだけだと思おう。何かあったらクリスに治してもらえばいいし」
「え」
「え?」
「…俺の癒しはアキだけのものだが」
「女神様、『普通に使えるでしょ?』って言ってなかった?」
「………」
あはは。
クリス黙っちゃったよ。
結婚式のときに、女神様が言ってたこと、覚えてるもんね。俺。
「クリス、お風呂いこ」
「…ああ」
諦めたようにため息をつくクリスは、少し眉が下がってた。
片手にマシロ、片手にクリス、って感じでお風呂場に行ったら、クリスに逆に手をひかれて唇を重ねられた。
「ん…っ」
これからお風呂なんだけど…って思いつつ、いつものことだとも思ってしまうから、特に否はない。
クリスとのキスは、すごく、好き。
くちゅ…って濡れた音が耳につく。
キスをしたまま、クリスが俺の服に手を伸ばした。
一つ一つボタンを外されて、服を緩められる。
俺もクリスの服を脱がそうと手を伸ばして、マシロを抱いていたのを思い出した。
「ん、ちょっと、クリス」
「なに」
「マシロが」
俺の服に顔付けてぴくりともしないマシロ。
クリスはまたため息をついて、マシロのつまみあげた。
「あ、ちょっと」
クリスにつままれても、だらんとしたマシロ。…可愛いなぁ…。
クリスはそんなマシロを、俺の頭の上に下した。そしたら髪にしがみついてくる。
「とりあえずそこにいろ」
クリスがそう言ったら、了承、って感じでマシロの尻尾が俺の頭の上でぱたぱた振った。
…見たいのに見れない。
「アキ」
「なに?」
「脱がせて」
クリスは俺の両手が空いたのに満足したのか、笑いながら頬にキスをしてきた。
そんなクリスが可愛いなぁ…って思いながら、何個かのボタンを外していく。見慣れた体なのに、恥ずかしいとか格好いいとか、色んな気持ちがこみあげてきて落ち着かない。
ここに連れてこられてからずっと、クリスの肌はすぐ近くにあったのに、ほんと、こんな些細なことで恥ずかしくなる俺もどうかとは思うけど。慣れてるようで慣れてないんだから仕方ない、のか。
俺がもたもたしてる間に、クリスは俺の服のボタンを全部外してしまった。袖も落とされて、ズボンも足元に落ちて、靴下と、昼につけられた下着だけの姿になってしまう。
俺がクリスのズボンのボタンに指をかけたとき、クリスの手が俺の下着のレース部分を撫でた。
「んっ」
……微妙な指の感触に、ぞわりと体が震えてしまう。
「クリス…触らないで…っ」
「触らないと脱がせられないだろ。風呂に入るんだから」
「……っ」
耳を舐めるようにすぐ近くで低く低く。
またぞくぞく背筋が震えて、大急ぎでクリスのズボンを落とした。
「っ」
クリスの手が紐を解いた。片方だけ。
「少し硬くなってる」
「………っ」
もー、ダメ…!
「クリスっ」
ぐいっとクリスの胸を押して体を離して、クリスの視線と合わないように顔を背けて、中途半端な下着を自分で脱いで靴下もとって、頭の上のマシロを抑えて浴室の方に向かった。
「あとは自分でやって!」
「アキ」
楽しそうに笑うクリスを残して、浴室に飛び込んだ。
…すぐ来るだろうけど、あの空気のままだと俺絶対やばい。無理。無理無理。
「落ち着け…落ち着け、俺…」
何度か深呼吸して、用意されてる桶にお湯を汲んで、熱すぎないか確認してから、頭の上のマシロを下ろした。
「マシロ、お湯に入って」
「みっ」
四本足が全部ぴーんとなって固まったマシロ。
お尻からゆっくり桶の中のお湯につけたら、ぷるぷるしはじめた。
「熱くないよね?ほら、怖くないよ」
「み゛」
お湯は多くない。桶の下にお尻がついたら、下半身?がお湯に浸かるくらい。
マシロはじっとしたまま動かない。
俺もそんなマシロをじっとみていたら、突然後ろから抱きしめられてびっくりした。
「置いていくなんてひどいな?」
「クリス」
「マシロは大丈夫そうだな。ほら、アキも」
じっとしてたマシロが、前足でお湯を叩いてた。……可愛い。
マシロに見入っていたら、クリスが俺にお湯をかけた。慣れた手つきで髪を洗われる。…気持ちい。これ、好き。
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