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第7章 魔法が使える世界で王子サマに溺愛されてます。
67 あと、二日
しおりを挟む早朝から魔物出たーってクリスが行かなきゃならない事態になった六の日から二日経っての八の日。
うわーうわー明後日だ。明後日だよ……!!って、今から緊張して(今から緊張って早すぎる?)朝早く目が覚めた俺は、まだ寝てるクリスの隣でゴロゴロ何回も転がってた。
ああ……心臓が苦しい。
今日寝て、明日寝て、起きたら、誕生日。
どうしよう。
とんでもなく緊張してる。
まだ二晩あるのに、今からどうしてこんなに緊張するかな……。
誕生日に、クリスと結婚するんだ。
気持ちはもうしっかり伴侶になってるけど、気持ちだけじゃなくて、堂々と胸を張ってクリスの伴侶だって言えるんだ。
はぁ~~~だめだ。
苦しい。
苦しいよ。
だってさ、だってさ。
結婚式だよ。
絶対、クリス格好いいじゃん。
普段だって格好いいのに、婚礼服なんか着たら、もっともっと、格好良くなるよね…!
そんな格好いいクリスと結婚式。
誓いのキス、あるよ。
鼻血出たらどうしよう。
興奮しすぎて変な声出たらどうしよう。
あ~~~耐えられない……!!
それでそれで。
夜、夜は、所謂『初夜』ってやつだよね…!?
クリスのを、い、いれられる、以外の、俺が思いつくようなエロ…いことは、全部、やってる気が、する、けど。
クリスのも、舐めたし、の、んだし。
「はわわ……」
緊張の心臓ドクドクから、クリスと触れ合うときの心臓ドキドキに変わってしまった。
……あと二晩。
明後日の夜には、言っていいんだ。
あけすけなことを言っても、願っても、クリスが絶対叶えてくれるんだ。
あの熱がほしい。
あの熱と繋がりたい。
俺の体はその熱を知らないけど、俺の精神は、あの熱をよく知ってる。覚えてる。
結婚式の日の特別な夜。
あー……どうしよう。
からだ……うずく。
他のこと……他のこと考えよう。そうしよう。
「そうだよ」
その前に大変なやつがあるじゃん。
ダンスだよ?クリスとダンス。
リアさんの猛特訓のおかげでなんとかステップは覚えたけど。緊張で全部忘れる可能性はある。
それに、あれだ。
体重が増えた感じはしないけど、体力はついてきた気がするんだよ。流石毎日毎日ダンスというめちゃくちゃハードな運動をしているだけのことはある…!
あと筋肉痛。……筋肉あったんだな……って、変なとこで感動した。
前と同じ、ってことには中々ならないけど、それでも病的な虚弱さは…なくなってきたと思うんだ。
頑張ってるな、俺。
うん。頑張ってる。
それに、体力は必要だよ。
だってさ。
あと二日したら、クリス的に解禁、ってことだよね?
そしたら、そしたらさ。
……たくさん、する、わけで?
クリス、信じられないくらい体力があるっていうか、……絶倫、ってやつぽいから、ほんと、もう……あれなんだよな。最後まで付き合えないっていうか…、魔力も癒やしも中に注がれるから、前より保つけど、それでも多分最後は意識飛ばしちゃうというか、クリスが満足するまで付き合えないっていうか……。
「うう」
何考えてんだ。俺。欲求不満になってる?
顔………やっぱり熱い。
うつ伏せになって枕に顔を埋めたら、少し冷たくて気持ちよかった。ついでに足もバタバタさせてしまう。
はぁ。俺、思考が恥ずかしすぎる。クリスとすることしか考えてないみたいじゃん……。
べ、別に?最後までしてくれないから物足りないとか……、別に……、そんなこと…………ないわけでもないけど…………。
でもなぁ。
クリスに誤解だけはされたくないなぁ。
俺、せーよくなんて、ほんとに薄い方だったんだけどなぁ。ゲームとかもそういう意味では健全なものばっかりだったし…。
クリスと出逢って、変わっちゃったんだもん……。もう仕方ないよね。クリス限定で俺がこんな悶えたりするんだってこと、ちゃんとわかってもらいたいなぁ。間違ってももともとこういうことが大好きだったとか、……淫乱だとか、思われたくない。クリス限定で襲うけど。誘うけど。
……落ち着け、俺。とりあえず、深呼吸。
「はぁ……」
落ち着け、落ち着け。
頭の中、クリスでいっぱい。
大好き。
大好きだ。
「へへ……」
クリスの寝顔が見たくて、横を向いた。
「…………え」
そしたら、左腕をつきながら体を俺に向けてじっと俺を見るクリスと目が合った。
しかも、マシロまで、クリスの胸の前辺りで『伏せ』みたいな姿勢で俺をじっと見てる。
「え?え?」
起きてたの?
いつから?
どこから見てたの!?
「起きてたなら………っ」
「起きるだろ。あれだけ隣で転げ回られたら」
……と、苦笑気味のクリス。
「赤くなったり青くなったり……、笑ったと思ったら、怪しげな笑い声を上げるし……。足までばたつかせて。声をかけるにかけられなかったな。なぁ?マシロ」
「にゃぅ」
……普段は喧嘩っぽいことしてるのに、こういうときは仲がいいですね……。
「あの……」
「うん」
「……お騒がせいたしました……」
クリスとのことを考えて悶えておりまして……とは、流石に言えなかったけど。
「いや、可愛かった」
クリスはそう言って笑って、俺をベッドに押さえつけてきた。
「まあ……何を考えていたのかは、大体予想がつくんだけどな?」
「っ」
広角を持ち上げた笑みの形。
……あ。
ほんとにこれは、バレてる。
「二日後が楽しみだな?」
……その笑顔。
俺の心臓、壊れそうだよ、クリス。
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