上 下
490 / 560
第7章 魔法が使える世界で王子サマに溺愛されてます。

67 あと、二日

しおりを挟む



 早朝から魔物出たーってクリスが行かなきゃならない事態になった六の日から二日経っての八の日。
 うわーうわー明後日だ。明後日だよ……!!って、今から緊張して(今から緊張って早すぎる?)朝早く目が覚めた俺は、まだ寝てるクリスの隣でゴロゴロ何回も転がってた。
 ああ……心臓が苦しい。
 今日寝て、明日寝て、起きたら、誕生日。
 どうしよう。
 とんでもなく緊張してる。
 まだ二晩あるのに、今からどうしてこんなに緊張するかな……。
 誕生日に、クリスと結婚するんだ。
 気持ちはもうしっかり伴侶になってるけど、気持ちだけじゃなくて、堂々と胸を張ってクリスの伴侶だって言えるんだ。
 はぁ~~~だめだ。
 苦しい。
 苦しいよ。
 だってさ、だってさ。
 結婚式だよ。
 絶対、クリス格好いいじゃん。
 普段だって格好いいのに、婚礼服なんか着たら、もっともっと、格好良くなるよね…!
 そんな格好いいクリスと結婚式。
 誓いのキス、あるよ。
 鼻血出たらどうしよう。
 興奮しすぎて変な声出たらどうしよう。
 あ~~~耐えられない……!!
 それでそれで。
 夜、夜は、所謂『初夜』ってやつだよね…!?
 クリスのを、い、いれられる、以外の、俺が思いつくようなエロ…いことは、全部、やってる気が、する、けど。
 クリスのも、舐めたし、の、んだし。

「はわわ……」

 緊張の心臓ドクドクから、クリスと触れ合うときの心臓ドキドキに変わってしまった。
 ……あと二晩。
 明後日の夜には、言っていいんだ。
 あけすけなことを言っても、願っても、クリスが絶対叶えてくれるんだ。
 あの熱がほしい。
 あの熱と繋がりたい。
 俺の体はその熱を知らないけど、俺の精神こころは、あの熱をよく知ってる。覚えてる。
 結婚式の日の特別な夜。
 あー……どうしよう。
 からだ……うずく。
 他のこと……他のこと考えよう。そうしよう。

「そうだよ」

 その前に大変なやつがあるじゃん。
 ダンスだよ?クリスとダンス。
 リアさんの猛特訓のおかげでなんとかステップは覚えたけど。緊張で全部忘れる可能性はある。
 それに、あれだ。
 体重が増えた感じはしないけど、体力はついてきた気がするんだよ。流石毎日毎日ダンスというめちゃくちゃハードな運動をしているだけのことはある…!
 あと筋肉痛。……筋肉あったんだな……って、変なとこで感動した。
 前と同じ、ってことには中々ならないけど、それでも病的な虚弱さは…なくなってきたと思うんだ。
 頑張ってるな、俺。
 うん。頑張ってる。
 それに、体力は必要だよ。
 だってさ。
 あと二日したら、クリス的に解禁、ってことだよね?
 そしたら、そしたらさ。
 ……たくさん、する、わけで?
 クリス、信じられないくらい体力があるっていうか、……絶倫、ってやつぽいから、ほんと、もう……あれなんだよな。最後まで付き合えないっていうか…、魔力も癒やしも中に注がれるから、前より保つけど、それでも多分最後は意識飛ばしちゃうというか、クリスが満足するまで付き合えないっていうか……。

「うう」

 何考えてんだ。俺。欲求不満になってる?
 顔………やっぱり熱い。
 うつ伏せになって枕に顔を埋めたら、少し冷たくて気持ちよかった。ついでに足もバタバタさせてしまう。
 はぁ。俺、思考が恥ずかしすぎる。クリスとすることしか考えてないみたいじゃん……。
 べ、別に?最後までしてくれないから物足りないとか……、別に……、そんなこと…………ないわけでもないけど…………。
 でもなぁ。
 クリスに誤解だけはされたくないなぁ。
 俺、せーよくなんて、ほんとに薄い方だったんだけどなぁ。ゲームとかもそういう意味では健全なものばっかりだったし…。
 クリスと出逢って、変わっちゃったんだもん……。もう仕方ないよね。クリス限定で俺がこんな悶えたりするんだってこと、ちゃんとわかってもらいたいなぁ。間違ってももともとこういうことが大好きだったとか、……淫乱だとか、思われたくない。クリス限定で襲うけど。誘うけど。
 ……落ち着け、俺。とりあえず、深呼吸。

「はぁ……」

 落ち着け、落ち着け。
 頭の中、クリスでいっぱい。
 大好き。
 大好きだ。

「へへ……」

 クリスの寝顔が見たくて、横を向いた。

「…………え」

 そしたら、左腕をつきながら体を俺に向けてじっと俺を見るクリスと目が合った。
 しかも、マシロまで、クリスの胸の前辺りで『伏せ』みたいな姿勢で俺をじっと見てる。

「え?え?」

 起きてたの?
 いつから?
 どこから見てたの!?

「起きてたなら………っ」
「起きるだろ。あれだけ隣で転げ回られたら」

 ……と、苦笑気味のクリス。

「赤くなったり青くなったり……、笑ったと思ったら、怪しげな笑い声を上げるし……。足までばたつかせて。声をかけるにかけられなかったな。なぁ?マシロ」
「にゃぅ」

 ……普段は喧嘩っぽいことしてるのに、こういうときは仲がいいですね……。

「あの……」
「うん」
「……お騒がせいたしました……」

 クリスとのことを考えて悶えておりまして……とは、流石に言えなかったけど。

「いや、可愛かった」

 クリスはそう言って笑って、俺をベッドに押さえつけてきた。

「まあ……何を考えていたのかは、大体予想がつくんだけどな?」
「っ」

 広角を持ち上げた笑みの形。
 ……あ。
 ほんとにこれは、バレてる。

「二日後が楽しみだな?」

 ……その笑顔。
 俺の心臓、壊れそうだよ、クリス。


しおりを挟む
感想 541

あなたにおすすめの小説

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!

天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。 なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____ 過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定 要所要所シリアスが入ります。

キスから始まる主従契約

毒島らいおん
BL
異世界に召喚された挙げ句に、間違いだったと言われて見捨てられた葵。そんな葵を助けてくれたのは、美貌の公爵ローレルだった。 ローレルの優しげな雰囲気に葵は惹かれる。しかも向こうからキスをしてきて葵は有頂天になるが、それは魔法で主従契約を結ぶためだった。 しかも週に1回キスをしないと死んでしまう、とんでもないもので――。 ◯ それでもなんとか彼に好かれようとがんばる葵と、実は腹黒いうえに秘密を抱えているローレルが、過去やら危機やらを乗り越えて、最後には最高の伴侶なるお話。 (全48話・毎日12時に更新)

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

処理中です...