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蜜月は続くよどこまでも!?
5 『普通の朝』…!!
しおりを挟む誰か俺に教えて下さい。
結婚して『初夜』って、こんなに大変なことなんでしょうか?
俺、全く基準がわからないんだけど。
でも、結婚して初めての夜だから『初夜』だよね?
抱き潰された。
そりゃもうみごとに。
意識飛ばして次に目が覚めたときには、テーブルの上の食べ物が少し変わっていたりして、色々配慮されてたらしいけど、正直、恥ずかしい……。
俺がこんな状態のときに部屋に入れるのはメリダさんしかいないはずだから、きっとメリダさんがあれやこれや用意してくれているんだろうけど、それだって恥ずかしい。
そうやって丸一日ベッドの中で過ごして、快楽地獄から開放されたのは真夜中になってから。
やっと!
まともに!
眠らせてくれたんだよ!
もうもう、意識飛ばしても、一緒に休んでても、入れっぱなしだったり、入れられて目が覚めたり、とにかくそんな感じのエンドレスゴニョゴニョだったわけだけど。
自然な覚醒で目覚めたときには、自分に何が起きたのかちょっとわからなかった。
腕枕はされていたけど、クリスが触ってるわけでもなく、入れられてるわけでもなく、しかも、クリス服が着せられていたんだから。
やりすぎて、『普通の朝』を求めた夢を見たかと思ったくらいだった。
「………」
俺に腕枕をしてるクリスも寝間着を着てる。そしてまだ寝てる。
「…………」
人というのは現金だ。
あれほどやりすぎた、抱かれすぎた、休ませてくれ……と願っていたのに、いざ『普通の朝』をむかえたら、不満が募ってくる。
俺が起きたのになんでクリスが起きてないの。
腕枕じゃなくて、もっとぎゅっとしてほしいのに。
……まぁ、だから、すり寄ってキスをしてしまうのは、仕方ないわけ。うん。
何度キスしたか覚えていないくらいの唇に、ちゅって触れるだけのキスをして、じっとクリスを見る。………起きない。
この野郎…と思いながらまたキスをしようと触れる寸前、威勢のいい笑い声が聞こえてきて、びっくりしすぎて飛び上がるところだった。
「え、な、なに」
「外だな」
クリスにしがみついてキョロキョロしてたら、片腕で俺を抱きしめてクリスが起きた。
「……アキからの口付けを邪魔された」
「起きてたのっ」
「そりゃ起きるだろ。腕の中でもぞもぞされたら起きるだろ?」
「じゃ、目を開けてよ」
「せっかくアキから口付けてくれるのに、邪魔をしたら悪いだろ?」
むむむ……としてたら、また笑い声。
クリスは呆れたような溜息をついていて、笑い声の正体を知ってるぽい。
クリスの腕の中から逃げて、ベッドに接している窓に近づいて、少しカーテンを除けた。
「あ」
なんか、人が一杯いた。
いや、人っていうか、みんなだ。
みんな。
クリス隊のみんなも、メリダさんも、リアさんも、それからギルマスにラルフィン君と幼馴染みズ。
「え、何してんの?」
「昼食の準備だな」
「昼……?」
「そろそろな」
朝だと思ってたら、昼だった。
俺、相当疲れてたのか……。
「え、行きたい。クリス、庭の方に行きたい」
「わかってるから。その格好じゃ行けないだろ?着替えをしよう」
「ん!」
クリスが先にベッドから降りて、クローゼットに向かった。
ちゃんと着替えるのがすごく久しぶりに感じる。
クリスが手に持って来たのは、見慣れたクリス色の服。それから、下着とか靴とか色々。
……下着。
「着替えるか」
「自分で」
「いや、俺がやる」
ニヤリと笑うクリスには、いい記憶がない。絶対だめな笑顔。
「できるし…っ」
「暴れたら縛るぞ?」
ニコニコ笑いながら言う事じゃないですよね?
ぴしっと固まった俺にお構いなしに、クリスは俺のクリス服を捲りあげてあっさりと剥ぎ取った。
……下になんもつけてないね。ほんと、クリス服だけだったんだね。気づかなかった俺も俺だけど。
どんなに抵抗してもあっさり転がされて、超機嫌よく俺に下着をつけた。サイドをしっかり結んで、満足そうに笑ってすりすりと触ってくる。
反応してたまるか…って思いつつも、触られれば反応はする。そういうふうにされたし、クリスの手の感触は全部体が覚えているし。
「レースもいいな」
クリスがじっと見てそんなこと言うから、俺も思わず見てしまったけど、なんていうか、レースだらけだった。
黒の紐パン総レース仕立て。
……居た堪れない。
着替えしてるはずなのに、視姦されてる気分。
「クリス…っ」
「ああ。すまない」
なんとかそこから手と視線を外してくれて、ほっと息を付きつつ、肌の上から直接着せられたシャツに胸の尖りが擦れて息を詰めたり、なんか、もう、色々、駄目になりそうだった。
俺の羞恥心を試されてるかのような着替えは、クリスが足元に跪いてブーツを履かせてくれて、仕上げにクリス色カーディガンを俺に羽織らせてくれて終わった。
クリスもさっさと着替えた。それこそ上はシャツ一枚で首元はいくつもボタンを外してて、細身の黒いズボンで腰に愛剣を佩帯して俺とデザインが似たブーツを履いて…っていう、かなりラフな感じな上にちょっと野性味溢れてて?……心臓がばくばくした。
ちょっとうっかり見惚れてたら、クリスが笑って俺の額に口付けた。
「部屋に戻ったら思う存分見惚れてくれ」
「っ、み、見惚れてなんか、ないしっ」
見惚れてたけどっ。
「そういうことにしておいてやる」
笑ったまんまのクリスに手を引かれて、ベッドを降りた。
手を繋ぐ。しっかり、指を絡めた恋人繋ぎ。
部屋から出るのが久しぶりだなぁ…とか思っていたら、扉を開けた隙間から、白いもふもふが俺に向かって飛びついてきた。
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