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閑話 ④
幸せの証 ②
しおりを挟む覚醒は、穏やかに、唐突に来た。
腕の中で眠るアキが、少しだけ若く見える。寝顔が婚姻したばかりのときのようにあどけない。
……寝顔が見えるということはペニスが抜けているということだ。
細いアキの腰をさすり、蕾に指を這わせれば、そこはしっかりと解れ、中からはとろりと愛液がこぼれ落ちてきた。
……ああ。また腹を空かせている。
ゆっくりとアキの向きを変えた。
「ん………くりす……?」
少しかすれた声。
昨夜は啼かせすぎただろうか。
「大丈夫だ。そのままでいろ」
「ふぇ…?」
「寝ぼけているときに上に乗ったら危ないからな」
アキの右足を抱えあげ、その足の間に体を割り込ませ、パクパクと口を開く蕾に亀頭を押し当てた。
「え」
「大丈夫だから」
蕾を押し広げなくとも、十分に柔らかく愛液で濡れた隘路は、なんの抵抗もなく俺のペニスを飲み込んでいく。
「ひぅ……っ、ぁっ、あっ」
「すぐやるからな」
「まって……、きゃぁぁ……!!!」
少し閉じていた奥の窄まりを一突きで貫くと、アキが可愛い叫び声をあげた。
きゅうきゅうと俺を締め付けてくるのが酷く気持ちがいい。
「あっ、あっ、あっ」
抱えあげて肩にかけていた右足がピンと伸びた。
下腹部に手を這わせると、そこはアキの精液で濡れていた。それを塗り拡げながら、少し膨らんだ腹をなでてやる。
「赤子のためにも何回でもやるから心配するな」
「あんん……っ、あか、ご………?あ、あ、や、はげし、や、やぁっ、イく、またイくっ」
「……ん?母乳が出ていないじゃないか。……まだ足りないのか」
「え、え?」
乳首は硬く尖っているというのに、先端は少しも濡れていなかった。むしろ、小さくなっている気もする。
これは駄目だな…と、更に腰を深く強く打ち付けた。
「あ~~!!!!」
ビクンビクンとアキの体が大きく震える。
何度も白濁を撒き散らし、立て続けにプシャリと潮も吹いた。
それを見ながら前立腺を押し潰し、結腸の中を蹂躙し……、最奥で熱を開放させた。
「……ふ、っ」
最後の一滴まで。
全てが赤子の糧になるように。
「今度はしっかり栓をしておくから、ゆっくり眠れ」
そう囁くと、ひくりと小刻みに体を震わせたアキは、荒い呼吸のまま動かなくなった。
ゆっくりと足をおろし、腰を押し付け後ろからアキの体を隙間がないほどに抱き込んだ。
これで大丈夫。もう抜け落ちる心配はない。…もしこれで駄目なら、栓用の太めの張り型を用意せねば。
だが今はこれで。
……ああ。なんて幸せなんだろうか。
軽く腰を揺らし、再び密着させてから、俺も目を閉じた。
腕の中で身じろぐ気配を感じて目が覚めた。同時に酷く気持ちがいい。
「や、やっ、おっきくしないで……っ、てか、もう、はなして…っ」
「……ん?」
ペニスがアキの中に入っている。
昨夜…というか明け方か?挿れたまま眠っただろうか。
しかも、がっちりとアキを後ろから羽交い締めのように抱きしめていて、半勃ち以上の俺のペニスは、奥の窄まりに先端が届いているようだし。
「もう…もう…意味わかんないぃっ!俺、妊娠なんてできないし、母乳なんて絶対出るわけないのにっ!」
「ん?」
「子どもはいらないって言ってたのにっ、やっぱりクリスは子供欲しいって、思ってるんだ…っ」
「は?」
「俺、生めないのにっ。知ってるくせに……!なのに、あんな……ひどいっっ」
「アキ落ち着け」
後半はもう涙声だ。
全く理解ができないが、このままにもしておけない。
腕の拘束を緩め、腰を引いた。アキの息を詰める音を聞きながら、体を反転させて真正面から抱きしめる。
「ほら、落ち着け」
「う゛~~………」
俺の胸元を叩いているアキ。その抵抗がなんだか可愛らしい。嫌がるだろうかと思いながら、裸の背中をあやすように軽く叩き続ける。
そのうち抵抗がなくなり、しゃくりあげる様子もなくなった。
「…子供とか母乳とか、俺が言ったのか?」
「……うん」
「……すまない。酷く幸せな夢を見ていた気はするんだが、思い出せない。何を言っていた?」
「……あ、あかちゃんのために何度でもやるからとか、ぼ、母乳が出ないってことは足りないんだな、とかっ、そ、それで、お、奥の、おかしくなっちゃうところ、ずっとずっと擦られて、は、激しいからやめて、って、言ったのに、もっと、……もっと、されて…っ。栓しとくからもう少し眠れ、って、また、意味わかんないこと、言って……!」
真っ赤になりながら言い切ったアキを見ながら、盛大に寝ぼけていたらしい自分に呆然とした。
アキをそれほど激しく抱いておきながら、記憶がないなんて。栓……は、ペニスのことか。だから入りっぱなしなんて状況になっていたのか。
…なんてことだ。無意識にやってしまうなんて。
「アキ、すまない。子供はいらないんだ。…アキが生んでくれるなら欲しいとは思うが。多分、その願望が夢になったんだろう」
「……俺、絶対生めない……っ」
「ああ。わかっている。それでな、アキ」
「なにっ」
「やり直させてくれ」
「はぃ?」
「寝ぼけていたとはいえ、お前を抱いたことを覚えていないなんてありえない。やり直せば断片的にでも思い出せるかもしれない」
「え゛。や、だって、昨日からずっと……、それに、今朝だって、もう、何回も……っ」
「『新婚』だろ?何度もするのは当然のことだ。愛してるから欲しくなる。もう遠慮しなくていいだろ?」
「や、や、で、でもっ、節度って、いうものが……っ、あ、あっ」
「アキ、愛してる」
「あー……!!」
向かい合わせに抱き合ったまま、片足を俺に載せ、解れて俺の精液で濡れたままのアナルに、怒張したペニスを突き挿れた。奥の窄まりまで、一気に。
アキを組み敷く形に体勢を入れ替え、更に奥に突き挿れ、何度も口付けして宥めた。
……リーデンベルグの魔法研究所に依頼を出せば、もしかしたら本当に男性が妊娠する薬か何かを開発してくれるかもしれないな…と考えたとき、なんとも言えない既視感に襲われた。
まあいい。
とにかく今はアキを甘やかせて可愛がろう。折角の初夜の翌朝に、快感ではない涙を流させてしまうなんて、不本意すぎる。
「くりす…くりすっ」
はくはくと荒く呼吸を繰り返す口の端に口付け、涙の跡を辿りながら目元にも口付ける。
俺がしでかした失態は消し去ろう。
俺が忘れてしまったアキの艶姿は今ここで新しい記憶として埋め込もう。
「アキ…愛してる。愛してるよ」
「あ……っ、ぁん、ん、んんっ、おれも、すき、すき…っ」
すがってくるアキ。
全身で俺を求めてくる。
幸せな夢はどんなものだったのだろう。
胸の中にぬくもりと優しが溢れる夢。
ならば、幸せと共に過ごす夢に違いない。
アキは俺の全てであり、俺にとっての幸福そのものだ。
アキの存在そのものが、俺の幸せの証なのだから――――
*****
アキ妊娠はクリスの欲望の詰まった夢オチですみませぬ……(^_^;)
①→完全夢の中
②→前半は寝ぼけクリス
…解れていたのは当然。
…愛液は…………。
寝ぼけて襲われるアキが不憫…。でも「嫌い」とは叫ばないアキ。
ちなみに、婚姻式の翌朝です。
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