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if番外編:異世界におけるチョコのトリセツ(全6話)

6 おわり

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 体の熱が引きそうになると、チョコレートを食べさせられた。
 熱は体の中で暴れて、透明な何かしか出せなくなった俺の息子を刺激してくる。

 時々、果実水を飲まされた。
 体の上に置かれて溶けたチョコレートを舐められた。
 乳首をかじられてイって、臍を舐められてイった。
 ……もう、どこもかしこも、敏感になってて。
 よくよく考えれば、一度も息子を直接触られてない。でも、よすぎてよすぎて辛い。

「少し食べて」
「ん」

 切られた果物も口に入れられる。
 なんとか咀嚼すれば、口付けてきたクリスに半分くらいもってかれる。

「執務室にオットーとザイルの様子も見てきてくれ」
「はい」

 キスの合間にクリスが誰かとそんな会話をしていた……気がした。
 すぐに、腰の動きが激しくなって、何も考えられなくなったけど。

「アキ、上に乗って」
「ふぁ……っ」

 身体を抱き起こされて、中で当たる角度が変わる。クリスはそのまま後ろに倒れ込むから、必然的に俺はクリスの上に乗った状態になった。

「やぁ……んんっ」
「足広げて手は後ろについて」

 恥ずかしいと思うのに従ってしまう。
 クリスの男根を後ろで咥え込んで、足広げて、そこを見せつけて。
 下から容赦なく突き上げられて、閉じれない口の端から涎が落ちた。

「見ててやるから」

 なに……なに……って言葉にできないうちに、下からの突き上げに合わせるように、中途半端に固くなってる俺の息子が、クリスの手の中に握られた。

「ひあぁぁっ」

 初めて与えられた直接的な快感に、一気に身体の中を熱いものが駆け巡る。
 それはクリスの手の中に集まって、暴れだした。

「あ、や、りょ、ほう、や、ぁっ」

 手も腰も止まらない。
 突き上げられるたびに、目の前はチカチカしてる気がするし、手の中でもう破裂しそう。

「あ……イっちやぅ…、っ、くる、きちゃ……ああっ」
「イけ…!」
「きゃぁぁああぁぁーー……!!!」

 ぶしゃって勢いよく出たのは、潮なのか尿なのか。よくわからないまま熱い飛沫で身体もクリスの手も濡らしていく。
 体はガクガクして力が入らなくて、体の奥に何度目かわからない熱い魔力の塊を受けて、手で体を支えることはできなくなった。
 でも倒れる直前、体を起こしたクリスに支えられて、ゆっくりベッドに寝かされる。
 全力疾走したみたいに胸が苦しい。
 激しく息をついていたら、唇を撫でられて、口の中に指が入ってくる。

「ん、ぅっ」

 そしてまた、チョコレートの甘さが口の中に広がって。
 エンドレスな快楽の中に堕ちた。




 いつ眠ったかわからない。
 でもふと意識が浮上したときには、カーテンの隙間からは朝日と思わしき光が漏れてきていた。

「んっ」

 後ろにピタリとくっついたクリスのものが、まだ俺の中に入っていて、軽く揺すられていた。

「起きたのか」
「くり……す」

 声……掠れてる。

「もう少し眠れ。…俺も寝るから」

 後ろからしっかり抱き込まれて、ゆるゆると腰を動かされて。
 寝るんだったら抜いて…って思いながら、甘い快感に浸り、目を閉じたら……また、意識が遠のいた。





 しっかり目が覚めたのは、多分昼頃。
 クリスはズボンに羽織るだけのシャツ…っていうラフな格好でベッドに座り、俺の頭を撫でていた。

「おはよう?」
「……おは、よ」

 相変わらず、声がかすれる。
 手をついて起き上がろうとしたけど、すぐに崩れ落ちた。

「ん……」

 服は着てない。
 ちょっと動いただけで、体のあちこちは軋むし、クリスのを受け入れ続けてた後孔は、やたらじんじんして、それが甘く疼くし。

「寝てていいから」
「ん……」

 クリスの手が気持ちよくて、目を閉じた。
 ……それにしても、ほんとうに何だったんだろう。
 チョコレートを、食べただけなのに。

「……クリス……」
「ん?」
「………え、と」

 どう切り出せばいいのかわからなくて言い淀んでいたら、クリスが笑った。

「アキの世界では、チョコレートは手軽に入手できる嗜好品だったんだな?」
「ん……うん、そう。チョコレートのお菓子、色々売られてた」
「こちらでは、チョコレートは一般的ではないんだ」
「……リアさんが、貴重品だ、って、言ってた……」
「ああ。だから、口にしたことがあるのは貴族や裕福な商人くらいなものだろう。オットーは知らなかっただろ?」
「……ん」

 確かに、オットーさんは知らない様子だったし、ザイルさんのあの反応はそれを知ってるものだった。

「……薬としても使われてる、って」
「そうだな。むしろこちらではその使い方が一般的だ」
「……でも、厨房に……」

 食料庫の中にあったから、普通に食材……お菓子の原料として置かれてるんだと思いこんでた。

「料理の隠し味とかに使われてもいるんだ。苦味が強いから、ごく少量だが」

 なんか納得した。
 普段自分たちが少量ずつ料理に加えているものを、俺はほぼそのまんまの状態で菓子にしちゃったんだから、変な顔されるはずだ。

「……薬、って」
「滋養強壮効果がある」
「………へ?」
「体の血の流れをよくするんだ。栄養価も高い。疲労回復もできる」
「え……と?」

 栄養ドリンクみたいなこと言われた。
 でも、それだけなら、普通なのに。

「……えっと……」
「勃起不全の治療に使われると言ったらわかるか?」

 勃起不全。

 苦笑気味のクリスが出した言葉に、頭の中ではかの有名な薬の名前がぐるぐる回り始めた。

「え、え…?」
「まあ、強壮剤とはよく言ったものだな。平たく言えば、興奮作用のある薬だ」
「……それって、媚、薬」
「それとは別物なんだ。体が興奮状態になるだけで、頭では思考力がしっかり働いてる。制御できる範囲だな。媚薬は痛みを感じさせなくしたり、感度を上げたり……、まあ、多く使えば思考力もなくさせるものだ」

 ……区別がよくわからない。
 でも、思考力……って。

「……俺、頭の中ぽわぽわしてたよ……?」
「ぽわ……、いや、それは」

 クリスがまた苦笑。

「俺が目の前にいて、俺がお前を抱いているのに、お前が冷静でいれるわけ無いだろ?」
「………」

 顔………熱くなった。
 思わず毛布を引っ張り上げて、顔を隠した。
 確かに、確かにそのとおりだ。
 クリスに抱かれて、普通だった記憶は……、ない。

「あうう……」
「まあ、俺も」

 ちゅ…って、頭にキスされた。

「体の興奮状態は剣を振るえばある程度収まったんだが、お前がいるんだからそれじゃ楽しくないだろ?」
「………」

 ――――纏めると。つまり俺は、旦那さんに大量の興奮剤を贈ったということか。
 ……そりゃ、料理長さんからも何度も確認されるわけだ……。そういう行為をねだってるとしか思えない贈り物だから……。

「……っ、俺、オットーさんとザイルさんにも……っ」

 リアさんに促されるまま、渡したね、チョコレート…!

「返してもらわないと……っ」
「気にするな。あいつらはあいつらで楽しんだだろ」
「……え?」
「婚姻してるんだから。何があっても問題ないだろ」
「………え?」
「ん?」
「誰と、誰が?」
「オットーとザイルが、だな」

 ………衝撃の事実。
 全然気づかなかった……とこぼしたら、クリスが盛大に笑った……。

 その後、残ったチョコレートを返してもらおうとクリスに詰め寄ったんだけど、クリスは笑顔で拒否ってきた。
 もう収納バッグにも入れたから、諦めろと言われた。

 動けるようになった翌日、リアさんにチョコレートのことを聞いたら、いい笑顔をされた。

「チョコレートで興奮!いつもと違う夜……!定番でしょ!?」

 ……と。

「殿下に縋り付いて泣いちゃうし……もう、もう…っ!!」

 ……と。

 ……うん。
 そうだね。
 クリス、冷たい果実水とか、切りたての瑞々しい果物とか、俺の口に運んでくれてたよね。
 それってつまり、やってる最中に部屋に誰かがいた、ってことだよね…!?

「そして団長と副団長……!彼らも素晴らしかったわ…!!団長からの殺気で死ぬかと思ったけど…!!」

 ……リアさん。
 逞しすぎる。

「次はホワイトデーね!殿下に何をしてもらおうかしら……!!」

 出歯亀可能なポジションクリスの専属侍女という立場を手に入れた腐女子なリアさんは、誰よりも強いかもしれないと、俺はため息を隠せなかった……。
 でも、ホワイトデーは、いらない。
 不穏な気配しかしないからね…!






☆バレンタイン小話おわり








*****
お付き合いありごとうございました!
相変わらず予定通り終われない私ですみません…。
昨日で終わらせるつもりが、激務の疲労から抜け出せず一話更新しかできませんでした…。
朝からこんな内容ですみませぬ…。

チョコは媚薬ではなく興奮作用のある薬。
滋養強壮効果もあるので、病気のあととかに、スープやソースにごくごく少量いれたりな感じで使っていた料理長。薬、または、調味料。
そんな感じの食べ物でした(笑)

次回から本編に戻ります。
間に合えば夜に更新しますね^^



☆いつものことですが、数日後、掲載場所を移動させます。
しおりの位置などお気をつけくださいね^^
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