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第5章 王子サマからの溺愛は甘くて甘くて大変です。

47 南遠征五日目。帰ります!

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 朝起きたら、胸のあたりがじんじんしてた。
 恐る恐る見下ろしたら、乳首が妙に赤くなって腫れぼったくなってて、しかも、あちこちにキスマーク付いてるし。
 呆然と見てたら、後ろからぎゅって抱きしめられた。

「おはよう、アキ」
「おはよ……クリス」

 後ろから抱きしめられたまま、キスが落ちてくる。
 首を横に向けて、大好きなキスに体から力が抜けていった。
 でも、前に回ってたクリスの手が動いて、指がぷっくりしたままの乳首をかすめただけで、身体がびくんって跳ねて、唇を離してしまった。

「ゃ……っ」
「大きくなったままだな」

 楽しそうに乳首を揉みながら、くすって笑う音が耳を震わす。

「ぁ、ゃ、ぁ、っ」
「乳首だけでイく感覚、忘れてないようだな…もう蜜をこぼしてる」

 左手は乳首をいじったまま、右手が俺の息子に伸ばされて、先走りに濡れる鈴口をぐりぐりされて、叫びそうになったとき、声を消すように深くキスされた。

「ぁ……クリス、やら、もぅゆるして……ぇ…」
「……ほんとに可愛い…。こんなに乳首が勃っていたら、服を着てもバレるかもしれないな?」
「ぇ……ゃだ、やだぁ……っ」

 身体の変わりようについていけない。
 でも、クリスの手も指もキスも全部気持ちいい。

「んー………っ」

 乳首、捻られて、息子、扱かれて。
 ひくん…って身体が震えて、クリスの手の中に吐き出した。
 それから、涙が止まんなくて。

「アキ」
「んー…や、だぁ……っ」
「泣くな。……アキが泣いてると抱きたくなる」
「クリス…の、いじわる……っ」

 でも、好き。
 適当な布で手を拭ったクリスは、俺の向きをくるりと変えて、正面からぎゅって抱きしめてくれた。

「これ以上何もしないから」
「ん……」
「意地悪なんて言うな。……もっと泣かせたくなるだろ」

 ……って、全っ然反省してない低音の甘い声で耳元で囁かれた。

「クリスっ」

 文句言おうとした口はすぐに塞がれた。
 キスされて、舌を吸われて、口の中をいじられたら、………言いたかったこと、霧散してく。

「……っ、もー………っ」
「胸に包帯を巻いておこうか」
「ん」
「今日はずっと俺の腕の中にいればいい」
「ん」
「嫌がっても離さないからな?」
「……嫌じゃないもん」

 少しくらいは動きたいけどさっ。

 その後は、お互いの体の熱が冷めるまで、軽いキスを繰り返して、服を着る前に宣言通り胸のとこ、包帯でぐるぐる巻きにされた。
 ……さらし、ぽい。男だけど。
 でも、そのおかげで、肌着とかも擦れないし、制服着ても外からじゃわかんなくなった。
 この乳首の感じ、いつ取れるんだろう……。このままはちょっとやだ……。

 支度を終えて天幕を出たら、もうほとんどの人たちが動いてて、朝食の準備もほぼほぼ終わってた。

「アキラ様………!!!」

 食事の準備を手伝っていたらしいエアハルトさんが、俺たちに気づいて走って近づいてきたけど、途中で頽れた。

「あああ……!!!背中が……御御足が……!!!!!」
「背中?」

 ボタボタと地面に落ちる赤色は、見なかったことにしよう。
 ……おみあし、って。昨日のだよな。うう。一番厄介な人に見られてた。でも、背中ってなんだ。

「ザイル」

 隠さない舌打ちのあと、クリスはエアハルトさん処理係ザイルさんを呼んだ。

「はい、殿下。ほーら、行きますよ」

 ずりずりと引きずられて退場していくエアハルトさんは、俯いたまま抵抗も何もしない。
 ……あれ?意識ある?大丈夫なの、あの人??

「クリス」
「アキが気にすることじゃないから。朝食にしよう」
「え?……う、ん?」

 クリスに抱かれたまま、定位置に行くけども。
 なんだかなぁ。
 大丈夫なのか、あの人。




 朝食はいつもどおり。
 食事が終わってから、クリス隊は撤収準備に入った。
 これからのことを、クリス、オットーさん、ルデアックさんが確認し合う。途中、復帰してきたエアハルトさんも参加したけれど、俺の顔を見るたびに、顔を真っ赤にさせて鼻血をぼたぼた落としてた……。変態具合に拍車がかかったとしか思えない。
 ルデアックさんとか他の駐屯さんたちの視線もぐさぐさ刺さるから、途中からクリスにしがみついて顔を肩に埋めてたよね。昨日やらかした俺が悪いし。

 とりあえず、エアハルトさんと駐屯さんたちは、まだこの場所にとどまる。
 エアハルトさんの指示の下、残りの残骸の片付けをしなきゃならないから。
 それから、川の状態が問題なければ、その時点で解散して、ルデアックさんともう一人の駐屯さんとエアハルトさんの三人は、一度城に戻って報告するんだって。
 他の駐屯さんたちは、詰め所的な処に戻るのだそうだ。
 俺たちクリス隊は、下流の村に立ち寄ってから出発。
 ついでなので、このあたりの他の村にも少し寄って、村の様子とかを視察していくって。
 来るときは大体三日でここについたけど、帰りは五日くらいかかる予定らしい。
 もしかしたら、途中でエアハルトさんたちと合流するかもしれないってさ。

 そんな打ち合わせをして、天幕やらの撤収作業も終わり、再び旅路の支度も終えた。
 またお世話になるヴェルに一人で果物を上げたら、他の馬さんたちまで寄ってきて、揉みくちゃにされて皆から笑われるおまけ付きでしたけど。
 クリスがこっそり洗浄魔道具を使ってくれて、よだれとかで大変なことになってた制服は見事にきれいになりましたけど。
 笑ってないで助けてほしかったよ…。

「アキラ様……暫くお会いできないなんて……!!!何が何でもさっさと片付けて、お側に駆けつけますから……!!」

 っていうエアハルトさんの叫び声を聞きながら、クリス隊は出発した。

「……静かになるね」
「静かになるな」

 って、二人で言って、笑って。

 さあ、お城に帰ろう!




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